あらすじ
舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界 ── 。
腕ききの女用心棒・バルサはある日、川におちた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを助ける。チャグムは、その身に得体の知れない“おそろしいモノ”を宿したため、「威信に傷がつく」ことをおそれる父、帝によって暗殺されそうになっていたのだ。
チャグムの母・二ノ妃から、チャグムを守るよう依頼を受けたバルサは、幼ななじみの薬草師・タンダの元へ身を寄せる。そして、バルサとチャグムは、タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられるのだった ── チャグムに宿ったのは、異界の水の精霊の「卵」であること、孵化まで守らないと大干ばつがおこること、そして、異界の魔物がその「卵」をねらってやってくること ── 。
帝のはなつ追っ手、さらに人の世の力をこえた危険から、バルサはチャグムを守り抜けるのか? バルサとチャグムの出会いから始まる、「守り人」シリーズの第1作。
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Posted by ブクログ
中3女子が「小5の時に読んだ本です!一気読みしちゃう面白さです!」とお勧めしてくれた本。いや、一気読みできなかったよ(笑)
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ロード・オブ・ザ・リングとかハリーポッターみたいな世界観。登場人物、王族に仕える職種、場面背景のどれにも異国感が随所に漂っていて、まずそれぞれ登場人物とそのつながりを理解するのに苦戦。初っ端のページの進みの悪さったら。笑
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帝、皇子、星読み博士、聖堂士、護衛人、狩人とか諸々が出てきて、高校の世界史が懐かしい。でも、眠ってて授業はあんまり聞いてなかったから、こういうやつあったなとは思うんだけど、何時代とかどこの国とか全く分からない。あー、残念。
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チャグムが見る古代と現代が重なって織り成す情景や、見えない魔物が時折姿を見せる鋭い爪と戦う緊迫感、タンダのバルサを思いやる深さと分け隔てなく人に接するところ、どれも面白い。
Posted by ブクログ
ずっと気にはなっていたけれど、シリーズの多さに身構えてしまい、それとなく読むことを避けていた作品。でもついに、上橋さんの「鹿の王」と「狐笛・・・」を読んで、手を出すことになってしまった。私にとっても長い旅になりそう(笑)
端的に言って、素晴らしいファンタジーだった。これまで読んだ2作品よりも、よりファンタジーだったと私は思った。すごい世界観。圧倒的な世界観。この世界観とストーリー展開の完成度は言わずもがなだと思うけれど、物語の端々で人間の機微が巧みに表現されていたり、人間世界の真理をつく表現があったり、はっとさせられることが多かった。この世のものでないものの卵を勝手に宿され、運命に翻弄されるチャグムのやり場のない怒り、権力者によって父親を奪われ、故郷を追われることとなったバルサの怒り、哀しみ。そして、バルサの「人生なんて不公平なものだ」という悟りの境地ともいえる心境。何より、国の祖とさせれる人物が、自身の威信のために事実を捻じ曲げ、正しい史実が語られなかったというこの物語の基礎とも言える背景や、星読み達がいつのまにか政のためだけに働くようになり、本当に大切なことに目が霞んでいたというようなことは、現実世界でのあれやこれやを暗に指摘されているようで、うむむむと唸る思いだった。
チャグムとの別れのシーンはぐっときた。チャグムもバルサもタンダもなんとも強い精神の持ち主だ。与えられた運命を、自分なりにもがき、抗いながら生きていく。人生は本当にそういうものなのだろうと腹落ちする感じがあった。
まだシリーズ1作目。旅は始まったばかり。