あらすじ
任侠×グルメ 大人気シリーズ、第11弾!
フードデリバリーで働く和希は、炎天下の配達の帰り道、純喫茶に誘われる。頬に傷のある男がメロンクリームソーダでもてなして……。
パープル企業を退職し、フードデリバリーの配達員になった湯浅和希。努力しだいで稼げるものの世間の冷たい目にメンタルを削られる。猛暑のなか、和希はひょんなことからレトロな喫茶店に通いはじめる。マスターは頬に傷持つあの男。絶品料理を堪能しつつも、仕事のトラブルで絶体絶命に……文庫書き下ろし第11弾!
プロローグ―友だちはパキラだけ。フーデリ配達員の孤独
1.揚げものの旨さ倍増。イギリスの定番調味料
2.謎肉が旨さの秘密。サワーが進む塩焼そば
3.夏こそ激辛。真っ赤なアメリカ郷土料理
4.簡単だけど絶品。真夏の夜の冷製パスタ
5.猛暑が吹き飛ぶ。海鮮で作る超辛カレー
6.牛肉にバナナ? 未体験の南米ソウルフード
7.その味わいが心に沁みる。別れに食す夏の涼
エピローグ―もう失敗を恐れない。まえに進めば道は開ける
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Posted by ブクログ
普段よりも、登場する若者が、まとも。
普通の若者が、気が付けば、犯罪に巻き込まれていく。これまでの、若者に喝を入れる、教えるという展開とは、一味違う。
今の不寛容社会の問題と、そんな社会で生きる上での心構えが語られる。
全てが金と、若者が感じられる社会にしてしまった大人の責任が述べられ、若者への贖罪と、そんな社会でも自ら切り開くとい観点からのエールが垣間見られる作品だった。
世相か。
今回のメッセージは、最後の締めくくりに書かれているとおりだろう。
[引用]
他人の失敗を許せない人びとや他人を見下す人びとは、誹謗中傷やレッテル貼りを続けるだろう。
しかし、社会が変わらなくても、自分は変えられる。人生をつまらなくするのも自分、充実させるのも自分なのだ。
[ここまで]
下手をすると、自己責任論とも読めてしまいそうで、困っているときには難しい。
別に読んだ禅の本にある、大いなる自己というもの、生かされていることを含めての自分次第、という補助線も必要な気がする。
全て自分次第というところと、人に助けを求める、協力するということをどうすれば両立できるのか。自分の課題にもつながる。
今のところ、そのあたりは、わからぬままに、探究していくしかないですね。
誰かそのへんは、教えて頂けるとありがたいです。
しかしまあ、若者が都合よく、レシピに関心を持って質問してくれたりは、やはり物語のご都合的なものなのかも。現実社会では、そうしたことを聞いてくれる人自体はいなかったり、聞いてもらうための関係性の構築やティーチングも必要なんだよなと。ストーリーに慣れすぎると、ストーリーどおりに展開しない現実にイラッとしてしまうが、人それぞれ、違うストーリーを生きてるから当たり前なのかもなと、改めて思う。
そういうことも含めて、まずは、他人を見下さない、レッテルを貼らない生き方を丁寧に心がけて、自分の目指したい、多元主義と共生、寛容という価値観の体現に取り組みたい。
チカラを入れて力まず。
Posted by ブクログ
福澤徹三『侠飯 11 激辛ガチ推し篇』文春文庫。
シリーズ第11弾。まさかこんなに長く続くとは思わなかった。人気のあるシリーズなのだろう。
今回、柳刃竜一と火野丈治が潜入したのは、昭和レトロな喫茶店。柳刃が作る相変わらず美味そうな料理がレシピと共に紹介される。
この殺伐とした時代に、任侠と人情、人としての生き方までを教えてくれる、強面だが、心優しき2人の潜入捜査官。
やっとの思いで就職した都内のパープル会社を退職し、フードデリバリーの配達員で生計を立てる湯浅和希は世間の冷たい目に晒されながら、メンタルを削られる毎日を過ごしていた。
ある日、和希はピックアップ先のゴーストレストランをワンオペで切盛りするバイトの栓多悠人と知り合う。2人は誘い合わせて飲みに行くが、途中で悠人のバイト先近くの『純喫茶 王宮』という昭和レトロな喫茶店の店員の火野丈治に呼び止められ、店内でマスターの柳刃竜一が作る絶品料理が振る舞われる。
和希と悠人、それにガールズバーをクビになったという苺谷小夜乃の3人は、度々、『純喫茶 王宮』を訪れ、柳刃の振る舞う絶品料理を楽しむようになる。
そんな中、和希はフードデリバリーの仕事をクビになり、悠人が働くゴーストレストランのオーナーの口利きで時給2千円のバイトをするが、それは老人たちを騙す訪問詐欺だった。和希はそのバイト先から逃げ出すが、ハイパーサラリーマンを名乗る地切豪己と地切会専務の壺打勇飛に悠人、小夜乃と共に拉致される。
タワマンの最上階に拉致され、絶体絶命の危機の中……
最初に紹介される料理、フィッシュ・アンド・チップスは、自分が住んでいる福島県の天栄村にあるブリティッシュ・ヒルズというちょっと変わった施設で本場の味を食べたことがある。一皿20ポンドで、日本円だと2千円だった。ここはテレビドラマの『相棒』などの撮影に使われているくらい英国の雰囲気のある建物が並び、働いている人たちも英国人という徹底した英語研修&宿泊観光施設なのだ。さらに、ここでは本格的なアフタヌーンティーも楽しめるのだ。
本体価格800円
★★★★★
Posted by ブクログ
“おとこめし”ファンの皆さん、11巻が出ていますよん。この薄さといい、字のデカさといい、本が読みたいのに最近なかなか読めずにいる者の救世主(笑)。
序盤なかなかあのふたりが出てこないから、いつもこんな調子だったっけと訝っていましたが、こんなもんでしたかね。
今回は純喫茶に登場。柳刃の料理に魅せられるのは毎度のこと。書き留めておきたくなる金言があるのも毎度のこと。説教臭くならないのが凄いなぁといつもながら感心します。
昼間のメニューはトーストだけらしいけど、そっちも食べてみたいです。永遠に柳刃と火野推しで居たい。