あらすじ
年末にかけて体調を崩していた桐山零だが、三姉妹の献身的な看病を受けて回復する。復調した桐山は因縁の相手・後藤九段と対決すべく、一層の気合いで獅子王戦挑戦者決定トーナメントに挑むのだが…
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これは、様々な人間が「何か」を取り戻していく、優しい物語。そして、戦いの物語。(公式サイトより引用)
主人公の桐山零は、将棋界史上5人目となる中学生でプロ入りした若手棋士。幼くして家族を亡くしてから深い孤独を抱えていた彼が、三月町に住む川本家の三姉妹と出会った。健気であたたかい三姉妹との交流を重ねるうちに、人の優しさを改めて知り、人間的に成長していく、というヒューマンドラマである。
棋士たちが背負う想いがぶつかり合う熱いバトルがメインのお話だが、三姉妹との出会いとほのぼのしたかけ合いが、バランスよく描かれている。将棋漫画でありながら、人と関わる大切さを教えてくれる、儚さと強さを秘めた作品である。
いろいろ疲れていた心にじわじわと染み入る特効薬はいかがですか。
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闘い続ける棋士の日常とか
風邪でダウンした零君を心配して押しかけてくる川本姉妹が良いです。年末年始を過ごしたりして、獅子王戦(内容は竜王戦っぽいですが開催時期は秋ではなく冬)の予選で対戦する予定の棋士の棋譜を集めますが、この辺、今だったらPCと将棋AI活用でしょう。
あえなく島田八段に敗れ、研究会入りを。これ、島研がモデルでしょうか。
獅子王戦の挑戦者決定3番勝負も死闘で、相入玉から島田八段が勝って挑戦者に。かつて永世七冠氏(今は将棋連盟会長)が1局で3kg痩せるといっていたのも誇張ではないでしょう。
巻末のあとがきや先崎氏のコラムも相変わらず好調でした。
匿名
対戦
ひょんなことから交流の出来た三人姉妹とその祖父一家と、零にまとわりつき、やたらと絡んでくる義姉。そしてたまに出ると良いキャラを醸し出す二階堂の坊と担任先生。他どのキャラも個性が強く、将棋の話だが読みやすい。
Posted by ブクログ
2009年8月29日
本文ももちろんおもしろかったけど、あとがきが個人的には一番好きだった。
羽海野先生は、巨大ネガティブエンジンを4基搭載した巨大生物のようなもの、らしい。
ネガティブパワーを、創造する力に変えて、こんなすばらしい漫画を描いて、みんなを幸せに出来るなんて、すごい☆
Posted by ブクログ
今まで孤独に将棋をやっていた零くんが兄弟子というか、
師匠筋の棋士、島田八段に巡り会います。
ベテラン棋士たちは皆、泥臭く、重厚感のある人生を持っていますが
皆、小奇麗ではないのに非常に格好いいです。
何かを真剣にやって結果を出してきた大人っていうのは
底力がありますし、良いものですね。
プロというのは、底の深い長い時間をくぐり抜けるものだと
零くんは知っていきます。
そして、義姉の香子さんが侮辱されると、真剣にかかっていこうと
する零くんを見てると、
「なんだ、この義姉弟は、ちゃんと姉弟じゃないか。」
と、きつい場面なのにホッとします。実はそこが一番印象的だったの。
二人共口にしたり、器用に伝えたりは出来ないでいるけれど
お互い傷つけ合ったことを越えて、やっぱり繋がってる気がします。
それに後藤さんも、彼女に応えきれないから
殊更ひどく突き放そうとしているのかもしれません。
寄りかかりたくなる自分の弱さを知っているからこそ。
それと、
「自分で家を出て、家賃を払ってご飯が食べられるようになれば~」
の述懐は、私もそう考えていました。そしてそれは、7割正しいと思うので
完全に否定はしたくないです。後の3割はそれだけじゃ埋まらないけど
7割の部分を自分でどう責任取るかが、人生の始まりだと思います。
早く彼が胸を張れたらいいのに。
切ない
深刻な心の葛藤が、やさしい絵で無理なくつづられていく。 「自分のひとりぼっちに気をとられ、誰かの一人ぼっちに気づけないでいた」 「一人じゃどうにもならなくなったら、誰かに頼れ」 「こんなにまわりに心配をかけているうちは、独立したって言いません」 ちょっと身につまされるようなセリフ。 そして桐山個人の問題だけではなく、勝負に生きる棋士の心情も書かれている。
一人暮らしでかぜをひいたところに三姉妹たちがやってきて、看病をしてくれる。自分にも経験があるのでこれのありがたみわかります。