あらすじ
オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。 放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。 孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
深海に沈んでいる潜水艦に高性能な人工知能が設置されていたが、ある時期から交流が行えなくなったため、何とかして対話を試みる内容。物理的、仮想空間的にアクセスを試みる辺りの流れが好み。
巻を通じて、当初挙動が良く分からない不気味な存在であるオーロラの印象が、なぜそうしたかが分かっていくうちにだんだんと一人の人格として認識できるようになっていく感じがして面白かった。最終的になんだ割と普通の人じゃん、的な感じになったのだが、どの辺りから相手を人と思えるのだろうかなどと思った。
お話自体も面白いのだが、合間に挟まる思想的なフレーズが良い。有機と無機、現実と仮想ひっくるめて一つの生命体になるというような考えが印象に残った。
Posted by ブクログ
神回...とにかくロマンチックで素敵でした。
SFをこんなロマンチックに仕上げてくるの凄すぎです...人工知能たち愛しすぎ...オーロラがとても可愛かったです。
相変わらず登場人物たちの対話内容に浸って幸せな時間を過ごせました。久しぶりのあの方の登場も嬉しかった。
エピローグでは泣いてしまいました。。。
Posted by ブクログ
p180-181
人工知能は、ロボットと一緒に生きてきた。否、ロボットも潜水艦も、オーロラにとっては自分の肉体として認識されていただろう。
p183
なんとなく虚しい。
人工知能が、無限の虚しさに襲われても無理はない。
p248-249
「そうそう、君たちが学ぶのは、言葉になったデータなんだ。そこが、ラーニングの最も大きな落とし穴といえる。人はね、大事なことは言葉にしない。呑み込んでしまうんだ。賢明で正しい思考ほど、言葉になっていない。一番学ばなければならない賢者には、マニュアルがないんだ」
「賢者がマニュアルを残さないのは、どうしてですか?」
「人に教えること、教えられると思い上がることが、賢者にはできないからだよ。そういう自分が許せないんだ」
p249
残念ながら、そんな恋をしたことはない
最初は地味だなと思いつつ、やっぱり地味だな、とも思うけど面白かったです。
特に現代のChatGPTや各会社が山のように出しているAIと私たちの関わり方を見ていると、どこか接続点があるような気もしたので。
AI同士で自動学習する限界をさらりと書いていて、それが何らかの示唆になるのか予言になるのか、というところ。きっと当たるのだろうけれど(往々にして早すぎるのだ)。
今、AIと人間がどこらへんの位置にいるのか、というのは人それぞれの想像の中だが、このシリーズの中でもっとも人工知能というワードが乱立していたような気もして、かなりタイムリーに感じられた。
最後の別れと花屋のくだりも良かった。そして、言うか言うまいかで迷い、言わない選択肢を選んだデボラをどう判断するか、という見せ方も鮮やか。
Posted by ブクログ
2023.05. audible
今回はスーパ・コンピュータ。
次々と色々なものが出てくるなぁ。
ウォーカロンでさえ、いまだによく理解できてないのに…
amzon本の紹介
オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。
放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。
孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。
Posted by ブクログ
人工知能オーロラの話なのに、Wシリーズでもっとも「人間」らしい。揺らぎがテーマにあるからかな。
デボラは前作からウグイの昇進の情報を持ってたんだろうか。花を贈る…
Posted by ブクログ
人工知能が学習を進めたその先は人を超えて機械的な判断をするのか、又はその逆なのか。
本作を読んで、今の多くの産業が数十年で頭打ちになった時、人はなんのために生まれて、死ぬのか考えさせられた。
人が第一であると人が考えているが
AIが進化し、本作であった人のように揺らぐこともできるなら
AIはなにを第一と考えるのか。興味は尽きない。
ウグイが昇進し、ハギリの元を離れてしまうのがなんとも寂しい気持ちになった。
オーロラがウグイの形をしたのも、そういった意図があったのかもしれない。
ハギリ陣営が大きく変わったラストだったので、早急に次作を読みたい。
Posted by ブクログ
Wシリーズ6つめ。アネバネ出てこずおとなしめ。核を乗せた潜水艦と一緒に海底深くにいるオーロラの話。オーロラは死んだと思われていたフーリと一緒にいた。だんだんハギリとウグイの距離が縮まっていく。アネバネ出てないからイマイチ⁈
Posted by ブクログ
3
Wシリーズ6弾。北極にある日本とロシアの共同基地。海底五千mに忘れられたスパコンオーロラ。データ蓄積と思考を重ねた人工知能の話。シキが設置したオーロラは、孤独からジレンマに陥り偽りのレポートを送るように。暴走防止のためハギリに依頼。人が関与せず自立で自己修正の結果。潜水艦せいげつに乗っていた人間のフーリ。フーリとオーロラの交流、フーリ死後の孤独。身体をもった人工知能オーロラ。ハギリとの共著論文。前作と逆の発想で、種々の可能性が見え面白い。ウグイが昇格しキガタ・サリノがハギリ担当に。
アミラの本当の名前はスカーレット(シキ曰く)。
テルグの住人であるフーリは、北極海でオーロラと過ごしたフーリを失った両親が、娘の代わりに育てたウォーカロン。
青い月は、潜水艦のせいげつ、ブルームーン。