日蝕作品一覧

  • 金環日蝕
    4.1
    知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが──いったい春風は何に巻き込まれたのか? 『パラ・スター』『カフネ』の俊英が、〈犯罪と私たち〉を切実に描き上げた、いま読まれるべき傑作長編。/解説=瀧井朝世
  • 日蝕
    4.0
    ジョージ・オーウェルが「傑出した小説」と絶賛。75年ぶりに発見されたドイツ語原本からの初翻訳。 かつて革命の英雄であった主人公ルバショウは、絶対的な権力者「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕・投獄される。隣の独房の囚人と壁を叩いた音によって会話を交わし、これまでの半生を追想するうちに、革命家としての自分の行動の正当性に対する確信が揺らぎ始める。取り調べを受ける中でルバショウは、でっち上げられたグロテスクな罪を自らの意志で自白していく。 アンチ・ユートピア小説であり、ザミャーチンの『われら』、ハクスレーの『うるわしき新世界』、オーウェルの『一九八四年』、そしてブラッドベリの『華氏四五一度』と比較し得る。残念なことに、これらはいずれも、今日に至るまでその現実性を少しも失っていない二十世紀からの警告の声である。(ドイツ語版序文、マイケル・スキャメル) スターリン専制下のソビエト連邦で一九三〇年代後半に行われたモスクワ裁判の犠牲者をモデルとした政治小説である。それと同時に、ドストエフスキーの『罪と罰』や『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』の系譜を受け継ぎ、政治と倫理の問題をめぐる議論の交わされる観念小説でもある。さらには、全体主義的な体制下の監獄で、一人で戦わねばならなかった孤独な人間の心の動きを丹念に追ったサスペンスタッチの心理小説でもある。(「訳者あとがき」より)
  • 日蝕・一月物語
    3.8
    錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。華麗な筆致と壮大な文学的探求で、芥川賞を当時最年少受賞した衝撃のデビュー作「日蝕」。明治三十年の奈良十津川村。蛇毒を逃れ、運命の女に魅入られた青年詩人の胡蝶の夢の如き一瞬を、典雅な文体で描く「一月物語」。閉塞する現代文学を揺るがした二作品を収録し、平成の文学的事件を刻む。
  • 日蝕の檻(上)
    値引きあり
    -
    東洋映画の若手プロデューサー・加瀬は、映画「日蝕の森」の製作に情熱を燃やしている。ところがその矢先、彼の眼前で主演女優の横井美奈がビルから墜死し、にわかに前途に暗雲が立ちこめた。しかも、何者かが加瀬を監視しているような気配も……。現在の事件からさかのぼり、戦後映画史の暗黒部を描く、野心的推理長篇。
  • 日蝕の断層
    -
    浦島重工業の社員・木原高志は“工員”の子として差別され続けてきた。世間に対する復讐と出世を誓う木原は、重大な“性の欠陥”を承知で副社長の娘婿という出世のパスポートを手に入れ、同時に社内外の情報を得るため、女子社員恵理とも関係を結ぶが……。会社合併問題に絡む殺人事件。謎の脅迫電話。そして第二の殺人―。若き野望に満ちた木原の大いなる賭けの行手には? 長編ピカレスク・ロマン。
  • 日蝕の断層
    -
    不当な差別を受けつづけてきた浦島重工の社員・木原高志。社会に復讐と出世を誓う木原は、副社長令嬢と結婚、同時に矢沢恵理とも関係し、社内外の情報を集めはじめる。だが、浦島重工合併の機密を知った直後、恵理が崖から転落死した! 脅迫電話、空転する合併問題、そして第二の殺人事件。復讐に燃える男と行く手を阻む陥穽を迫真の筆致で描いた非情小説!

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  • 日蝕の街
    -
    ある夜、ルポライター・鷲津洋人のひとり娘・久美子が、何者かに拉致された。平穏な家庭を突然襲った誘拐事件。娘の安否を気づかい泣き頽れる妻。やがて犯人から電話が入り、身代金は妻の兄である代議士の荒木から出してもらえという。犯人は義兄を知る者か? 鷲津は娘の無事を祈りながらも不審を抱く。黒い怨念と強烈なサスペンス。性&暴力の極致を描く傑作。
  • 日蝕えつきる
    3.5
    天明六年、来るべき皆既日蝕を背景に起きた、男と女の残酷物語。暗黒の極限、無惨な生死を描いた、渾身の時代小説集。女は軽井沢宿で飯盛女をしていたが、江戸に逃れて夜鷹となり、唐瘡に罹ってしまう(「千代」)。歌舞伎の戯者になることを希う男児は、京から下り、希望とは裏腹に江戸の陰間茶屋で育てられることに(「吉弥」)。濡れ衣の人殺しで入牢した男は覚悟の準備をしていたが、そこで地獄の光景を目にし、自らも責問を受ける(「次二」)他、鬼気迫る五つの暗黒物語。
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    値引きあり
    4.4
    竹千代(家康)が生まれた年、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。動乱期の英傑が天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。それは弱小松平党にとっては希望の星であった――剛毅と希望を兼ね備えて泰平の世を拓いた名将家康の生涯を描いて、現代人の心に永遠の感動を刻む世紀のベストセラーの発端篇!
  • 蟲師 特別篇 日蝕む翳
    完結
    4.4
    動物でも植物でもない、生命の原生体──“蟲”。時にそれはヒトに妖しき影響を及ぼし、人智を超えた現象をも呼ぶ。それらを調査し、それぞれがあるべき様を示す“蟲師”ギンコの果て無き旅路。この世はヒト知れぬ生命に溢れている。 連作『蟲師』連載終了から5年を経て、待望の現出を果たした特別読み切り前後編が単行本化!

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