あらすじ
舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界 ── 。
海にのぞむ隣国サンガルに招かれた、新ヨゴ皇国の皇太子チャグム。しかし、異界からの使いがあらわれたことで、王宮は不安と恐怖につつまれる。呪いと陰謀のなかで奔走するチャグムを描く、シリーズ第4作。
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Posted by ブクログ
守り人シリーズ、4作品目。
これまで、新ヨゴ皇国、カンバル王国が舞台だったのが、一気に世界が広がっていく。と同時に、侵略、戦争といったきな臭いものが漂ってくる。
2つの序章の、読む側を惹きつける強さが素晴らしい。哀しい運命のエーシャナと、これまた悲しい運命になってしまったスリナァ。ここから、バルサやチャグムとどう繋がっていくのか、先を急ぎたくなる見事な書きっぷり。
チャグムの新ヨゴ皇国と、隣国で多くの島を有して海を抱くサンガル王国の王家のあり方の違いなどが見事に描かれている。上橋さんの知識の深さに圧倒される。フィールドワークが源泉になっているようにも感じた。
終盤になって、あれ、これ、バルサ出てこないんだ、と気づく(笑)
無事に冤罪が晴れて、王家に戻ったタルサン。しかし、タルシュ帝国の侵略に反撃すべく、生き生きと出陣するタルサンと、チャグムとの間に横たわる深い溝が悲しかった。似通った熱い想いを持っている二人なのに・・・。
そして、ラストシーンのチャグムとシュガのやり取りは胸に迫る。チャグムの人となりをよく表すシーンだった。こんな二人が国を守っていけば最強だろうと、短絡的に思いそうになるが、そうはいかないのが、これから続くシリーズでわかっていくのだろう・・・。
Posted by ブクログ
チャグムの成長に驚いた。
本編はバルサ中心の守り人シリーズとは異なるチャグの物語。シュガがチャグムに誓う場面が印象的。チャグムが「陰謀の存在を知りながら、誰かを見殺しにするようなことを、けっして、わたしにさせるな」と言い、それをシュガが約束する。そして後日「清い、かがやく魂を見に秘めたままで、政を行える方がいることを、私は信じます」と。
人の世にはダークなものがあり、それと同じくらいきれいなものがあると、物語に触れて改めて思った。