レイシズム

レイシズム

日本人論の「古典」として読み継がれる『菊と刀』の著者で、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトが、1940年に発表し、今もロングセラーとなっている RACE AND RACISMの新訳。
ヨーロッパではナチスが台頭し、ファシズムが世界に吹き荒れる中で、「人種とは何か」「レイシズム(人種主義)には根拠はあるのか」と鋭く問いかけ、その迷妄を明らかにしていく。「レイシズム」という語は、本書によって広く知られ、現代まで使われるようになった。
「白人」「黒人」「黄色人種」といった「人種」にとどまらず、国家や言語、宗教など、出生地や遺伝、さらに文化による「人間のまとまり」にも優劣があるかのように宣伝するレイシストたちの言説を、一つ一つ論破してみせる本書は、70年以上を経た現在の私たちへの警鐘にもなっている。
訳者は、今年30歳の精神科医で、自らの診療体験などから本書の価値を再発見し、現代の読者に広く読まれるよう、平易な言葉で新たに訳し下ろした。グローバル化が急速に進み、社会の断絶と不寛容がますます深刻になりつつある現在、あらためて読みなおすべきベネディクトの代表作。

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レイシズム のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年11月16日

    1940年代に「菊と刀」の著者である文化人類学者が人種主義について書いた本。人種による優劣はないと科学者として言っている。人種間の敵対は本能的なものではなく、まず別の対立があり、そこに利用されている。とても読みやすい文章で、それは一般の人向けに書かれているためか、訳者のおかげなのか、また読み直そう。

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    Posted by ブクログ 2022年02月06日

    ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。

    だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。

    人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明しようとする。例えば...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年11月08日

    『菊と刀』の著者が第二次世界大戦のさなか執筆したもの。国家や言語、遺伝、文化に対して優劣があると喧伝するレイシストを糾弾している。俯瞰的に考えれば、純粋な人種や民族などというものは存在しないことはわかりきっており、特にヨーロッパは長い歴史の中で混血が繰り返されている。
    その中でレイシズムに陥るのは自...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年10月30日

    レイシズムは科学ではなく政治によって作られ、利用される。一部の人間の利益のために憎悪が利用される。
    言い方を変えると、レイシズムを唱える者たちはあらゆる科学に対して背を向けている。
    文明や文化の発展が行われるためには、多彩な人種や文化が混ざり合う事が重要なのにもかかわ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年07月13日

    時代がアメリカにおいて必要としたパンフレットという性格もあるのか、わかりやすく書かれている。レイシズムは、「弱い少数派の自分(たち)」の仲間を増やし、向こう側よりも少しでも優位に立とうとして、無理やり「差異」を言い立てて攻撃することで、不安を内在する同志たちが内なる自尊心を甘やかすというプリミティブ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年06月26日

    文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。
    その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。

    著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政策への批判を念頭に書...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年05月21日

    そもそもの人種や国の定義の曖昧さ。(前半)

    人種の違いから湧いてくると思われがちなレイシズムが、あくまで「あらゆる不平等への不満のはけ口としての手段」に過ぎないこと。そして解決への方向性も示されてる。(後半)

    前半部は今でこそスタンダードな考えなので目新しさはないけど、第2次世界大戦時中に書かれ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年10月30日

    古典的なもの。1940年代に書かれたものだが、内容は現代にも通じるところがあり、レイシズムの本質を突いている。しかしそれレイシズムを人がズルズルと引き摺っている証拠だろう。

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    Posted by ブクログ 2020年10月06日

    人種の優劣を科学的に否定。さらにレイシズムが体制側の都合の良い考えに利用され続けたこと、科学的根拠がなく、その時代、社会体制により都合よく使われてきたこと等、70年以上前に書かれたが、古臭さを感じず、将来に渡る人類への問題提起と思う。

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    Posted by ブクログ 2020年06月22日

    人種差別をしていい理由などない。科学的にも、道徳的にも。
    差別をなくすには社会の不公正を解決する手立てを見つけることだと著者は言う。一人ひとりが尊厳ある生活ができるようにすることのほかに人種差別をなくす方法はないとも。

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