【感想・ネタバレ】ながたんと青と-いちかの料理帖-(3)のレビュー

あらすじ

昭和26年、京都。二百年続く料亭・桑乃木の長女いち日(34歳)は、夫を戦争で亡くし、調理師としてホテルに勤めていた。
「桑乃木」は経営破たん寸前で、資金を提供してもらうため、大阪の有力者の家の三男・周(19歳)を婿として迎えることに。15歳も年下の婿を迎えることになったいち日と、桑乃木を立て直そうとする大学生の周。
二人は仕事のパートナーとして、少しずつ信頼しあっていき、そして夫婦として、男女としても、ゆっくりと近づいていく――。

―3巻のあらすじ―
料理長・戸川が他の店に移るために辞めてしまい、料理人を失った桑乃木。周に促され、また、恩人であるホテルのシェフ・田嶋にも背中を押され、いち日は桑乃木の料理長になることを決心した。
しかし客足は遠のき、「新生・桑乃木」の滑り出しは順調とは程遠いものだった。
初仕事となる、常連の家での出張料理では、戸川の料理を期待していた客を満足させることができず、実力不足に落ち込むいち日。
そんな中で、いち日と周の二人が立てた、起死回生の計画とは――?

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戦後の復興も途上の昭和26年、京都にある老舗料亭「桑乃木」の長女であるいち日(いちか)は34歳。一緒に実家を継ぐはずだった料理人の夫・高行(たかゆき)を戦争で亡くし、今は西洋料理のコックとしてホテルの厨房に勤めています。料亭「桑乃木」は、このままではつぶれてしまうほど経済状態が悪く、次女のふた葉(ふたば)には大阪でホテルを営む山口家から養子縁組前提のお見合いの話が舞い込みますが、いざお見合い当日に顔を合わせてみれば、当初聞いていた次男の代わりに19歳の大学生である三男・周(あまね)が相手だと言われ、ふた葉は実家で料理人を務める慎太郎(しんたろう)と駆け落ちしてしまうのです。桑乃木家としては山口家の資金援助がほしい、そして山口家としては京都の好立地にある料亭「桑乃木」がほしい…そんな思惑から、このお見合いはいち日と周で成立し、二人は夫婦になるのですが、結婚前にお互いには別の好きな人がいることを告白しあったこの二人の関係はこの後どうなっていくのでしょうか。そして「桑乃木」の再興は果たせるのでしょうか。
戦争未亡人の年上妻と口の悪い大学生夫という、歳の差19歳の夫婦が少しずつお互いを知って、近づいたり離れたりしながら、最初から愛情で結ばれたわけではない二人の関係や気持ちが変化する様子が細やかに描かれていて、甘いだけじゃない恋愛マンガとして非常にドキドキさせてくれます。
また本作は、女性が料亭の料理人になるなんてとんでもないと思われていた時代に、いち日がどんな風に料理人として成長していくのか、そしていち日と周が協力して店を立て直せるのかどうか、いろいろな角度から楽しめるお仕事マンガでもあります。おまけに、作中で丁寧に書かれるレシピもものすごく美味しそうなんです! いろいろな意味で楽しめて、いろいろな意味で先が気になるこの作品、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、「ながたん」は包丁・「青と」は青唐辛子を指す方言なんだそうですよ。

4.4
Rated 4.4 stars out of 5
Rated 5 stars out of 5
Rated 4 stars out of 5
Rated 3 stars out of 5
Rated 2 stars out of 5
Rated 1 stars out of 5
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感情タグBEST3

匿名

ネタバレ 無料版購入済み

いちかには、周君みたいな、しっかりしてるし、客観的に冷静な判断できる人がそばにいてよかった。周君は女性に偏見はないタイプぽいし、意外と情がわいてきたみたいで、仲居でもやっとけ的な暴言に怒ってるぽいし、意外と夫婦としても仕事パートナーとしてもうまくいきそうかな

0
2024年02月03日

ネタバレ 購入済み

時代背景

政略結婚でも暮らしていくうちに心が通い合い、料亭を立て直していく様は読んでいて、楽しいし、時代背景も興味あり、続きが気になります。

#深い

0
2022年10月17日

購入済み

義姉さんちょいちょいやらかすな

いち日さんの、まわりの人のいいなりというか運命に身を任せるというか、自分自身の意見て無いのかな?あの時代の女性はそうなのかな?とか思いながら読み進めてきたけど、亡夫さんの思い出とかには感情が溢れていて、ちょっと安心しました。周くんの心にも少し変化が見られつつあるので、この先楽しみです。

0
2021年12月19日

購入済み

初めて、購入してまで続きが読みたいと思った作品です。
純文学感も否めないし、
少しのキュンと感もあり、お料理レシピもあり、
早く続きを購入したいです。

#胸キュン #切ない #深い

0
2021年11月10日

購入済み

恋愛だけじゃない!

恋愛だけでなく、料理の話もしっかりと。
読み始めからグッと引き込まれて
買ってしまいました笑笑

0
2020年06月23日

ネタバレ 購入済み

いつから愛に変わるのだろう

いち日はホテルの仕事を辞め、桑乃木の料理人となる決意をするがなかなかお客がこない。
そんな時お月見の出張料理の依頼が舞い込む。
当日は周が給仕に付き添い、女性には好評だがお茶の師匠の藤原には味に深みがないと酷評され不愉快だから仲居に戻れと言われてしまう。その言葉にいち日以上に怒る周の心の動きに注目。
その後いち日のお披露目の昼食会を催し、芸妓の市賀や新聞記者に気に入られ、新聞に載ったことや芸妓仲間の紹介でランチのお客様が増え始める。

いいなぁと思うのは料理のアイデアはもちろんいち日が出すのだけれど、周も毎回相談に乗ってメニューを決めるところ。仕事での積み重ねがお互いの信頼関係を確かなものにしているのが素敵です。

12月の初旬がいち日の誕生日と義母に知らされた周は、面倒と思いながらも自分の誕生日には風邪で手を尽くしてくれた事を思い出したりしてホテルのディナーを用意する。

いち日の母は時々二人の関係を近づけるための策を弄しているところがポイント!

食事の後に夜を共にしょうとするが、年下の周は大人の振舞いをしていたが、実は気負い過ぎてお酒に酔って失敗。

帰宅した二人の前に伯母が東京から戦争孤児となった遠縁の子を養子にと連れ帰っていた。やっと子作りをしようと思い始めた二人は呆然としてしまうが、たらい回しにするのはかわいそうと、いういち日に周も引き取る事を決意する。
この男の子がとてもかわいくて、周も戸惑いながら一緒にコロッケ作りをしたりする姿がかわいい。

お互いが手に触れる事にもどぎまぎしながら、やっとキスまで漕ぎつけた二人。次回は…。

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2020年04月16日
星のみの評価 10件