■いじめは本人の自覚がないところで起こることが多いもの。その背後には、生育歴や脳発達の過程で起こる過活動(ハイパーメタモルフォーシス)、記憶や認知の歪み、脳内伝達物質の欠乏、多動性や衝動を引き起こす睡眠トラブルなど、脳の機序(メカニズム)が関係している。
■いじめ脳の人たちは、自分自身が悪いことをしている自覚が希薄。
■加害・被害という明らかに歪んだ関係性をつくっているにも関わらずそれを自分なりの対人コミュニケーションの一環のように捉えている。
■いじめを受けた脳は発達が抑制され、機能が低下するということが脳科学的に明らかになってきている。
■人間の脳の8つの脳番地
①思考系脳番地:何かを考えることに関わる脳番地
②感情系脳番地:喜怒哀楽などの感情に係る脳番地
③伝達系脳番地:コミュニケーションによる意思疎通に関わる脳番地
④理解系脳番地:与えられた情報の処理に関わる脳番地
⑤運動系脳番地:身体を動かすこと全般に関わる脳番地
⑥聴覚系脳番地:耳で聞いたことを脳に集積させることに関わる脳番地
⑦視覚系脳番地:目で見たことを脳に集積させることに関わる脳番地
⑧記憶系脳番地:情報を蓄積させ、その情報を使いこなすことに関わる脳番地
■人間の脳はよくできていて、感情を衝動的にアウトプットするのではなく、しかるべき脳番地に変換することで感情をコントロールすることができる。怒りなどネガティブな感情を別の脳番地に変換できる脳は「いじめ脳」にはなりにくいと言える。
■「頭が悪いから、いじめる」のではなく、様々な事情により脳が動機付け、ドーパミンが不足しているという一つの「状態」にあると、いじめ脳になってしまう。
■脳科学的にいじめを紐解くと、低動機・低ドーパミンという状態を補おうとするニーズが理不尽な攻撃につながったもの。本人としては無意識のうちに脳の状態に従っているだけで決して悪意はないと考えられる。いじめ脳にとっては「他者を攻撃して刺激を得ること」自体に意義があり、そこに合理的な理由も目的もない。
■脳の出来が低スペックなのではなく、可変的な機能において脳が「低スペックな状態」にある。その状態からくる生理的な反応として、いじめというアウトプットになるということ。
■「理不尽に攻撃する」という回路が、いわば「成功という快感への道筋」として開通してしまう。その回路を辿れば相手が思い通りになり、かつ気持ちいい。だから何度も同じようにしたくなる。これが、いじめの脳パターン化のメカニズムである。
■いじめ脳は自分自身の動機づけのために、「他者を理不尽に攻撃せずにはいられない」という状態にある。自覚的に悪意を持っていじめているのではなく、脳の生理的反応として、いじめというアウトプットにならざるを得ない。
■自分が生きづらいから、不幸だから、理由もなく他者を攻撃する。いじめとは、「生きづらいよ。不幸だよ。誰か自分を満たしてよ」という脳からのエマージェンシーコールが表出したものとも言える。
■いじめ脳は未熟であるがゆえに「他者と自分の相違を認知できない」。
■いじめ脳の人が、すぐに家族や部下にキレる。それは頭のどこかで相手と自分を同一視し、「相手も自分と同じように考えていて当然だ」と思っている。
■一生懸命やっていたことで失敗や挫折を経験した場合でも、健やかに成熟した脳ならば、遅かれ早かれ、「よし、次はこうやってみよう」「こっちの道に進んでみよう」と次の何かを見つけ、向かっていけるはず。一方、いじめ脳は、この動機シフトもうまくできない。動機シフトができないというのは、何の動機づけもないドーパミン不足の状態がずっと続くということ。すると脳は暇に飽いて、無理やり刺激を得るために他者を理不尽に攻撃する。つまりいじめるように働く。
■いじめ脳は、基本的に低覚醒・低動機状態にあり、場合によっては脳の酸欠状態で脳の活力源であるドーパミン分泌のトリガーとして、外からの強い刺激を常に欲している。そういう脳がたまたま自分よりも立場が弱い人や従順そうな人と居合わせたら、理不尽に攻撃を仕掛ける刺激によって動機づけられ、足りないドーパミンを引き上げようとする。自分の攻撃に遭った相手が困っている様や傷ついている様を見ることで達成感を得ようとする。これがいじめ。
■脳内物質の視点からは、いじめ脳の背後にあるのは、幸福感の欠乏ではないかと考えられる。
■自らドーパミンを分泌できず、幸福感を得たいがために、藁にもすがる思いで無意識に他者を攻撃してしまう。攻撃という起爆剤によりドーパミンの分泌を促し、克服感を得ようとするのがいじめ脳の正体。
■脳は学習していないことはできない。正しいことも間違っていることも、繰り返し学習したとおりに再現する。なかでも「間違った反復練習」の再現と言えるのが虐待。「虐待されて育った子供は虐待する親になる」と言われるが、そういう傾向が起こりやすいことは脳科学的に見ても妥当と言える。子供を虐待する親の多くが、幼い頃から経験してきた親との関係性を自身の子供との間で再現していると見て良い。
■カスハラ脳には他者の常識や正義に対する柔軟性はなく、「自分が絶対に正しい」と思い込む認知の歪みがあるので、断じて引かないのも特徴。自分なりの強い正義が確立されていて、その正義から少しでも外れるものは許せない。「正義は自分側にある」という強い思い込みがあるため、相手に非を認めさせ謝らせないと気がすまない。総合すると、カスハラ脳のメカニズムは、「自分では課題解決できない不満」と「自分が正しいという正義の暴走」のかけ合わせである。
■いじめ脳の人はなかなか一人では物事を決められない人。自分で決めなくてはいけない場面になると急に不機嫌になったりするのはいじめ脳の共通点の一つ。いじめ脳は、脳の働きが偏っている未熟な脳なので、広く情報を集めて総合的に検討し、冷静に判断を下すという一連のプロセスを苦手とする人が多い。それを迫られると不機嫌になって、身近にいる人へのあたりが強くなる。それを論理的に「諭す」「導く」のは逆効果。
■ドーパミンが足りない低スペック状態の脳にとっては、「自分が間違っているかもしれない」と認知することすらとても難しい。
モラハラ夫が攻撃してくる場合注意したいのは次の3つ。
・怒りに付き合ってあげること
・何が気に入らないのかを聞いてあげること
・(心になくても)謝って、後は何事もなかったかのように過ごすこと
■パワハラ上司に対する効果的な対処。
・断絶する
・拒絶する
・専門家に関わってもらう
■脳は「ネガティブな感情」を引きずりがちな性質がある。もともと脳は同時並列的に複数の感情を処理できないようになっている。同時に複数の感情が起こっているようでも必ず序列がある。そこで支配的になるのが自分を前進させるようなポジティブな感情であれば良いがいじめ脳は不満や嫉妬、怒りなどに支配されがち。
■よく「人生に答えはない」と言われるが、脳科学から人生をみるとその人の人生すべてがその人の答えなのだと受け止める。なぜなら、人の脳には人生の経験がすべて刻まれているから。