河崎秋子の作品一覧
「河崎秋子」の「ともぐい(新潮文庫)」「私の最後の羊が死んだ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「河崎秋子」の「ともぐい(新潮文庫)」「私の最後の羊が死んだ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
Posted by ブクログ
続いてゆーき本さんの本棚から
硬軟両極端な河﨑秋子さんのこれはもちろん硬の方
河﨑秋子さんの本はいつも「生きる」ってことが重要なテーマな気がする
「生きる」理由について考える
様々なものがあるようにも思う
またそんなものはないようにも思える
ただ「生きる」のみのような気がする
理由なんてないのかもしれない
理由なんて必要ないのかもしれない
ところでタロットカードの大アルカナ「愚者(The Fool)」のカードには「新しい始まり」「自由」「無限の可能性」を意味するという
解釈としては「 決まった形に縛られず、自分の直感を信じて新しい一歩を踏み出すタイミングを示す」ということだそうだ
そんなラストだったようにも思えた
Posted by ブクログ
面白かった。
知らない世界について想像力を掻き立てられた後の満足感はやっぱりいいね。
さて、『ともぐい』は熊小説ではあるけど、歴史を扱った小説でもある。時代は明治時代で、日露戦争に突入する以前の北海道におけるある地域で生きる主人公を描いた物語。
日露戦争といえば、日本がそれに勝利し、本格的に西欧列強の仲間入りを果たした画期となった戦争として有名で、それ以前には日清戦争に勝利を果たしている。ただ、この戦争で勝利してしまったがゆえに、日本は西欧的な帝国主義へと本格的に歩を進めてしまう。
日露戦争以前の日本は、ロシアとの戦うかどうかに関する様々な論戦が活発に行われたり、日英同盟を結んだり、対ロシアを想定した準備がなされたりする時期にあたる。そんな時代状況の中で、小説の前半ではその波がまだ押し寄せてきていないが、後半になるとついに波及することになる。
実は、それと並行するように、熊爪の人生も変容を余儀なくされる。熊爪のアイデンティティに揺らぎが生じた第一の出来事は余所者熊との死闘による重症であるが、第二の出来事は商い先である屋敷の変化(衰退)と言える。屋敷は熊爪にとって人間が多くいる煩わしい場所である一方で、食糧や鉄砲の玉など、必需品を購入するのに必要な金を得る唯一の場所でもあった。したがって、屋敷は熊爪の生活にとって必要不可欠な場所であった。
屋敷の人々はどれも気味が悪く、理解不能で、苦手な部類に入る人もいたが、それでも生活になくてはならないため通い続けた。極めて合理的な判断と言える。
だが、日露戦争が現実味を帯び始めると、屋敷の商売も立ち行かなくなり、戦争を支えるための炭鉱に手を出すようになる。熊爪はそれに誘われるも、半端者であるが故に決めきれずにいる。
そして、この時点で、熊爪は屋敷の変化を既に感じ取っており、以前から思慕を抱いていた片目盲目の娘を連れ去ることを決意する。そして、屋敷から離れて、と同時に事実上猟師を引退し、山で再び生活し、死を迎える。
最初、なぜ明治という特定の時代を設定したのか分からなかったが、振り返ってみると、熊爪自身が気付かぬうちに時代の流れに巻き込まれていることを示すためで、またそれに抗うことは不可能であることを示すためだと思う。熊爪は作中で何度も、「俺には関係ない」と言っているが、残念ながら時代の流れは確実に熊爪の生活に影響していた。
『ともぐい』は自然界の論理を反映した小説であるとともに、近代化の途上である明治日本における人間社会と自然界との接触により生じたある個人の人生の過程を描いた小説でもあると思う。