あらすじ
父のやり方に腹を立てた栄が桑乃木へ向かうと、そこには縁の姿が。反発しあうも、“父への不信感”で利害が一致し、父を失脚させるため結託する三兄弟。そこで縁が語った父の犯した罪、それは栄と周が知らない食中毒事件だったーー。一方、いち日は三人を心配しつつも、雑誌に掲載された大盛況の桑乃木で忙しい日々を過ごしていて…。
試練の前で兄弟と夫婦、それぞれの絆が試されるーーー新たな風が吹く第14巻!
戦後の復興も途上の昭和26年、京都にある老舗料亭「桑乃木」の長女であるいち日(いちか)は34歳。一緒に実家を継ぐはずだった料理人の夫・高行(たかゆき)を戦争で亡くし、今は西洋料理のコックとしてホテルの厨房に勤めています。料亭「桑乃木」は、このままではつぶれてしまうほど経済状態が悪く、次女のふた葉(ふたば)には大阪でホテルを営む山口家から養子縁組前提のお見合いの話が舞い込みますが、いざお見合い当日に顔を合わせてみれば、当初聞いていた次男の代わりに19歳の大学生である三男・周(あまね)が相手だと言われ、ふた葉は実家で料理人を務める慎太郎(しんたろう)と駆け落ちしてしまうのです。桑乃木家としては山口家の資金援助がほしい、そして山口家としては京都の好立地にある料亭「桑乃木」がほしい…そんな思惑から、このお見合いはいち日と周で成立し、二人は夫婦になるのですが、結婚前にお互いには別の好きな人がいることを告白しあったこの二人の関係はこの後どうなっていくのでしょうか。そして「桑乃木」の再興は果たせるのでしょうか。
戦争未亡人の年上妻と口の悪い大学生夫という、歳の差19歳の夫婦が少しずつお互いを知って、近づいたり離れたりしながら、最初から愛情で結ばれたわけではない二人の関係や気持ちが変化する様子が細やかに描かれていて、甘いだけじゃない恋愛マンガとして非常にドキドキさせてくれます。
また本作は、女性が料亭の料理人になるなんてとんでもないと思われていた時代に、いち日がどんな風に料理人として成長していくのか、そしていち日と周が協力して店を立て直せるのかどうか、いろいろな角度から楽しめるお仕事マンガでもあります。おまけに、作中で丁寧に書かれるレシピもものすごく美味しそうなんです! いろいろな意味で楽しめて、いろいろな意味で先が気になるこの作品、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、「ながたん」は包丁・「青と」は青唐辛子を指す方言なんだそうですよ。
感情タグBEST3
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思わず泣きました
珠玉だったのは、68話。
戦後の混乱が落ち着いころに、シベリアから帰還された同僚の方が暗記で伝えてくれた、元夫の遺言。
亡くなった事実を本当の意味で受け止めることが出来て良かったね、と思いました。
今回も
どれもとても素敵なお話でした。ようやく山口の父に天罰が。やはり共通の敵の存在はチームワークをよくしますね?今までギクシャクしていた兄弟仲がスムーズになって読んでいて微笑ましかったです。そして遠田さん。胸が締め付けられるような切なさと温かさを感じるお話でした。作者様がこの方の登場は当初かなり初期にと考えていたと書かれていましたが、私もいち日と周の信頼関係、親密さが増した今読めてよかったなぁと思います。
そして、離縁後の鈴音と縁、出産後の頌子と栄の関係も最初からは考えられないほど穏やかになり、本当に嬉しいです。次回も楽しみにしています。
Posted by ブクログ
良い。とても良い。
周、栄、縁、兄弟が立ち上がって父親の罪を公にする。
思いがけない形で周のいち日に対する気持ちがわかる。
…知ってはいたけど、周がこんな風に気持ちを言葉に
することは少ないように思う。
栄も自覚するよりも頌子のことが大事な存在になって
るようだし、縁は離れてから鈴音と良い関係が築けて
いるようで本当に良かった。母親との会話から、縁は
寂しいとは感じてないと知れて良かった。しばらくは
商売の方できっと忙しいね。
それぞれが違う形で、「この日々が当たり前のように
続くのではない」と教えられたのも印象的。
大切なものが増えるとその当たり前のことをつい忘れ
てしまいそうになるかも。
そしてふと思い出して怖くなったり…
いち日が遺言を冷静に受け止めているのに少し驚いた
けど、それは周の存在が大きいかもしれない。
次巻も楽しみに。
Posted by ブクログ
遠田さんの話が印象深かったです。
いち日さんの、亡くなった旦那さんの遺言を暗記して届けてくれた人。
亡くなった高行さんの人徳もあるでしょうが、本当に良い人でした。
そして改めて、いち日さんが現在幸せで良かったと思いました。
栄が頌子さんに振り回されつつ、お似合いの夫婦になっているだけに、頌子さんの体調が心配。
何度でも復活して、何度でも栄を驚かせて欲しいと切実に願います。
ついに山口家のごたごたもひと段落。それぞれに新しい生き方を見つけられたようで良かった。周さんの男前っぷりがレベルアップしていて、なんだか感慨深い。今回もじんわり胸に沁みるシーンが多かったです。