三国志を異色のタッチで描いた名作「蒼天航路」の王欣太先生が、同じく中国歴史ものをテーマとした作品です。
舞台は中国の戦国時代。三国志よりも400年以上前で、「キングダム」と同時代のお話です。そのため、キングダムで登場する人物も本作に数多く登場します。
ただし、キングダムは秦を中心とした目線で描かれているのに対し、本作は打倒秦を目指す人たちの目線で描かれていて、また、年代はキングダムよりも少し古い時代を描いているため、同じ登場人物でもかなりキャラクターに差が出ています。(まだ秦の宰相になる前の若いころの「呂不韋」がイケメンです!)キングダムとキャラクターを比較しながら読むのも楽しいですね。
漢(おとこ)の生き様の描き方は、さすが王欣太先生!戦闘シーンも豪快に、勢いよく描かれています。
キングダムで中国の歴史にハマった人、三国志などの中国の歴史が大好きな人に、おすすめしたい作品です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2020年08月10日
表紙は白起。斥候スタイル。
本来なら戦場陣頭にあって指揮をし殺戮する将軍が、長平に臨んで自ら斥候の人に就いています。
この戦いが歴史の分水嶺ということを感じ、勝利するためには廉頗の打倒ありきと判断。そのための斥候。
上党撤退、流氓侠客集団の奇襲と進捗してきた長平の戦。諜報戦のターンになります。
斥...続きを読む候中の白起の手にかかり殺された賀震の最期の言葉。
「いくら探ろうと人ならぬお前にはわかるまい」
「なぜ盗跖が趙の軍中にいるのか⁉︎なぜ上党の民が秦という国を命懸けで拒むのか⁉︎」
「白起よ!胸に刻め」
「いかなる殺戮によろうと人の炎は消し尽せぬのだ‼︎」
徹底して秦、そして白起を否定する台詞。ここに込められた想いというお話、「達人伝」だけでなくて、王欣太の根底に流れるものなのではないか、と感じます。
特に最後の一文の「人の炎は消し尽くせぬ」でしょうね。
この言葉が白起に与えた影響は如何なるものか。
それは長平の戦いのクライマックスにつながってきます。