あらすじ
黄巾賊の乱は程なく鎮圧されたが、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。霊帝の没後、十常侍に代って、董卓が権力の中枢に就いた。しかし、群雄こぞっての猛反撃に、天下は騒然。曹操が起ち袁紹が起つ。董卓の身辺には、古今無双の豪傑呂布が常に在り、刺客さえ容易に近づけない。その呂布が恋したのが、董卓の寵姫貂蝉。傾国という言葉は「三国志」にこそふさわしい。
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Posted by ブクログ
何千何万と人を動かすこの途方もない規模が恐ろしい。余裕があるから戦争が起きるのだと思った。
血みどろの争いをしていても一方ではいい父親の顔を持っていたり、また傾国の美女に身も心も奪われるような一面があったり、部下思いであったり、武将たちの人となりが見えてくるにつれ面白さが増していく。
人間って面白い、と思うようなドラマがてんこ盛りだった。
自分の血を分けた子より、1人の有能な部下を惜しむという価値観に興味がある。こういうものを知れることに面白さを感じた。
Posted by ブクログ
帝の重臣王允は、逆賊董卓とその配下の猛将呂布を美女貂蟬を用いて仲違いさせ、ついに呂布に董卓を討たせることに成功する。しかし、董卓亡き後も残党が悪事の限りを尽くし、都の情勢は悪化する一方だった。曹操はこの機に力を蓄え、残党を殲滅して帝を救う功績を挙げる。
一方、南では孫策が21歳にして孫家の後継ぎとなり、周囲の勢力を破って善政を敷いていた。
この巻は曹操の決断力や頭の良さ、人材コレクターぶりが見えて読んでて楽しい。吉川英治さんも曹操が好きみたいで、彼の長所だけでなく、こっぴどく敗戦したり美女にうつつをぬかしてしまう弱い姿をも生き生きと描いて彼という人間に深みを与えてるのがすごく印象的でした。
Posted by ブクログ
奢れるものは久しからずという乱世後漢末期。
董卓は倒れ、曹操はいよいよ地歩を固めつつあるが、劉備はいまだ地方の太守、それすらお人好しのため呂布に奪われてしまう。
徳で善政を行い慕われればよいのだが、リーダーは優柔不断ではならず、ときに非情にならねばならぬかな、という気にもなる。謀計謀略の限りを尽くし、信じては裏切られる世の中はいまに通ずる。
しかし、玄徳の温厚さは豪傑呂布までをも義理堅くしてしまうし、曹操の腹心にその危うさを見抜かれつつも、曹操自体は側に近づけて憚らない。曹操は意外と逆境が多い人物で部下に救われやすい、カリスマ性があるのだろうな。
小物ではあるが英雄ならずとも策士も活躍する乱世、誰を主役にしてもなりたつ群像劇である。