川田稔のレビュー一覧

  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家
     昭和陸軍といえば、川田先生。今回は永田鉄山の後継者ともいえる武藤章を取り上げている。
     武藤は陸軍内部ではいわゆる「統制派」の中心人物として、大東亜戦争開戦直前の日本の外交、政治をリードしてきた人物の一人でもあった。他の陸軍軍人と同様、地位があがることによって視野が広がり、それまでの方針を変更して...続きを読む
  • 近衛文麿と日米開戦――内閣書記長官が残した『敗戦日本の内側』
     第二次、第三次近衛内閣という歴史的に枢要かつ重要な時期に内閣書記官長を務めた富田健二が、戦後に書いた手記の内、近衛内閣時代および大東亜戦争期の部分を収録した本である。
     日本近代史において近衛文麿が果たした役割というのはマイナスのイメージが強いが、本書においては、近衛自身が意図していたものとは違っ...続きを読む
  • 木戸幸一 内大臣の太平洋戦争
     内大臣・木戸幸一を通して昭和史を考察する本書。

     読み終わって改めて思ったのが、当時の日本が思い上がり、のぼせ上っていたのだという点。特に指導者層やエリート、軍部、上流階級といった上層部の思い上がりは甚だしい。
     こういう時に出る、国民もという論法ではとても希釈できない体たらくである。

     明治...続きを読む
  • 木戸幸一 内大臣の太平洋戦争
    2020/11/30木戸幸一 川田稔 ☆☆☆
    太平洋戦争の傑作本 これまでの歴史書にはない明晰さ
    「昭和天皇の日本国敗戦記」というほうが適切と思う
    日本はなぜ日米戦争に突き進んだのか 
    「失敗の本質」が本書でかなりクリアーになった
    これまでの歴史書を凌駕する

    380116近衛「爾後国民政府を相手に...続きを読む
  • 石原莞爾の世界戦略構想
    満州事変から支那事変頃の最重要人物の一人である石原莞爾の思想、戦略について分析・検討した本。

    日本とアメリカによる世界最終戦争が起こると予想し、その構想により満州事変を図った石原。そして対米戦の戦費はシナから得ようと構想していた。しかし抗日が激化していることを把握した石原は一転、不拡大を唱える。
    ...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と、様々な覇権争いが見られた。宇垣一成と一夕会、皇道派と永田鉄山、永田亡き後の石原莞爾と武藤章、武藤章と田中新一。内部抗争を繰り返し、積極派がさらなる積極派に駆逐されていく。方針が破綻をきたし、限界を超えた時に収集をつけられるものが誰もおらず、破滅する。元老がいな...続きを読む
  • 石原莞爾の世界戦略構想
    政治外交史の専門家、特に日本の戦前政治史に詳しい著者による、石原莞爾の構想について書かれた本。永田鉄山を中心とした陸軍統制派の動きや考え方に焦点を当て、満州事変から日華事変、太平洋戦争へと突入していく中で、どのような決断に至ったかを詳細に記している。永田や石原は、日華事変や太平洋戦争がどのような戦争...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    全三冊!長かった。
    昭和の世界対戦を、陸軍の視点から解剖する本。
    とにかく情報量が多くて読むのけっこう大変でした(*_*)けど、読んで本当に良かった!!陸軍内の派閥争いが戦争をどのように助長させたのか。また、参謀本部と陸軍省との政治的対立とかも、興味深い。
    どうして、日本は、勝ち目のない戦争へと突入...続きを読む
  • 永田鉄山軍事戦略論集
    永田が思い描く理想の日本とは、政治的、経済的、軍事的に苛烈な国際競争にさらされながらも自主独立を堅持する国家である。しかし理想を達するためには、来るべき次期世界大戦を勝ち抜かなければならないことが確信されている。彼にとってその勝ち負けが、日本が国際社会において落伍者になるか、先頭集団にキャッチアップ...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 2 日中戦争
    ◆内容メモ◆
    陸軍内部の派閥対立(統制派のリーダー・永田鉄山と、皇道派のリーダー・小畑敏四郎の対立)かつての一夕会の盟友は対中国戦略を巡り対立・袂を分かつ

    永田は同じ一夕会出身で皇道派であった真崎甚三郎教育総監を罷免する。このような陸軍内部での派閥抗争が激化した結果、皇道派の隊付青年将校らの手によ...続きを読む
  • 昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分岐
    昭和陸軍は、満州事変を契機に、国際的な平和協調外交を進めていた政党政治を打倒した。その陸軍をリードして行ったのは一夕会中堅幕僚グループであり、その中心的な存在の永田鉄山、石原莞爾、武藤章、田中真一らがどのような政戦略構想をもっていたかを中心に論考している。特に、陸軍省軍務局長の武藤と参謀本部作戦部長...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    日米開戦に至るまでの軌跡のひとつとして、
    陸軍内部でどのような議論が行われたのかが、
    克明に描かれている。

    とりわけ、大きなポイントとして、
    武藤章軍務局長と田中新一作戦部長との意見対立の存在を、
    著者は指摘しているが、いずれも日米開戦回避では一致していたのだ。

    明らかにズルズルと戦争へ引き込ま...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 2 日中戦争
    一冊目に引き続き、きわめてわかりやすい。
    こんなにも頁を繰るペースが速くなったのは久方ぶり。

    日中戦争は泥沼化せざるをえなかったけれども、
    それは後世に身を置くからこそ、わかること。
    しかしながら、当時においても、
    反対論者がおり、
    それが満州事変の首謀者、石原莞爾だったことに驚いた。
  • 昭和陸軍全史 1 満州事変
    素晴らしいの一言に尽きる。

    なぜ日本はかくも無謀な戦争に突き進んでいったのか。

    この素朴であるが難解なテーマに対するひとつの見識として、
    新書とはいえ、昨今の雑誌のような新書とは異なり、
    とても濃厚で読み応えのある内容になっていると思う。

    まさに陸軍、いや昭和陸軍の端緒が何なのか、
    そして政党...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    日本はなぜ、必敗の戦争へ突入していったのか?
    日本を破滅へと引きずり込んでいった「昭和陸軍」を主導した人物たちにスポットを当て、その破滅への道を辿る・・・
    全3巻の最終巻、太平洋戦争・・・
    満州事変から泥沼の日中全面戦争・・・
    そしてついに太平洋戦争へ・・・

    何であんな無謀な戦争へ突入していったの...続きを読む
  • 浜口雄幸と永田鉄山
    [両翼の相克]盧溝橋事件前の日本政治・外交において、それぞれ異なる思考と体制で運営を試みようとした浜口雄幸と永田鉄山。新たなる時代が到来するという点では認識が一致したものの、その時代が日本にとってどのような性格を持ち、日本はどう対処するべきかという点において、きれいな対比を見せた両名の考えを中心に据...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    「昭和初期、満洲事変を契機に、陸軍は、それまで国際的な平和協調外交を進め国内的にも比較的安定していた政党政治を打倒した。その推進力は、陸軍中央の中堅幕僚グループ「一夕会」であり、彼らが、いわゆる昭和陸軍の中央を形成することとなる。
     その昭和陸軍が、どのように日中戦争そして対米開戦・太平洋戦争へと進...続きを読む
  • 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争
    全3巻におよぶ、精緻な調査と思考に貫かれた著作。
    その最終巻です。

    如何に考えたのか、如何に行動したのか。
    その論理は何に基づいているのか。

    盲目的な礼賛でもなく、拒絶的な断罪でもない。
    「あの」論争の対象に目を向けるとき、考える土台を提供してくれる本だと思います。
  • 昭和陸軍全史 1 満州事変
    様々に論争されている対象。その対象を、この本では丁寧に描いています。あの時代を振り返るにあたって、賛否の是非はあるでしょう。その判断をする前に、一読する価値はあります。
  • 昭和陸軍全史 2 日中戦争
    満州事変から始まる所謂15年戦争の過程を日本陸軍から検証するシリーズの第2弾。
    川田氏の著作は何冊か読んでいるが、共通項として丁寧に組織だけでなく各個人の考え方、そこから繋がっていく決定プロセスも説明してくれるので非常にわかりやすい。
    今作も永田vs小畑にはじまり、永田vs石原、石原vs武藤といった...続きを読む