あらすじ
夏休みはしまむらと会えなくなる……お祭りに行ったり、プールで泳いだり、一緒にアイス食べたり、やりたいことがいっぱいありすぎて……そうだ、やりたいことリストだ! かきかきかきかき……。 夏休みはいいものだ。なにがいいって朝、無理して起きなくていい。でも、やることがなくて、時間が過ぎるのが遅い。安達は何をしてるんだろ。バイトかな。っと、電話だ。花火大会? 別にいいけど──。 安達としまむらの夏休み。去年とは少し違う、高校二年の夏休みが始まる。
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Posted by ブクログ
『安達としまむら』シリーズ第五弾。
個人的に大好きなシリーズなので、ワクワクしながら読んでいました。
今作は二人の高二の夏休み編。
前編なのですが、遂に安達に心境の変化が……⁉ と、期待させるところで終わりました。次巻読むの楽しみ。どうなるんでしょう。
印象的だったシーンは、中盤、安達がしまむらに「めんどくさいなぁ……」と冷たくあしらわれるシーン。
『しまむらが別の友達と仲良くしていた』という理由はあるものの、およそ二ページ半にも及ぶ嫉妬語りは流石にやらかしだった。
でも安達の気持ちもすごく分かる。自分が安達だったら、間違いなく嫉妬しますね。『自分とだけ仲良くしてほしい』っていう気持ちは、自分も味わったことがあるので、より共感できました。
……まぁでも結果的に何事もなかったかのように収まっているので、『ちょっと友人との間で気まずいことになった』くらいで気にするのは辞めたほうがいいな、とは思いました。以上です。
前向きな気持ち一つだけで、随分と寛容になれるものだった。
──P45より
最近の私の毎日は、しまむらを目指している。しまむらの肩に、そっと止まれるよう飛び続ける鳥のように。ぐるぐる、一日を回っては機会を探し求めている。そうしてようやく見つけたしまむらの肩に止まった後、そこへ戻ってこられるようにと飛んでいく。
しまむらを目指し、しまむらに終わり、しまむらから始まる。
生きる支えなんていうと大げさだけど、指針になっているのは間違いない。
それを、改めて感じ取った笑みなのだと、理解した。
──P50より
美しい記憶も、共有できなければ困惑しか生まない。
──P58より
昔に戻るって、そんなに素晴らしいことだと思えないのだ。
欠けない、朽ちない損なわれない本物のなにかがわたしたちの間にあるなら、戻らなくても見つけられるはずで。
──P90、しまむらの考えより
電話を恐る恐る、耳から離す。
めんどくさいなぁ。
しまむらの声だけが、耳と、その奥に残る。
グラングランと、部屋が、上下に揺れる。
頭は凝固して、なにも考えられない。
舌と目をだらしなく前へと突き出しながら、硬直する。
身の震えさえ通り越して。
死んだように、停止していた。
──P125、この時、安達の気持ちは……
物事は積み重ねていくほど、一歩の価値と意味と重さが薄れていく。
おかしなものだった。成果が出るほどに、気づけなくなるなんて。
──P188、安達が感じたことより
Posted by ブクログ
過去4巻合わせても今回の安達のセリフ量にはかなわないだろうな。正直やりすぎだろって思いもしたけど、安達の想いが溢れて出て良かった。今まではさしまむらがその蛇口を上手い具合に調整してたんだけど、それを放棄した結果、止まらなくなっちゃったんだよね。そんな気がする。でもしまむらが薄情かっていったら、そんなことはないと思う。
しまむらの独白で隙間を作ると悪意が入り込むって話があったけど、その話自体は否定は出来ない。けど安達としまむらはその隙間の形がピースみたいにガッチリハマるんじゃないかな。まだお互い探りあって変形しようとしてる途中なだけ。めっちゃ好きな巻だなー