あらすじ
名探偵とは、直接犯人と争うことなく事件の原因を調べ謎を解く探偵だ。かつての部下は間瀬辰人についてこう語る。「メディシン吸血鬼と恐れられた漆黒のギリギリサラリーマン」と――。雑誌掲載時に大反響を呼んだハードボイルドミステリー番外編を収録。かつて新薬「JS1」をめぐって岸と対決した傑物がカムバックする!
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10割の診断
一部ご紹介します。
・「伍代先生、先ほどの言い分ですと、先生は癌を見逃しても構わないと思ってらっしゃる?」
「100%の正しい診断なんてありませんから」
「ありますよ」
「人間のやることに絶対なんてない」
「そりゃ、あんたが病理診断をただの絵合わせゲームだと思ってるからです。見た目だけじゃ白黒つけられない診断なんていくらでもある。
だから病理医は言うんです。『何故そう思った』『これではわからない』『確かめよう』『証拠を探そう』。臨床医と怒鳴り合いもする。
そして最後に、必ず病理医も臨床医も納得する診断にたどり着く。これが10割の診断です」
「それでも間違うこともある。どうしても診断付けられない症例もあるだろ」
「それはもう誤診じゃない。患者の病気が現代医療の限界を超えただけだ。伍代先生の診断とは違う。
あなた病理向いてないですよ。これからあなたに診られる患者が気の毒だ」
・「くだらないことかもしれないけど、私は本気で投げましたから」
「こんなことでよく本気になれるな」
「…私、どんくさくて不器用ですから。手を抜く方が疲れちゃうんっです。伍代先生が言ったことも、今回のことも、怒ったことも、絶対忘れません。明日もその先も間違えないでいきたいから」
Posted by ブクログ
サブキャラにスポットライトが当たった前半のせいで、普段とはだいぶ趣が異なる本巻。かなりヤな奴だけど、インパクトが大きい分、描きやすいんでしょうか。そして後半では、いよいよ病理医自身の診断ミスに関して。絶対的答えみたいな意味合いを持つだけに、そこで違われると…みたいな感じだけど、その実態やいかに。