小説 - 松本清張作品一覧

  • 喪失の儀礼
    4.0
    製薬会社と癒着している医学界の現状を批判した東京都下の大学病院の医局員住田友吉が、名古屋のホテルで他殺死体となって発見された。その殺人方法は、手首の動脈を切って、湯の中で徐々に脱血させ、死亡させるという異常なものであった。2ヵ月後、ほぼ同じ方法によって開業医が……。医師と製薬界の荒廃した連繋と意外な愛憎関係がもたらした連続殺人事件を描く本格推理長編。

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  • 憎悪の依頼
    3.5
    私の殺人犯罪の原因は、川倉甚太郎との金銭貸借ということになっている。――金銭のもつれから友人を殺害した男が刑の確定後に、秘められた動機を語る表題作。女性が失踪し、カメラだけが北海道でみつかった。死体は発見されず、容疑者の新進画家には堅牢なアリバイがある。巧みなトリックを生かした「すずらん」など、多彩な魅力溢れる全10編を収録した傑作短編集。

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  • 高台の家
    5.0
    「どうぞ、お上りあそばして」と若い未亡人は客を迎えた。南麻布の高台の洋館──そこには老夫婦と、早逝した息子の嫁とが住んでいる。美しい未亡人に惹かれてか、その家のサロンには次々と青年たちが出入りする。老夫婦はなぜ嫁に青年たちを歓迎させるのか? 奇妙な豪邸の正体を暴く表題作。キャリア女性ばかりが住む、一見華やかな世田谷の独身アパートの浴場の湯槽で起こった殺人事件に潜む人間関係を描く「獄衣のない女囚」。昭和の色濃いサスペンス2篇!
  • 地の骨(上)
    -
    1~2巻781円 (税込)
    大和大学教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の後で入試問題草案を紛失した。前代未聞の不祥事の処理に奔走する専務理事一派に対し、執拗なまでに真相を追求する反主流派の川西教授。草案は美貌の事業家楢沢莢子から無事稲木のものに届けられたが、稲木は彼女への愛に溺れてゆく。一方、川西は啓子との浮気旅行を夢見て、その資金を作るために裏口入学を斡旋する……。

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  • 地の指 上
    -
    1~2巻506~550円 (税込)
    深夜の路上に毒殺死体で発見された元新聞記者島田は、「シュウ」と記する不思議な紙片を持っていた。タクシー運転手三上は、その死体を目撃した折の客の挙動に不審を抱き、客が都厚生局職員山中であることを突き止めた。そして山中はまた、不二野精神病院事務長飯田、都議岩村ともつながりを持つことを知った。(三人の関係に何かがある!)と三上は思った。……病院経営をめぐる黒い霧と謎の連続殺人を描く、巨匠の長編社会派推理。
  • 中央流沙
    値引きあり
    3.0
    農林省食糧管理局長・岡村福夫は、出張先から突然、本省に呼び戻された。砂糖輸入自由化を目前にしての、原糖割当てにからむ汚職事件が、突発したらしい。業者にとっては、文字通り甘い汁の宝庫に渦まく、疑獄。とそこへ、課長補佐・倉橋の変死の知らせが……。官庁汚職の実態を、下級官僚の屈折した感情と絡めて描く、渾身の力作ミステリー。官庁汚職の謎と悲惨な実態。巨悪の陰で虫けらのごとく抹殺される下級官僚の悲劇!
  • 強き蟻
    3.3
    あんたが、わたしの身体をこんなふうにしたのよ。 遺産目当てに結婚した三十歳年上の夫に隠れ、不貞を働く伊佐子。彼女のまわりには欲にまみれた男女が、蟻のごとくうごめいている――。二度にわたりテレビドラマ化(伊佐子役はそれぞれ浜木綿子、若村麻由美)された松本清張のスリラー長篇!
  • 天才画の女
    3.7
    座の一流画廊に画を売り込みに来た女流新人画家・降田(おだ)良子。その斬新な手法と構成が有名なコレクターの眼にとまり、良子の作品展は画壇の注目をあつめる。しかし、彼女の風変わりな制作態度に秘密を感じたライバル画廊の支配人・小池は、真相を求めて良子の郷里福島へと向う。画商の商算と美術評論家の欺瞞が交錯する画壇に二重三重にはりめぐらされた策謀を暴くサスペンス長篇。

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  • 点と線
    4.1
    ミステリ好きなら名前を知らぬ人がない名作です。舞台は昭和三十年代。福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中。青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察ではありふれた心中事件と考えた。しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。そのアリバイは鉄壁だった──時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。
  • Dの複合
    3.8
    作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や奇怪な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。

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  • 遠くからの声
    3.0
    姉が結婚する前の交際に利用された妹は、姉の新婚旅行へもやって来た。妹の不思議な行動の意味が、霧の中の遠い声となって哀しくひびく――“遠くからの声”。同郷で小学同級生で親友の間に何故殺意が生じたのか――“殺意”。人間の深層の動きを捉えて、生の実存を問う推理作品群8編。
  • 内海の輪 新装版
    -
    考古学会の新進として注目されていたZ大助教授・江村宗三は、松山の老舗商店に嫁いだ元兄嫁の美奈子と度々逢瀬を重ねていた。しかし、2 人で計画した瀬戸内海旅行の中で、美奈子は宗三に妊娠を告げる。「もう松山には戻れないわ。あなたなしには生きてゆかれなくなったわ」……子を産む決意だというが、それは宗三の学界からの追放を意味した。宗三は美奈子の殺害を計画するが――。男女の愛憎心理を鋭くえぐる松本清張の傑作長編推理。ほか一遍収録。
  • なぜ「星図」が開いていたか―初期ミステリ傑作集―(新潮文庫)
    3.8
    ミステリには「清張以前」と「清張以後」がある――。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作8編。心臓麻痺で突然死した教員の机に開かれた百科事典には「星図」の項が。その意味を探る表題作のほか、清張ミステリの出発点「張込み」、新人俳優に舞い込んだ映画出演の顚末を描く「顔」、九州某県の市長急死の謎を追う「市長死す」など、誰もが持ちうる後ろ暗さや焦りを克明に描く本格推理短編集!(解説・日下三蔵)
  • 波の塔(上)
    3.5
    男は駈け出しの若い検事・小野木喬夫。女は……はっとするほど美しい、謎のひと。おたがいの身の上も知らず、偶然に出会った二人は、会うたびに惹かれあっていくが、女は決して自分のことを語らない。悲しい予感がつきまとう恋がひそかに深まっていくのを、ひたと見つめる若い娘たちの瞳があることを、二人は知らない。ついに決心して旅に出た恋人たちを運命は翻弄する。たびたび映画・テレビドラマ化されたこの作品は、香り高い恋愛にサスペンスが加わった、異色の恋愛小説です。
  • 日光中宮祠事件
    値引きあり
    5.0
    10年前、日光市におこった一家無理心中事件に疑惑!土地の一住職の熱心な懇願により、警察はついにこの事件の再捜査に踏み切った。10年のブランクのため難航する捜査。事件直後、現場から消失した小切手の行方は? 捜査線上に浮かび上がった謎の朝鮮人は?終戦後の混乱期にみられた警察の強引な捜査に、鋭い批判の目を向けた表題作ほか「情死傍観」「特技」「山師」「部分」「厭戦」「小さな旅館」「老春」「鴉」を収録。松本清張の傑作短編集!
  • 人間水域
    4.0
    暗闇から飛び出してきた男が、いきなり硫酸をあびせかけた。夜鳥のような悲鳴をあげてうずくまるふみ子……。前衛水墨画の旗手として、一躍マスコミにクローズアップされた彼女はライバルの滝村可寿子をけ落すため、その美貌と肉体を駆使して画壇の権力者を籠絡し、着々とその名声を高めて行く。しかしその果てに彼女が得たものは何か? 格調高い芸術の世界を舞台に、そこに渦巻く愛欲と陰謀を見事に浮き彫りにした松本清張の問題作!
  • 任務 松本清張未刊行短篇集
    3.7
    1巻2,200円 (税込)
    「屍体の重量がずしりと腕先にきたとき、はじめて私に任務らしい感情が充実しました」――。国民作家が終生描き続けた「組織・社会と個人との葛藤」をテーマに、これまで単著・全集未収録だった短篇小説を精選。自身の体験を反映した戦争小説から実在の事件をモデルにした小説まで、巨匠のエッセンスを凝縮した全十篇。 【目次】 任務(1955) 危険な広告(1954) 筆記原稿(1957) 鮎返り(1955) 女に憑かれた男(1956) 悲運の落手(1957) 秘壺(1960) 電筆(1961) 特派員(1979) 雑草の実(1976)  解説:権田萬治
  • 塗られた本
    3.2
    小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。ところが、作家の欲望の影が、しだいに彼女を追いつめ、さらに、愛する二人の男性との間で苦悩する美也子の、破滅への道が始まる。美貌の女社長をめぐって展開するサスペンス長編小説。
  • 張込み―傑作短編集(五)―
    4.1
    推理小説の第1集。殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される「張込み」。判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た「一年半待て」。ほかに「声」「鬼畜」「カルネアデスの舟板」など、全8編を収録する。

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  • 犯罪の回送
    値引きあり
    3.8
    北海道の北浦市長春田は陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野の林で絞殺体となって発見される。捜査陣は、政敵早川議員に疑いを向けるが、直後早川の溺死体が地元の沖合いに浮かび、事件は予想外の展開をみせる。地域開発としての埋立計画を契機に、それぞれの愛憎が北海道―東京間を行き交う、スリリングな傑作長編ミステリー。1991年に改稿に着手、執拗なまでに推敲し完成させた著者最後の推理作品。
  • 梅雨と西洋風呂~松本清張プレミアム・ミステリー~
    4.3
    1巻660円 (税込)
    水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。だが、温泉で出会った女・カツ子が自室の西洋風呂で見せる、若く奔放な姿態に溺れる。地方の名士である男は、都会的なものの虚飾に魅せられて破滅の道をたどり、やがて殺人を招き寄せていく! 地方政界に渦巻く欲望と利権を描くとともに、“アリバイ崩し”にも挑んだ本格推理長編。
  • 火と汐
    3.8
    八月十六日、京都“大文字”の夜。興奮にざわめく人混みのなかを、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。 同じ時、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして男の家のすぐ近所で人妻の遺体発見。鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。 ほかに「証言の森」、「種族同盟」(映像作品「黒の奔流」原作)、「山」の計四篇を収録。 ※この本は1976年2月に刊行された文春文庫の新装版です。 解説・大矢博子
  • 表象詩人~松本清張プレミアム・ミステリー~
    4.0
    1巻660円 (税込)
    昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。陶器会社の高級職員・深田の家に集まっては詩論を戦わせるが、3人とも都会的な雰囲気をまとう深田の妻・明子に憧れていた。だがある夏祭りの夜、明子は死体で発見される。事件は迷宮入りとなるが……(表題作)。山中で発見された白骨の謎を追う「山の骨」も併載。
  • P+D BOOKS 風の息 (上)
    3.0
    1~3巻660~715円 (税込)
    日航機「もく星号」墜落の謎を追う問題作。 昭和27年4月9日、突然消息を絶った日航定期便福岡行き「もく星号」は、羽田を離陸した20分後に消息を絶った。 乗客には八幡製鉄社長・三鬼隆、漫談家・大辻司郎など著名な顔ぶれも混じっていた。翌日、伊豆大島三原山噴火口付近で、バラバラになった機体が発見されたが事故原因は特定されないまま。朝鮮戦争の最中に起ったこの事故は、果たして偶然か謀略か? 筆者代表作「日本の黒い霧」などと同様に、昭和の“謎”事件の真相を解明するため、記録的手法を導入して真正面から挑んだドキュメントタッチの長編小説・上巻。
  • P+D BOOKS 風の息 全3巻 合本版
    5.0
    待望の全3巻合本版!! 日航機「もく星号」墜落の謎を追う問題作。 昭和27年4月9日、突然消息を絶った日航定期便福岡行き「もく星号」は、羽田を離陸した20分後に消息を絶った。 乗客には八幡製鉄社長・三鬼隆、漫談家・大辻司郎など著名な顔ぶれも混じっていた。翌日、伊豆大島三原山噴火口付近で、バラバラになった機体が発見されたが事故原因は特定されないまま。朝鮮戦争の最中に起ったこの事故は、果たして偶然か謀略か? 筆者代表作「日本の黒い霧」などと同様に、昭和の“謎”事件の真相を解明するため、記録的手法を導入して真正面から挑んだドキュメントタッチの長編小説。
  • P+D BOOKS 詩城の旅びと
    -
    南仏を舞台に愛と復讐の交錯を描く。 「ゴッホゆかりのプロヴァンス地方で国際駅伝を」一女性の投書に惹かれた和栄新聞社企画部長・木村は、実現に向けて南フランスへ飛んだ。荒れた古城や教会を訪れ、謎めいた伯爵夫妻の館に滞在。仕事に賭ける男の情熱と投書者のひそかな企みがついに交錯した……。 南フランスの太陽・青い空・あふれるラベンダーの紫、風光明媚な情景の中で織り成される奇妙な人間模様。目眩めく憎悪と妖しい愛、そして「執念」と「殺意」。暗鬱な風景と明るい光景とが渾然となって、黒い詩情が交錯する…。知られざるフランス中世都市レ・ボー、ゴッホのゆかりの地アルル、セザンヌの生地エクス・アン・プロヴァンス、そして九州豊後竹田で繰り広げられるサスペンス・ロマンス。 NHK同名ドラマの原作にもなった作品。炎の画家が愛した美しい風光のなかに巨匠・松本清張が愛と復讐の構図を描く。
  • P+D BOOKS 白と黒の革命
    -
    1巻990円 (税込)
    ホメイニ革命直後 緊迫のテヘランを描く。  アメリカ在住のイラン人商人がふと洩らした言葉をヒントに、イラン革命の真相を追って、テヘランに乗り込んだ男の身に危機が迫った……。  パーレビ王朝の近代化路線・白い革命と、イスラム最高指導者ホメイニの黒い革命。そして背後で暗躍するCIAの影。  激動するイランで彼が見たものは何だったのか?  筆者自らの革命勃発期のイラン滞在経験が動機となって描かれた作品で、豊富な取材力に基づいた、予言性に満ちた迫真のドキュメント・ノベル。
  • P+D BOOKS 象の白い脚
    -
    インドシナ麻薬取引の“黒い霧”に迫る力作。 時は1969年、ラオスの首都・ビエンチャン。そこでは米国CIAと現地の特権階級とが結託してアンタッチャブルな麻薬取引が行われている、と噂されていた。そのビエンチャンへ単身乗り込んだ主人公・谷口の目を通し、筆者は、その闇に大胆なペンの戦いを挑む。 「日本の黒い霧」ならぬ「インドシナの黒い霧」の実相を、小説の形式で解明、暴露してみせた松本清張“会心の一作”。
  • 不安な演奏
    3.3
    ラブホテルで盗聴したテープを心ときめかせて聞いた雑誌編集者の宮脇平助は、それが死の演奏への序曲だと知った。そして映画監督の久間隆一郎とともに、事件を追及しはじめる。柏崎、甲府、東海道、尾鷲、九州……謎解きの旅から、次第に選挙違反の黒いネットワークと殺人事件との結びつきが浮かび上がる傑作推理長篇。巻末に、独自の視点で清張作品を読み解いた、みうらじゅん氏による「解説 清張地獄」を収録。
  • 風紋
    値引きあり
    -
    東方食品株式会社の新製品は、大宣伝の結果、看板商品として浸透し、同社はたちまち、大企業にのし上った。しかし、サラリーマン社会の錯綜する人間関係の予期せぬ破綻が、会社の運命を大きく変える――新製品の開発とその成否に命運をかける、食品業界の内幕とマスコミの魔力! 一企業の繁栄と衰退を見事に描く長編。
  • 分離の時間
    -
    1巻616円 (税込)
    ホテルに偽名で宿泊中の代議士が殺された。被害者に人知れぬ男色趣味があったらしいと偶然知った広告代理店の社員土井は、友人の週刊誌記者と代議士の足どりを追う。やがて二人は、代議士が日常的関連から断絶したいわば分離の時間の中で、癒着した政財界の裏面、倒錯した性の世界に踏み込んでいたことをつきとめる。そして事件の真相は意外にも……。他に『速力の告発』を併録。

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  • 松本清張ジャンル別作品集 : 1 武将列伝
    4.3
    1~6巻539~594円 (税込)
    著者が著した膨大な数の短編を、ジャンル別に集めた文庫オリジナル作品集。全6巻。第1巻は主に戦国武将を描いた作品10編を収録した「武将列伝」。毛利元就・足利義昭・伊東祐義・丹羽長秀・柳生一族……。いずれも人間の心理を深く描いた著者ならでは作品集。
  • 水の肌
    3.4
    妻の実家の金で留学した男が旅先で資産家の娘と知り合い、妻の前から姿を消す。彼は妻に落ち度があれば離婚が成立すると、私立探偵を雇い、密かに動向を監視し続ける。ところが知らぬ間に、彼が軽蔑していたかつての同僚と妻が再婚していたのを知った時、男の心に理不尽な怒りが湧く…。表題作をはじめ計りがたい人間の愛憎と欲望をテーマに、現代社会の不確実な内面をえぐる傑作短篇5話を収録した推理小説集。

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  • 水の炎
    3.6
    東都相互銀行の若手常務で、野心家の夫塩川との生活に心を満たされぬ信子は、大学の通信教育を受け、独身助教授浅野を知った。彼女の知的な美しさに心を惹かれて愛を告白する浅野。信子は、その想いの激しさにたじろぐが、夫は、妻の不貞を疑いながら、二人の接近を画策した。不倫をでっち上げることで実業界への飛躍を図ろうとしたのだ――。巨匠松本清張が、美しい人妻の心の遍歴の行末を描く、長編サスペンス!
  • 迷走地図(上)
    -
    1~2巻715円 (税込)
    保守党派閥抗争の確執の中、若手議員・川村は色と金を求め、銀座の高級クラブのママ織部佐登子に眼をつけた。だが、彼女は財界人をパトロンに持ち、政・財界間の影の資金ルートをつないでいた。次期首相を約束される寺西議員のもとから、逆リベートを運ぶ途中、佐登子は若い男に金を強奪されてしまう――。秘書、運転手、院内紙記者、代筆屋など代議士の陰で蠢く永田町人種の生態。

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  • 眼の壁
    3.8
    白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に背負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者・田村の応援を得て、必死に事件の真相を追う。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織に立ち向かうが、手がかりは次々に消え去ってしまう…。複雑怪奇な社会の裏に潜む悪の実体をあばき、鬼気迫る追求が展開するベストセラー。

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  • 眼の気流
    3.9
    車の座席で戯れる二人づれに憎しみの執念をもやす若い運転手。愛人に裏切られた初老の男のひそやかな怒り――二人の男の接点に生じた殺人事件を追う表題作。立身出世のために愛する女性を殺すが、女は奇蹟的に息を吹き返し、記憶を失ったまま男の前に姿を現わす……非情なエリート官僚を描く『たづたづし』等全5編。日常生活に潜む怖ろしい生の断層、現代の憎悪を抉る推理傑作集。

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  • 夜光の階段(上)
    3.7
    1~2巻616円 (税込)
    貧しい青年美容師佐山道夫は、勤め先の美容室の常連客で、証券会社の社長夫人波多野雅子と関係を結び、その出資で独立する。野望に燃える佐山は、一方では雑誌「女性回廊」の編集者枝村幸子に接近し、彼女の紹介で有名タレントのヘヤーデザインを次々と手がけ、一躍美容界の寵児となる。だが、株で穴を空けた雅子が返済を迫るようになり、佐山の胸には黒い計画が生まれる--。

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  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―
    4.0
    東京郊外で発見された、男の腐爛死体。その身元を追及しようとする二人の新聞記者は、次第に、あまりにも意外な事件の核心にふれてゆくこととなった。酒と女の供応に明け暮れしている、そんな悪徳税務署員の私行が招き寄せた、三つの殺人事件を通して、脱税に、収賄にと、腐敗しきった税務署の、驚くべき内情が描かれる。――現代の黒い霧に挑む著者の、代表的な社会派推理小説!

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  • 弱気の蟲~松本清張プレミアム・ミステリー~
    4.0
    1巻880円 (税込)
    20年近く地道にある省の役人を勤めてきた川島留吉は、ふとしたきっかけで役人仲間と麻雀を始める。麻雀が弱い川島は負けが込み続けるが、ある日、川島の官庁に出入りの外郭団体の職員から自宅での麻雀に誘われる。そこから川島の地獄の日々が始まった――。(表題作) 俳句仲間と野鳥の声を録音しに行った軽井沢での殺人事件を扱った「二つの声」も収録。
  • 落差 上 新装版
    値引きあり
    4.0
    1~2巻385~429円 (税込)
    日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学生時代の友人の妻などに浮気心を働かせていた。教科書出版社の思惑にうまく乗り、島地は自分の欲望のまま人生を謳歌していたのだが……社会派長編。 ※本書は昭和四十一年一月十日初版の角川文庫を分冊、改版したものが底本です。
  • 陸行水行 別冊黒い画集2
    4.0
    耶馬台国はどこにあったか。朝鮮半島から耶馬台国に至るルートに魅せられて、古代人の道を辿ろうと思い立った2人はどうなったか? 古代史のロマンと推理がみごとに結晶した表題作「陸行水行」のほか、“村に道路が通る!”と土地の買い取りで沸き立つ村社会の心理の駆け引きをえぐり出す「形」、邪魔な恋人を切ろうとする男をクールに描いた「寝敷き」、若いツバメがひきずりこまれる蟻地獄とは……「断線」と、最後の1行までサスペンスが続く、名推理4篇。
  • 連環
    3.8
    九州落ちして印刷屋に勤めた笹井は、計画遂行のため主人の妻滋子を籠絡し、さらに二号の藤子を誘惑。陰謀に成功した彼は、滋子から大金を得、東京でエロ出版に手を出す。資金源の滋子が無一文になると非道にも第二の殺人を計画する。虚構に生きる男が、追跡者の執念にあえなく自滅してゆく過程を描く傑作。
  • 渡された場面
    4.1
    四国の県警捜査一課長香春(かわら)銀作は、文芸雑誌の同人誌評に引用された小説の一場面に目をとめた。九州在住の下坂一夫が書いたというその描写は、香春が担当している“未亡人強盗強姦殺人事件”の被害者宅付近の様子と酷似しすぎていたのだ。再捜査により、九州の旅館女中の失踪事件と結びついたとき、予期せぬ真相が浮び上がる――中央文壇志向の青年の盗作した小説が鍵となる推理長編。

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  • わるいやつら(上)
    3.8
    1~2巻737~781円 (税込)
    米倉涼子主演のドラマ原作。“どのように美しくても、経済力のない女は虫のように無価値だ”医学界の重鎮だった亡父の後を継ぎ、若くして病院長となった戸谷信一は、熱心に患者を診療することもなく、経営に専心するでもない。病院の経営は苦しく、赤字は増えるばかりだが、彼は苦にしない。穴埋めの金は、女から絞り取ればいい……。色と欲のため、厚い病院の壁の中で計画される恐るべき完全犯罪。

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