【感想・ネタバレ】終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XIのレビュー

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新ローマ帝国衰亡史

一部ご紹介します。
・内戦は悲劇である。これさえ起こらなければ国家という「共同体」に貢献できた多くの有能な人材が、ただ単に敗者になったというだけで消されてしまうのだから。内戦とは、自分で自分の肉体を傷つけ、自らの血を流すことなのだ。出血多量は、死に至らなかったとしても、体力の減退は避けられない。

・一般の人より強大な権力を与えられている指導者の存在意義は、いつかは訪れる雨の日のために、人々の使える傘を用意しておくことにある。
・思考も筋肉と同じように絶えざる鍛練を必要とする。思考も使わないとカンが鈍ってくる。
・戦略が確立していないと、戦争の長期化に繋がりやすい。戦争は、攻められる側だけでなく、攻める側にとっても悪である。従って、早く終わらせることが何よりもの「善」となる。
・哲学は、正しい生き方は教えても、人間社会の現実までは教えてくれない。それを教えてくれるのは歴史。
・書物と違って映画では背後関係の詳細な解説は許されない。映像は、文章では表現困難な事柄まで一瞬のうちに伝達する力を持っているが、伝え得る情報の質と量になると、映像よりも文章の方が断じて優れている。
・善意は必ずしも良い結果に繋がらない。
・セプティミウス・セヴェルス「わたしは全てをやった。元老院議員でもあった。弁護士もやった。執政官も務めた。大隊長もやった。将軍でもあった。そして、皇帝もやったのだ。つまりは、国家の要職は全て経験し、しかも充分に勤めあげたという自信ならばある。だが、今になってみると、その全てが無駄であったようだ。」

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

五賢帝の最後を飾るマルクス・アウレリウス。しかし、著者はハドリヤヌス、アントニヌス・ピウスの時代に遡ってとき始める。なぜマルクス帝の時代にローマが没落し始めるのか、それは彼の息子が愚帝であったためだけなのか、マルクスの時代がハドリヤヌス、ピウスの時代とどのように異なるのか、詳しく書いており納得性に富みます。そしてなぜ哲人皇帝が後継者に失敗したのか、やはり息子への偏愛に眼が曇ったのか?著者の説明はこれまでの常識に対して挑戦するように、ピウスに厳しかったり、マルクスの悩みに焦点を当てたりと極めて飽きさせない推理に富んだ素晴らしい歴史でした。映画「グラディエーター」をこの執筆のために何度も見たということ。私自身も見たことがあり、あの戦争シーンについて「確かにあのような戦争だったのかも知れない」という説明に頷けます。

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2013年08月24日

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