中山宥のレビュー一覧
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ロンドンで暇を持て余すアンティ・ブジュレーのもとに、貴族の末裔である旧友フィドルズの伯父が謎の転落死を遂げたことを知らせる電報が届いた。厄介ごとの解決を得意とするアンティは、旧友の為にひと肌脱ぐべく、一路由緒あるキャンターフェル家の屋敷へと向かうのであった...
1920年代を舞台にした古色蒼然たる本格ミステリではあるのだが、全編に渡って繰り広げられるブラックジョークによって決してシリアスになりきらないユーモラスな作風。
ミステリとしては小ぶりでやや無理があるような気もするが、動機やいくつかの伏線には冴えたところもあり、なによりユーモアが良い目くらましになって充分以上に楽しめる。妙に不穏なエピローグも楽しい。 -
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丸善にて平積みされていて興味持ち、読んでみた。
本文だけで380ページ程。文字も詰まっていて馴染みのない業界の話もあるので、読むのはちょっと大変だった。が、様々な資料にあたり、匿名も含めた多数のインタビューを通して、どんな仕事をしているかがイマイチ分かりにくいマッキンゼーの一端を知ることはできたという意味で、貴重な一冊。かつて読んだ本でマッキンゼーのやり方に違和感を感じた著者の言葉があったが、これを読むとより解像度は上がる。
いくら崇高な主張をしていても、クライアントと自分達の利益のためなら、企業だけでなく規制する政府とも仕事をする。一歩違えばマッチポンプとも言えるようなやり方は、倫理的に疑問符を持たざるを得ない(少なくともこの本で出た、冒頭含む15の案件は)。この辺は以前読んだゴールドマンサックスとも重なるように感じた。元マッキンゼーは、(どんな仕事してるかにもよるが)注意した方が良さそう。
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ネタバレミステリーチャンネル、クローズドサークル小説のおすすめ20選から。
クローズドサークルというより完全に密室殺人に重きをおいた作品だった。
今までミステリーはそこそこ読んできたけれど好みがクローズドサークルなのもあって密室殺人ものは全く読んだ記憶がなかったので新鮮な気持ちで楽しむことができた。
お恥ずかしながら外国のミステリーはアガサ・クリスティやティーンズ向けの冒険譚しか嗜んだことがないので本書で話題になる密室殺人もののパイオニア、ジョン・ディスクン・カー氏も初耳で機会があれば読んでみたいなあと思いました。
内容としては登場人物みんな魅力的で全員に裏がありそうで展開がどうなっていくのかワクワクしながら読むことができて良かった。
精神病患者のほとんどが嘘でできていたというのは都合が良すぎる気がするけど、それもある意味人間らしさなのかなぁ。 -
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おなじみブラッド・ピット主演映画の原作となったノンフィクション。しかし実際のビリー・ビーンは193cmの巨漢で、手当たり次第に物に当たり散らす性格で、ぜんぜんブラピとは似ても似つかない。それでも原作を読んでから、映画をもう一度見たいと思えた。
映画は徹頭徹尾、ビリー・ビーンの物語だったが、こちらの原作ではセイバーメトリクス(野球においてデータを統計で客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える手法)の歴史などにも焦点が当てられており、その祖が最初に出した本は自費出版で200部ほどしか売れなかったといった秘話もおもしろい。
著者はビリー・ビーンのやり方を認めようとせずこきおろす球界の「社交クラブ」の面々を憎々しげに描写している。それでも日本人としては異端のセイバーメトリクスが草の根で少しずつ勢力を増し、ひとりのGMが採用して球界に旋風を巻き起こし、それが本や映画になって広まっていくアメリカの底力を感じずにはいられない。 -
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エラリークイーンみたいに、謎解きの段階になると、読者への挑戦として、ここまでに全ての材料が提供されており、推理力だけで解決に導くことができる、という手法が使われている。
解決編を袋とじに入れることで、雰囲気を盛り上げている。精神科医が密室となっている書斎で発見される。使用人が密室となっている経緯を証言する。被疑者は患者の3人、音楽家、女優、作家、それに被害者の娘とその許婚。誰も犯行時間帯のアリバイはしっかりしている。捜査が進むにつれ、精神科医の過去の患者で自殺した事件が浮上する。袋とじの前では謎解きはできなかったが、袋とじのなかの解説は淡々と進み、容易に犯行が可能であるように語られているが、すっきりしない。確かに、これで密室の謎を解いているのだろうが、手間がかかりすぎだし、犯行を見られるリスクを軽視している。期待した分の納得感は得られなかった。