あらすじ
今見るしかない、『蒼天航路』王欣太の現在進行形最高傑作!!時は紀元前、戦乱やまぬ春秋戦国の世。苛烈な法で天下を支配せんと各国を蹂躙する、虎狼の国・秦!その野望を砕くべく、決起したるは荘子の直孫・荘丹。祖父譲りの大法螺で天下のツボを突きまくり、数多の「達人」が共闘を約す!「歴史の分水嶺」と注視される趙と秦の大戦は、盗跖率いる流氓侠客軍団の趙軍参戦で秦を押し戻したものの、斥候として紛れていた白起と盗跖が激突!互いの尋常ならざるを知る両雄の戦に刮目せよ!!
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三国志を異色のタッチで描いた名作「蒼天航路」の王欣太先生が、同じく中国歴史ものをテーマとした作品です。
舞台は中国の戦国時代。三国志よりも400年以上前で、「キングダム」と同時代のお話です。そのため、キングダムで登場する人物も本作に数多く登場します。
ただし、キングダムは秦を中心とした目線で描かれているのに対し、本作は打倒秦を目指す人たちの目線で描かれていて、また、年代はキングダムよりも少し古い時代を描いているため、同じ登場人物でもかなりキャラクターに差が出ています。(まだ秦の宰相になる前の若いころの「呂不韋」がイケメンです!)キングダムとキャラクターを比較しながら読むのも楽しいですね。
漢(おとこ)の生き様の描き方は、さすが王欣太先生!戦闘シーンも豪快に、勢いよく描かれています。
キングダムで中国の歴史にハマった人、三国志などの中国の歴史が大好きな人に、おすすめしたい作品です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
白起と盗跖の一騎打ち。廉頗の召還。趙括の抜擢。懐妊する朱姫。
終わりの始まりの14巻。
趙括の危うさに気づくには父親の光と、秦の影が強かったからなのか。どちらも個人の光彩を覆い隠してしまうほどの強さだったからか。
白起との一騎打ちで死亡した盗跖。彼の死は侠客たちだけでなく、士人であった孟梁にも大きく影を落とします。孟梁は、向こう見ずで意欲が空回りする管理職という立ち位置だったと感じてました。相容れない紳士と侠客を、わかりやすく風刺したような存在かな。その孟梁でさえ、盗跖の死には憤慨落胆してしまう。
盗跖の存在の大きさ。
孟梁は、この先どう進化するんだろう。
九代目・盗跖を継いだのは玄修。終わりの始まりの14巻において、希望が繋がれる出来事。賀震の言葉。人の炎は消し尽くせぬ!こうやって、炎は消えることなく燃え続けてゆくのです。
表紙は中国を孕んだ朱姫。
終わりの始まりは、次への始まり。
女性にもおすすめ
12巻無料で読み始め、歴史が得意でなくてもハマりました。どんなに自分らしく生きる事が難しい世であろうと、自分の立場や力を活かし達人を目指す有志達、いきいきとつながりあい人生を生き抜く様が魅力的に描かれ、現代にも通じる感覚で読めます。気がつくと大呼吸してます。荘子にも興味がわきました。
正念場
ここへ来て改めて一巻から読み直してみると、この作品の単純明快な構造がよく分かる。戦国四君ら破天荒な先達が掻き回す天下に夢を見ていた若者が、そのような無頼を許さない社会、秦に抗う。単純な二項対立の物語であり、蒼天航路のような歴史ものとして読もうとすると物足りないのはそのためだ。人がありのままその生命を燃やし尽くせる天下。その諸相を描くとき王欣太の筆は異様な冴えを見せる。盗拓の笑顔ひとつ、民の雄叫びひとつ、そんなひとつひとつに読者は引き込まれ、秦から来る黥骨や王齕らさえ「丹の三侠」たちの放つものに触れると目を生き生きと輝かせ、ニヤリと口元を上げて戦にその情熱を注ぎ込んで来たのである。