あらすじ
日本橋「菖蒲屋」に奉公しているお春は、お店の土蔵にひとり閉じ込められていた。武州多摩にいる重篤の母に一目会いたいとお店を飛び出したのだが、飯田町で男たちに捕まり、連れ戻されたのだ。逃げている途中で風太という飛脚に出会い、追手に捕まる前に「田安稲荷」に、この紙を埋めれば必ず逃がしてくれる、と告げられるが……ニューヒーロー・くらまし屋が依頼人のために命を懸ける、疾風怒濤のエンターテインメント時代小説、第二弾!
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Posted by ブクログ
2024/1/30
こっちいいですねぇ。
ちょっとだけぼろ鳶の人たちが出るのもにやける。
ま、出たの菩薩だけど。同じ時代なんだね。
大丸が早世したっていうのもヒュッてなったけど、ぼろ鳶と絡んでるのはその息子だよね?
何代目まで覚えてないよ…
敵がめっちゃ悪そうで強そうでヒヤヒヤしますが次も楽しみです。
正体知る人が増えたのだけど仲間になったてこと?
Posted by ブクログ
タイトルが素敵だ。愛すべきレギュラーが広がっていくこのシリーズ感はいいですね。2巻にしてこのシリーズの描き方のイメージが湧いてきたという意味でも重要。分量としても重めの中編を読む感じだけどこれからの展開の種が詰まっていて読み応えがある。一気に読むのはもったいないので、清涼剤用にちゃんととっておかなければいけないと思う。
平九郎仕事は成功するも代償無し
江戸近在多摩村では凶作に見舞われ、小作農家の娘お春は少しでも家計を助けるため、江戸の呉服店「菖蒲屋」に奉公に出た。未だ11歳の子供だった。
お春が健気に奉公に励んでいたある日、店主の留吉から部屋に呼び出されて乱暴されようとした。その際、助けを求めて声を上げた為、番頭が留吉を諫めてお春は難を逃れたが、留吉が言い訳をでっち上げてお春のせいにするのである。
留吉はケチで意地悪な性格だが、物語ではそこばかりを強調しているように思える。留吉は当然、店主として商店街や組合等の会合に出席する程の人物であり、一時の気の迷い、魔が差したとは言え物語にあるような悪事を重ねるほどの悪人なのかと、不信に思われるところだが・・・
ただ、お春には母の危篤の文が届き、帰郷の許しを請うのだが留吉に拒否された。止む無くお春はお店から抜けて逃亡した。逃亡の途中、飛脚の風太の援護を受けるが、結局留吉が雇った鳶の連中に捕まり、店に連れ戻されて蔵に監禁されてしまった。
更にお春への留吉の仕返しは続く。留吉は、回船問屋にお春の身柄を引き取ってもらう代償として抜け荷船の名義をお店名義に代えて、荷下ろし出来るようにしたのである。
一つの嘘が次の悪事に繋がっていく連鎖の様子が、非常に丁寧かつ事細かに書かれている。
そして、ここでくらまし屋平九郎の出番だ。今回の依頼主お春を多摩村に届けるため、平九郎が動いた。
平九郎は、蔵に閉じ込められたお春を救出する為、奇想天外の大掛かりな仕掛けを考えた。それは、菖蒲屋の斜向かいの一軒家を借りて、その蔵まで穴を掘りお春を救い出そうというものだ。佐渡金山で磨いた穴掘り名人、風太の技を頼りに地下を掘り進め、誰にも気付かれないようにお春を救出したのである。
ここは将に物語の真骨頂だ。
その後、平九郎はお春を連れて甲州街道を府中に進み、多摩村の実家に無事お春を届けた。
道中にもう一つ見せ場があるが、それは省略する。