あらすじ
渡辺奎吾は、興奮していた。8年ぶりに観る、『メデュウサ』の舞台に。否、「ハミル」役を演じる役者の一挙一動に、だ。彼は、その役者・葛川蛍から目が離せなくなっていた。そして、ケイの演技は渡辺に、オリジナルキャストのハミル、藤崎晃一を思い出させる…。――13年前の藤崎と榛原の出会いと、彼らの演技に対する情熱とこだわりを描いた『ファイアフライ』他、書き下ろし一編を収録。【目次】ファイアフライ――熱情を受け継いだ翼。/黒猫と大きな手
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Posted by ブクログ
榛原のキャンパスライフっすか。第6章までとは違う、神がすぅっと降りてきたようにいくらか身近に感じられる(逆だ。)、人間くささもありつつそれでもやっぱり変なひと(大食キャラなんて素敵っ)。
それぞれにいろいろな問題を抱えて、だけどそれを乗り越えて成功していくさまは、文章の勢いに乗って小気味よく深く凝った心を掻き回されるよう(読むスピードも上がります)。すぐ隣にももしかしたらいるかもしれない彼らの情熱を、分けて励ましてくれているような気がするのは、向かう先のわからない自分への・・・うん、ただの気晴らしにはしたくないな。いま、彼らに出会えたことを幸運と思おう(病んでる)。
本編よりはほんわか風味。そこに救われる。
20080229〜20080305
Posted by ブクログ
泥沼話の閑話休題作。
一つ目は、NY帰りのケイと響生の話……
ですが。
ケイが撮った写真を渡しに行ったら、響生の過去の女に会ってしまう……という話が一つ。
もう一つは、渡辺、藤崎、榛原の初めの初めの話。
大学演劇から始まった3人の出会い、そして別れまでが描かれている。
この話を見て、榛原と藤崎の抱えている者の重さと。
狂気であった理由が、とてもよくわかりました。
そして、終わるべくして、二人の関係は終わってしまったのだ……と。
一度、演劇のワークショップみたいなものを受けてみたいと思って見てたことはあったんですが。
自分の内面をさらけ出す覚悟がなかったので、やめました。
演じるって、自分の培ってきたものをすべて出す行為に近いと思っていて。
それはなかなかきついよね……と思ってしまう。
そうなると、そういうものすべてをさらけ出している役者ってすごい仕事だな、と思いつつ……
演劇に魅入られた男たちが、織りなす答えのない人間関係がよくわかりました。
ただ、本編よりも、響生とケイの関係が落ち着いているので、どろどろとした感じはなかったです。