あらすじ
何から手をつけたら良いのかわからない状態とは、なんでも良いから手をつけた方が良い状態のことである――。けっこう当たり前なことのなかに、人生の大きなテーマは潜んでいるものなのだ。小説家・森博嗣がつい誰かに教えたくなって意外に真面目に綴った、世界の見え方が変わるつぶよりのつぶやき一〇〇個。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
つぶやきが100個、その補足説明がその後100個。
つぶやきでふむふむ、補足説明で「あー、そうだよなあ」。つぶやきだけでも楽しいが、補足説明を読むと、普段もやもやと思っていた事がバチっと書いてあってスッキリする。また読みたい。2011年の本だが、今読んでも違和感がない。さすが10年先を見ているとおっしゃっているのも頷ける。また読みたい。
Posted by ブクログ
森博嗣の文章は、見えていること以上に内容が深いことが多いので、読むのに大変時間がかかる。
小説でもそうなのだから、エッセイなんて、こんなに薄い本でも4日くらいかかってしまった。
「身もふたもない」といわれる森博嗣の文章は、他人事として読んでいる限りは痛快なんだけれど、自分に降りかかってくると猛烈に痛い。
森博嗣自身は、他人がどう感じようとかまわないというスタンスなんだけどね。
箴言のような短い文章がまずあって、それに対する解説のような文章がついて見開き2ページで一編。それが100。
「自慢をする年寄りは、悲観する年寄りよりは長生きしてもらいたい」「人の弱みにつけ込む最たるものとは、神である」「土地に縛られているのは個人ではなく、集団である」「つぶやくだけで良い。多くの普通の人の意見とは、その程度のものか」などなど。
“常に、自分から離れ、全体を俯瞰する視線を持つことが大事で、それはやはり想像することで養われる感覚である。”
しかし、周囲がみんな近視眼的になっているときに、ひとり全体を俯瞰しても、なかなか真意が伝わらないのよね。
たとえアウェイでも自分の視点を持ちつづけることができるか。
それが問われているのだな。
“いずれにしても、それというのも、経済というものが「発展」しか知らないからである。発展しないのは「悪」だ、と経済は教えている。どうしてそんなふうに考えるのかといえば、経済の中で、仕事もせず楽をして稼いでいる人たちがいるからだ。こういう人たちが経済を動かし、政治を動かしている。
エネルギィの問題は、科学技術とかではなく、経済という「人間の欲」に根元がある。少し離れてみれば、「楽して儲けさせてくれよ」という王様のような人たちが、「少子化は悪い」「増税は悪い」「太陽光発電は正義だ」などと、いろいろ大衆の耳元でささやく場面があちらこちらにある。”
経済について語る森博嗣。なかなかレアでは。
“偉そうな口調で文章を書く人は多い。本人はそのつもりはなくても、いつの間にかそういう表現になっている。それは、その人が自分の言葉ではなく、誰か本当に偉い人の文章、偉い人の物言いを真似しているから、そうなのである。その偉い人には、その人なりのバックグラウンドがあったわけだが、普通の人にはそれがない。したがって、口調は勇ましいのに、手応えがないことがたちまち見抜かれる。足許が覚束ない不安定感が支配的なのだ。”
ブログについて。耳が痛い。
“面白い映画を観たり、好きな小説を読んだり、というような感動を求める趣味も、考えてみたら同じだ。自分に変化はなくても良い、その一時が楽しければ良い、というわけである。悪くはない、それもありかもしれない。”
偉い人の話を聞いて納得しても、自分が偉くなったわけではない、と。
知らず知らず、勘違いしちゃうものなのかなあ。
気をつけよう。
映画や小説から何かを得ることはあると思うけど、森博嗣はきっと、「その程度で変わる自分なのか?」と畳み掛けてくるだろう。
常に自問。
ずーっと自問。
Posted by ブクログ
『すべてがFになる』だけ読んだことがあるのですが、あの作品が好きだったのでエッセイもと購入。理系ながらも芸術的なイメージがある人がでした。
読んでみると、エッセイもTHE理系!考えが何とも合理的で、ズバズバ言う人でした。理論的に話をする人は好きなので、共感できることも多々ありましたが、人口は減らした方がいいとか、けっこう極端な考えも。
こういう人が身近にいたら、こんなに合理的にはできないけど、ちょっと面白いだろうなぁ。私ももう少し考える力を付けたい。
Posted by ブクログ
昔からエッセイが好きだけど、小説家というよりは人生の先輩というか、その「人」についてもっと知りたいという気持ちでいくつも読んでいた気がする。
いまは小説読むほうが好きなのに、森さんの小説はなぜかあまり読んでなくてエッセイから入ってしまった。理系的な考え方が好きなんだと思う。
なるほど、と思うものもあるし、ちょっと違うなというのも勿論あるのだけど。
【なるほど】
「汚い言葉を話したり書いたりすれば、自然に汚い人間が出来上がる。」
→昔の子どもは言葉遣いから丁寧だったというのはよくわかる。いまは親と子の関係性も変わってきているからか。
「偉い人の話を聞いて、それをそのままブログに引用しても、これっぽっちも偉さには近づけない。」
→ですよね。
「森博嗣の言うことは身も蓋もない、というが、そうかもしれない。」
→そうなんだ。
【ちょっと違う】
「本のページを捲る動作がどれだけいらいらするものか、電子出版が普及したら、みんな気づくだろう。」
→私は電子関係のスクロールなどで腕を痛めた(おそらく)ので、紙をめくるくらいゆっくりじっくり読みたい。それが出来ないほど忙しい人もいるとは思うが。
そろそろ小説のほうも読むべきですね。
Posted by ブクログ
書店でcontentsのページをパラパラと見ているだけで、「あ~森さんだぁ」と嬉しい気分にさせてもらいました。
1つ目のつぶやきから「確かに、間違いない」と思ったり、所々「へ~そんなもんなのか」と思ったり。
一番の衝撃が走ったのは一番最後の解説がももちだった事!!
森さんの言葉には自分では絶対に気付かないような視点や考え方がたくさんあって、本当に「世界の見え方が変わるつぶやき」だと思います。
Posted by ブクログ
クリームシリーズ、第一作。森イズム?満載のエッセイ集。近くにいたら絶対友達になりたくないなぁ、と改めて思いました^^; 一言でいえば“イヤなやつ” それはホントのことしか綴っていないから。幾つか気になるものから一番心に来たものを引用しておきます。
Posted by ブクログ
森博嗣のつぶやき100連発~1何から手をつけたら良いのかわからない状態とは,なんでも良いから手をつけた方がよい状態のことである。2自慢する年寄りは,悲観する年寄りよりも長生きしてもらいたい。3天気予報は当たらないというが,これよりも当たる予報ってあるか?4愛国心のような集団性を持つことが,人間社会の基本だろうか。しかし,その基本が争いを個人から集団へと大きくする。5人の弱みにつけ込む最たるものとは,神である。6風向きが変わった,と喜ぶくらい風を頼りにしていたのか。7土地に縛られているのは個人ではなく,集団である。8住宅の九割の価値を決める要因は,どこに建っているか,である。9つぶやくだけで良い。多くの普通の人の意見とは,その程度のものか。10長いものには巻かれ
ろ,というが,それができるのは長くて柔らかい場合だけである。11本のページを捲る動作がどれくらいいらいらするものか,電子出版が普及したら,みんな気づくだろう。12筆も鉛筆も万年筆も筆箱もなくなったのに,まだ筆記?13ペンキを塗っているときに見ているのは,塗った後の表面? 塗る前の表面?14宣伝カーで大声を張り上げることがプラスになると信じているとしたら,政治家として鈍感すぎる。15遠いところへ旅行するよ,近い土地へ引っ越す方が,ずっと冒険である。16遠い人の悪口と近い人の賞賛は簡単。遠い人の賞賛と近い人の悪口は勇気。17自分のせいで失敗したときより,他人のせいで失敗したときの方が後悔するのは何故。18自分のせいでも他人のせいでも,ほぼ同じくらい失敗は失敗。19成功する人は,成功する方法を知っているのではなく,失敗する方法を知っているだけである。20もし博打が当たって大儲けしたら,金輪際博打はやめるべきである。21喧しさは安いが,静けさは高い。22自由を目指す人は自然に金持ちになる,という理由は,物事を解決する楽しさから自由を感じることが多いためである。23A
ならばA’の手を打つ。BならばB’の手を打つ。CならばC’の手を打つ。それがマニュアルである。しかし,一番難しいのは,今がAなのかBなのかCなのか見極めることだ。24僕はだいたいにおいて,早く言いすぎる。今言えば良いことを,五年くらいまえに言ってしまうのだ。25どうしても欲しいものに大金を払うことは意外と簡単だ。26音楽をかけると反射的に仕事がしたくなる,という条件反射が僕を勤勉へと導いた。27「自由なんていらないよ」という人にかぎって,金だけは欲しがる。28太陽光発電で「貯金をしよう」という宣伝を見たが,たぶん「返済しよう」の間違いだろう。29マクドナルドが大好きだけど,店に入るのは少し恥ずかしい。30長くオープンカーに乗っているが,幌を開けてオープンにして走った時間は一パーセントもないだろう。すなわち,ステータスとはそういうものだ。31今までやってこられたのだから,これからも大丈夫だろう,という理屈が通るなら誰も死なない。32もう少し早く言ってくれた良いのに,と思うことが多いが,それをもう少し早く思うべきだった。33僕は反省したことがない。そんな暇があったら対策を練る。34英語がしゃべられて困ったことはないが,日本語通じなくて困ったことは数知れない。35友達がいなくて困ったことはないが,友達の名前が出てこなくて困ったことは数知れない。36格言というのは,誰がいったことなのかというのが「格」になる。37品格というものがあるが,つもりその人間の強さが表れたものだ。38汚い言葉を話したり書いたりすれば,自然に汚い人間が出来上がる。39電子書籍というものが,既に「防戦」であることを出版界は理解しているだろうか。40飲むヨーグルトって,歩く辞書とは少し違う。41大部分の失敗は,やらなければならない失敗だった。42上手がうまい人は,一般に人づき合いが下手である43声の大きさをコントロールできない,といえば老人か田舎者か犬か,あるいはおばさんの団体である。44「もう恥ずかしがる歳でもないでしょう」という言葉がかなり恥ずかしい。45天気予報が当たらないと腹が立つが,悪いのは予報士ではなく,明らかに天気の方である。46いつも遠くを見すぎて,近いものに躓く,という人生だった。47基本的に,歳を取るほど人なつっこくなる。だから,人懐っこい年寄りは,単なる幼児化だろう。48没個性の理由,それは一流よりも二流が多いからである。49現代において最も忘れてはならないのは,パスワードである。50カロリィゼロならわざわざ食べたり飲んだりしなくても良いのではないか,と思うが,これと同じことが,いろいろな消費行為の最近の傾向らしい。51TVで紹介されるお店は,どれも「女性に人気がある」とわざわざ強調するくらい,女性に人気がないのだろう。52昔「家族連れ」で賑わっていたところは,今や「老人たち」で賑わっている。53「公共交通をご利用下さい」と主張し続けてきたのに,「若者の車離れ」を気にしている。54「それを僕は十年もまえから言っている」と話すことが多いが,それはもう三十年くらいまえからのことだ。55不言実行なんて大したことではない。普通の人の日常動作はすべて不言実行だ。56自分の短所や長所というものを考えたって,意味ないでしょう?57大量の酒と少量の覚醒剤は,甲乙つけたがい。58「今コーヒーを飲んだら眠れなくなる」という人は,平和だ。59電話窓口に一回ではつながらない。60老人がブログを始めたら,個人情報について注意した方が良い。61こんなに借金を抱えているのに税金を上げないなんて,正気の沙汰とは思えない。62最近,バードウォッチングをしているが,鳥の名前をま
ったく知らない。知りたくもない。63売れない商品,売れ残り商品を沢山並べている店,それが書店である。64昔と変わらない味,というが,なんでもどんどん美味しくなっているのに駄目じゃないか。65人生の勝ち負けは,勝率ではなく,勝ち数で決まる。いくら負けても良い。66失敗を恐れなくては,成功は望めない。67当たっても砕けないように,準備をしておくこと。68気持ちを切り替えろと言うが,気持ちなんてものはどうだって良いから,次の手を打ちなさい。69友達は財産というが,まあ,その程度のものである。70親の死に目にあえないことの何が問題なのだろう?71僕は両親の墓を作らなかった。生きているうちにできる限りのことをしたので,それ以上にする必要を感じない。72スパンメールはホワイトノイズと同じで,受信していることを示すバロメータとしての価値が認められる。73自由な発想はどうすれば生まれるのか。もちろん,考えないと生まれない。突然思いつくものではない。74子供は自由だというが,大人ほどではない。75世の中,「こいつ何様のつもりだ?」という奴が多いが,たいてい無害だからよろしい。76「何故二番ではいけないのか?」と問われ,冷静に理由を答えられないようなら,やめてしまえばよいだけの話である。77正義の味方なんてものはどうでも良いが,正義の見方は重要だと思う。78「私にはそれはとてもできません」という言葉を聞くまえから,たいていは無理だとわかる。79本当のプライドを持っている人は,プライドを懸けたりしない。80僕が森博嗣でなかったら,いったい誰が森博嗣なのですか?81「抱け」と言われて抱いた大志など,大したものではない。82偉いというのは,偉い場所を探して移動したのではなく,自分がいた場所が隆起して,あるいは周りが陥没して,偉くなったのである。83若いときには苦労は買って出ろ,というのは,ちょっとした苦労のことで,結局はそれが効率が良い,という意味である。84偉い人の話を聞いて,うん,そうだ,そのとおりだ,と思っても,偉くなったわけではない。85偉い人の話を聞いて,それをそのままブログに引用しても,これっぽちも偉さには近づけない。86正直者が馬鹿を見るのは,その正直者がバカだった場合だけ。87僕がイメージする「平和」とは,たとえば2ちゃんねるのやりとりを,内容はそのまま少しだけ言葉を丁寧にしたものである。88勝ち組と負け組というのは,負け組が言っている表現である。勝ち組の人は,やった組とやらなかった組としか見ていない。89地面に置いた瓦を空手家が割ったとき,瓦を割ったのは,空手家と地面である。90人間の輝きは,一所懸命になって探しているから出る光である。91日本人は,「国」という言葉を「政府」とか「官庁」という意味で使う。92トラブルに対する対処こそが,仕事の本質である。93人間なんだから,自分らしくないこともしな
ければ。94一番なりたくない職業は政治家である。95死ぬほど辛いことはあると思う。たいていの場合,死ぬ方が辛くないだろう。96死んだ人をどう処理するのかは生きる者の問題である。97良い品物だから売れる,欲しいものだから買う,というメカニズムはむしろマイナ。98人生経験という言葉があるが,人生以外の経験は出来ない。99森博嗣の言うことは身も蓋もない,というが,そうかもしれない。100最近ようやく大人になれたかもしれない,と思う。~33が良い!『「まず頭を下げろ」という人に限って,頭を下げると,「謝って済む問題じゃない」と言う確率が高い。』あはは! 57は意味が良く解らないのだ。大量の飲酒は危険:それは納得,少量の覚醒剤でも錯乱するから,錯乱すること自体を禁止するのだ:ま,それも解る…甲乙って1番と2番で,言うならば秀と優,その下に丙丁戊ってあるんだけどなあ。72彼がスパムメールをスパンと表現するのは珍しい。