野崎歓の作品一覧
「野崎歓」の「フランス文学を旅する60章」「赤と黒」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
赤=軍服での出世がままならなくなったため、黒=宗教界での出世をもくろむジュリアン。神学校を足がかりに、ジュリアンの野心はさらに燃え上がる。パリの貴族ラ・モール侯爵の秘書となり、社交界の華である侯爵令嬢マチルドの心をも手に入れる。しかし野望が達成されようとしたそのとき、レナール夫人から届いた一通の手紙で、物語は衝撃の結末を迎える!自分がもう振り捨てたはずの過去の恋愛によって復讐される。まさに因果応報だ。計画がダメになった際のジュリアンの行動が、まさに世間を知らぬ若者特有である。しかし、最後にレナール夫人の愛情を知ったことで、ジュリアンは救われる。王妃マルゴに憧れているマチルドが、レナール夫人に比べると、どうも危なっかしい。自身をヨカナーンの首を捧げもつサロメとでも勘違いしているかのようだ。
Posted by ブクログ
ナポレオン失脚後のフランス。貧しい家に育った青年ジュリアン・ソレルは、立身のため僧職に身を投じる。やがて貴族であるレナール家の家庭教師となり、その美貌からレナール夫人に慕われるようになる。ジュリヤンは金持ちへの反発と野心から、夫人を誘惑をするのだが。
ナポレオンが失脚したとしても、まだ人々の記憶に、才能だけで立身出世を果たすモデルコースは残っている。田舎出身のジュリアン・ソレルにもひと際その思いは鮮明だ。美貌に恵まれ才能がある。そして本人にも自覚がある。まずは家庭教師から始めるが、大人のレナール夫人に愛されて更に自信をつける。これまでは頭でイメージするだけだった愛情が、自分に向けて示されたのだ。それを有難がるどころか、ジュリアンは完全に相手を利用するだけのつもりでいる。
Posted by ブクログ
下巻の方が動きがあって飽きずに読める。不穏なタイトルから結末は壮絶な破局が描かれると思っていたけど、ポールとプリュダンスの愛が肯定的に描かれていて意外だった。
老いによる性的な魅力の減衰、病気といった年齢を重ねることの肉体的なネガティブな面と価値観の多様化や急速な変化、インターネットテクノロジーの隆盛によって齎された精神的な満たされなさ、孤独、年齢を重ねることの空虚さといった現代社会を生きる壮年の人のリアルを描いている。
ウエルベックの人間や世界に対する露悪的だったり、皮肉的な眼差しだけじゃなく、オカルト的だけどウィッカの輪廻転生を信じるプリュダンスのように滅びることの別の可能性みたいなものを示唆することが一味違ったウエルベック作品だと思った。