あらすじ
1万にのぼるクラシック音楽の主題旋律を分析して浮かび上がった驚くべき事実――音楽は人間の歩行を模倣している! 音量はその人物との距離、拍子は足音、メロディーの起伏は動作音に生じるドップラー効果。さらに、私たちの話し言葉にも自然界の痕跡が……。サルはいかにして文明を獲得し、ヒトへと進化したのか。『ヒトの目、驚異の進化』の理論神経科学者が、聴覚系を糸口に人類史上最大の謎を解く。解説/伊藤亜紗
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Posted by ブクログ
言語はもともと身につけるための素質を持っていたのか、後天的に身につけたのか。
私たちの脳はなぜ音楽をするのか、なぜ踊るのか、なぜ感情に訴えるのか、、、を科学的に解き明かす本でした。
音楽を学ぶことの良さを追求するのに良い先行研究になりそうな本でした。
すべての原点が自然!人の行動!
日常では気づかない、意識しない音の気づきがあって意識するようになりました。
Posted by ブクログ
『ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ』の作者による「音」と「言語」の話。
『ヒトの目…』で思ったんだけど、この作者は「ヒトが今使っている機能(文字を読むとか音楽を聞くとか)は、元々ある機能(敵を見つけるとか同族の状態を知るとか)を転用したもの」というスタンスでずっといる。
前作が「視覚」で、今作が「聴覚」かな。そう見るとスッキリした2冊目だと思う。
主題は2つで
①物理現象による音(”ぶつかる””すべる””鳴る”)を模倣することで、私達は言語を操っている
②音楽は私達の動作音(どこへ行くか、ドップラー効果など)を模倣/抽出/強調している
ってとこかな。
アリストテレスは「芸術は自然を模倣する」なんて言ったけど、本当にそれは正しかったかもしれないわけだ。(ワイルドに言わせれば「自然こそが芸術を模倣する」なんだけど)
個人的に面白かったのは①。『言語の本質』でもあったけど、いわゆる「ブーバ/キキ効果」と呼ばれるものが関わってくるかもしれない。なぜ尖ったほうが「キキ」と呼ばれるのかまでは分かっていないけど、つまりこういった形のものがどのような音を鳴らすのか、というイメージを備えている(あるいは学びやすい)種が生き残りやすかったということも考えられる。あとはオノマトペもそこに絡んでくるかな。
思いがけず言語学的な部分でリンクするところがあり面白かった。
でも②はなー…。音楽に明るくなさすぎて、あんまりイメージしずらかったような。
しょうがないっちゃしょうがないけど、こっちは動画のほうが楽しめたかもなぁ…。
あとチラッとスタニスラス・ドゥアンヌが出て来て笑ってしまった。アントニオ・ダマシオとかも好きそうだね…(思想的に)。
Posted by ブクログ
言語と音楽の起源についての仮説と検証。おそらく言語も音楽も持っていない現生人類と現在の人類は機構的にはなんら変わりはないのに、なぜ現在のヒトは言語や音楽を理解できるのか。
自然を利用して生まれ、自然と別の実体となって進化を続けている”文化”というものに実感を持った。面白い。
Posted by ブクログ
「ヒトの目、驚異の進化」の著者の続編的な作品ということで読んでみたが、予想を裏切らず前作同様とても興味深い内容に満足。言語と音楽の起源をオリジナリティ溢れる仮説に基づき、独自の定量的・科学的アプローチを用いて考査、理論構築していく。文化は自然を模倣しており、文化と人間は共進化の関係にあるということに納得。
Posted by ブクログ
言葉を理解するということは脳の進化によるもの。基本的には生活音を聞き取る能力が発達したもの。それは音楽を聴くことも同じで、元を正せば生活音のリズムを聴いていること。言葉を聞いて理解できることを何も不思議に思わずに生活してきていたので、脳の神秘さを理解するとともに、まだ脳は進化の過程なんだろうなと思う。