あらすじ
大学在学中にデビューした新進作家の連城響生。味のある作風を評価されていたが、自分の殻を破れない。運命に導かれるように出会った劇作家榛原憂月の舞台が響生を変えてゆく。榛原の世界に熱狂し翻弄される響生。自らの作風も変わり気が付くと榛原の模倣作家(エピゴーネン)に…。絶望の淵に落ちた響生は友人奥田の励ましで戯曲を書き始める。若き日の響生の姿、原点を描く「赤の神紋」サイドストーリー。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
どん底からいくらか這い上がってあの状態(本編)の連城が、そのどん底へ墜落していくさまを描いている番外編。というわけで(?)、これでもか!と言葉攻め(だって小説だもん)されるさまを想像したらページを捲るのも恐怖(だって桑原作品だもん)!というわけで、読むのに時間がかかった一冊。
だって連城、他人の気がしない。なんとなく身に覚えのあるような感覚だらけ。わたしには奥田のようなひとはいなかったけど、榛原もいなかった。榛原と出会えていないことを幸運ととるか、それでも連城を羨ましいと思うか。刺激的な人生・・・桑原作品に出会えたことでよし、としよう。
それにしても、だ。いきいきと明るい笑顔をふりまくような連城響生って、恥ずかしいやらこそばゆいやらいたたまれないやら。それでもなんだかぐーっと近づけたような。連城と榛原、それからケイの関係。「赤の紳紋」の理由。いまさらようやくわかってきた感じがする。たぶん先を読み急ぐことになるんだろうけど、「ファイアフライ」「黒鍵」を経て「赤の紳紋 第一章」という流れでじっくりと読みたかったような気がしなくもない。ちょっとだけもったいない。
20080317〜20080325
Posted by ブクログ
連城が榛原の作品と出会った時に、「処女膜を破られるような痛み」って表現があってうわあって思った。作者は女の方で、主人公連城は男なのによくこの表現使ったなぁ、っと思って。面白いよね
Posted by ブクログ
割と、何度も読んで、何度も読み続けたけれど、終わりにはたどり着けなかった本、と読んだ方が正しいのかもしれない。
読み終わってない本が傍にあるのに、新しい本をとってきてしまうのは、私のとてもよくないクセだと思う。
そんなわけで「国権」。
「赤の神紋」という小説でドロドロを演じる連城のサイドストーリー。
連城はどうやって榛原を知り、榛原に傾倒し、また榛原に飲み込まれてしまったのか、の物語。
もちろん、一度地に落ちた連城は筆を折ったけれど。
奥田の助けを得て、立ち上がり。
けれど、また見てはいけなかったものを見せられてしまっていた。
とてもつらいつらい話。
時として創作はたくさんの人の心を打ち。たくさんの人の心を撃つことがある。それはもちろん、悪いことではないのだけれど、撃たれた側には致命的なダメージを与えられることになる。
もちろん、同じ方向を目指していればその確率は更に上がる。
そしてそれは連城を何度も、何度も、飲み込んでしまう。
すごく難しい問題なんだと思っています。
おそらく、才能があっただけ、連城には重くのしかかってきてしまった。
これはその苦悩だけが重くのしかかってくる、連城のサイドストーリー。
この物語に救いはない。
あるとしたら、ケイがいるだけだ。
ただ、それだけ。
それ以上の救いは「赤の神紋」の本編を読んでほしいけれど、きっち多分、本編を読んでも救いなんてものは存在しなかったことは、最後まで読んだ私は知っている。
Posted by ブクログ
シリーズ外伝2
連城さん大学生編
初めて榛原演劇にあって、
のめり込み、挫折し。やがて立ち上がっていく話は奥田さんの頑張りなしではありえないことで
青くかたくなな連城も
熱狂のあまり榛原にのめり込む連城も
悲観し、人のあたたかさに気づく連城も
いいねぇ
最高にチラッとでてきたケイとのシーンも
美しい!
怒涛の本編を読む前の心準備と潤いのためには
サイコーの一冊
怒涛の本編を読む前の心準備