【感想・ネタバレ】火喰鳥――羽州ぼろ鳶組のレビュー

あらすじ

かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。別名、「火喰鳥」――。しかし、五年前の火事が原因で、今は妻の深雪と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶」と揶揄される火消たちを率い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「真っ当な武士が星なら、火消はさしずめ花火と同じ。一時輝きを放ち消えていく」
「それでも人の心に残るのは案外その花火であったりするものです」
「忘れてくれればいいさ。嫌な想いもひとくくりに溶かし込んで消えればいい」
読書においてここまであからさまに息を呑んだり心を躍らせたりしたのは初めてでした✨️
今村翔吾先生が好きになったきっかけの一冊です

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数年前まで読むジャンルから歴史小説を外していたのに、今村翔吾「童の神」で見事に沼り、以来いろんな作家さんの歴史小説を読むように。

シリーズ物には手をださない主義だったはずなのに、どうやら漫画されていて映像化もするらしいと知り、じゃあ本作1巻だけ読んでみよっかなーと手に取る。

まず最初に始まる仲間探しにわくわくが止まらない。
江戸の火消しは鳶職人の仕事ということだけど、仲間になるのは元力士に軽業師、天文学の学者…と、バラエティー豊かで、個性的で、粋で、魅力的なキャラクターばかり。最初はみんな自分の居場所や生きがいを見失って過去を背負ってもがいているところに、主人公・源吾と出会う。

火消し、と一口に言っても、いろんな役割と必要能力があるらしい。
延焼を防ぐために建物を破壊する(重機なんて無いから人力で!)壊し手、屋根に登って旗印を掲げ先陣を切る纒(まとい)、風を読み軍師となって鎮火の方針を考える風読み…。ここに個性的な新メンバーがピタリとはまって、イキイキと活躍する姿にウルウルしてしまう。

ツギハギだらけの半纏を羽織る彼らは、まさに身も心もぼろぼろの「ぼろ鳶組」。
なのに、だんだん仲間たちにとってかけがえのない拠り所となっていく。
時にはお上の命令にも背き、お城よりも人命を最優先に救出する彼らのプライド、かっこよ。

江戸の粋な火消し職人の物語でありながら、義理人情のお話であり、人生の再生のストーリーでもある。
疾走感あって、感動が駆け巡る。

「怪我のせいで夢にもがく力士、恋のために身を滅ぼした軽業師、世を拗ねて引き籠る学者、父を拒み無気力な火消……人は何度でも立ち直れる。そう教えたのは誰だ!!火喰鳥!」

江戸中を走り回る彼らの背中を追うような視点で描かれた表紙のデザインもたまらない。

…うん、2巻も読もう、と思う。

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2025年04月22日

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