あらすじ
「葉月十二日、巳の刻。湯島天神内宮地芝居の舞台に、瀬川菊之丞を連れてきて欲しいのです」――濱村屋の年若い主人・吉次からこう切り出された平九郎は、驚きのあまり絶句した。希代の女形であった菊之丞は、吉次の義父で、五年前すでに亡くなっていた。そして実は、吉次は赤也の義弟であったのだ……。赤也の隠されたもうひとつの人生に渦まく陰謀。平九郎たちが仲間のため命を賭して闘う天下無敵の時代エンターテインメント。三十万部突破の書き下ろし大人気シリーズ、第七弾。
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Posted by ブクログ
遂にくらまし屋シリーズも追いついてしまいました
ちょびっと悲しいw
それにしてもどんどん面白くなっていくなー
今回は赤也が自分の過去にケリをつける回
そしてぼろ鳶ちょい見せ(今回は秋仁)と表紙でちょいネタバレも健在w
虚の3人の達人で最後の1人、九鬼も登場
井蛙流の奥義もめちゃめちゃかっこいい技名と共に炸裂
しかしながら3人の達人や炙り屋との闘いに不安を感じた平九郎は遂に師匠の磯江虎市を探す決意をする
という赤也の想いや3人の絆にいや茂吉とお春を加えた5人の絆にほろりとさせつつ、今後の四つ巴の闘いに向けて風呂敷を広げまくった今作でした
んー次作へのつなぎ方がとんでもなく上手いのが今村翔吾さんなんだよなー
楽しみすぎ!
くらまし屋人の為に再び無賃働き
二人の女方の歌舞伎役者が、煌びやかに華やかに「娘道成寺」を演じて評判を博していた時代だった。一人は浜村屋瀬川菊之丞、もう一人は天王寺屋中村富十郎である。今回、この歌舞伎にまつわる物語だ。
浜村屋は5年前に菊之丞が亡くなると、主役の後継ぎが年端もいかない若者に代わり、未だ芸も未熟であるため、脇役の優秀な役者が浜村屋を去るなどあり、益々浜村屋は落ち目となった。浜村屋の台所を預かる将之介がこれを立て直そうと、米の先物取引に手を出したが、失敗して大損した。家を売り払って損失を埋めたが、浅草の見窄らしい家宅で稼業をかろうじて続ける始末だった。
そんな時に、浜村屋と天王寺屋との湯島天神の宮地芝居合戦の噂が流れた。天王寺屋を応援する豪商越後屋が、贔屓筋を煽って娘道成寺の出来映えに勝敗を付けるということだ。その中には幕府の幕閣、重鎮が含まれる。
くらまし屋の堤平九郎は、目黒の五百羅漢寺の置き手紙に基づき、早速浜村屋の二代目吉次と接触し話しを訊いたが、その内容は死人を現世に戻してくれとの依頼で、まるでおとぎ話ようなものでその場で即、断ったのである。
平九郎はこの依頼の内容や辞退したことを、仲間の赤也と七瀬に伝え、その場では皆了解した。だが、赤也は元々浜村屋の菊之丞の息子であり、親子喧嘩で抜け出たとはいえ、芸事が好きな上に役者に未練が残っていた。しかも、浜村屋の存亡に関わることでもあるため、何とか力になりたいと考えた。赤也等は合戦の中止を求めたが、勢いを止めることは出来なかった。
更に、浜村屋にとって不幸が続く。二代目吉次が、芸の上達祈願に愛宕山を訪れた時、階段から落ちて腕を骨折。役者が出来なくなった。
赤也は代役となり芝居合戦に出演する決心をするのである。
ただ、これにも邪魔が入る。道中奉行同心、篠崎瀬兵衛は、赤也が以前、中山道の蕨宿で鰔党一味の和太郎を殺害した罪でお尋ね者として、赤也を捕らえる構えを見せていた。
また、虚が、幕府にいる上役の命令で芝居合戦を取り締まるため、怪力で巨体、金棒を使う九鬼段蔵を使って赤也を殺す算段を企てた。
しかし、いずれの策謀は七瀬の舞台の細工と平九郎の太刀の腕により阻まれて、赤也は歌舞伎を無事演じて観衆を魅了した。浜村屋を助けたのであった。
物語は回りくどく、とても長い。でも上手く詳細に書かれており、読み応え十分な物語だった。