【感想・ネタバレ】達人伝 ~9万里を風に乗り~ 23 【電子書籍限定特典ネーム付き】のレビュー

三国志を異色のタッチで描いた名作「蒼天航路」の王欣太先生が、同じく中国歴史ものをテーマとした作品です。
舞台は中国の戦国時代。三国志よりも400年以上前で、「キングダム」と同時代のお話です。そのため、キングダムで登場する人物も本作に数多く登場します。
ただし、キングダムは秦を中心とした目線で描かれているのに対し、本作は打倒秦を目指す人たちの目線で描かれていて、また、年代はキングダムよりも少し古い時代を描いているため、同じ登場人物でもかなりキャラクターに差が出ています。(まだ秦の宰相になる前の若いころの「呂不韋」がイケメンです!)キングダムとキャラクターを比較しながら読むのも楽しいですね。
漢(おとこ)の生き様の描き方は、さすが王欣太先生!戦闘シーンも豪快に、勢いよく描かれています。
キングダムで中国の歴史にハマった人、三国志などの中国の歴史が大好きな人に、おすすめしたい作品です!

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Posted by ブクログ 2019年05月02日

「首級をあげること城を落とすことに価値を求めない
 あるいは勝利にさえそれ自体の価値を認めない!
 私は徹底的に戦に政(まつりごと)を求める!
 政としての利を求める!」

蒙ゴウが軍を統べる理由がすっきりと描かれていた。
呂不韋の求めるものは、政に真っ直ぐ向く事象のみ。
戦の勝利にさえ、政に向いて...続きを読むいなければ価値を認めない。

鮮やか。
実に鮮やかに、清々する程、真っ直ぐな新宰相の到来。
商人がゆえ道筋が一本であったんだ、と思わされました。

対して真逆にいながら、同じく真っ直ぐに吠える荘丹。

「人のためにあるのが法ではないのか!?」

清らか。
牢獄で叫ぶ姿が、何よりも増して清廉、静謐に感じた。

この間にズシリと分け入る、政(後の始皇帝)。

「…なんて 素敵だ」

酷薄さ。
生死難局、誰もが怯む場面に、恍惚と涼しげに笑む。
この瞬間、盈政が歴史を出た、とそう実感するシーン。

平原君の死に、嚢中の錐・毛遂。
春申君に、実利の李斯に、吃音の韓非。
魏王の憤慨に、信陵君の盟主挙兵。
鯨骨の王に対する墳墓への嘆き。

もういたるところ、詰まり詰まった一冊でした。

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