井上真偽の作品一覧
「井上真偽」の「アリアドネの声」「ぎんなみ商店街の事件簿」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
かつてこれほどまでに読者の心を掴む小説の「要素」をふんだんに詰め込んだミステリがあっただろうか。
単なるミステリの枠を超えた上質な読書体験を味わうことができた。
まず、ミステリが人を惹きつける取っ掛かり。それは舞台設定の巧妙さであろう。
この小説は地下で身動きが取れなくなった「見えない・聞こえない・話せない」の三重障がいを抱えた女性をドローンを使って救出するというあらすじ。ここですでに読者の心は鷲掴みにされる。
そんなことは果たして可能なのか?ページを開いて答えを確認したくなる。
つぎにここでもミステリやサスペンスでの王道といえる要素、時間制限である。
読者は時間や環境に追われ、リミットがありその制限内にミッションを終わらせようと奮闘する主人公に感情移入をし、応援する。
太古の昔から使われてきた手法ではあるが、わかりやすく読者の心を惹きつけるのだ。
そして、この小説の最も重要な要素。それが最高級の人間ドラマである。
文庫の解説を担当されている「けんご」さんが指摘されたように、健常者も障がい者も平等に暮らせるようにと作られた地下施設では様々なハイテク技術が登場する。しかし、地下に置かれた彼女を、そして読者を最終的に救ったのは間違いなく、人の心であった。
ぜひ、本文を読んでその体験に出会ってほしい。