小林登志子のレビュー一覧
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1400年に及ぶアッシリアの歴史を、
豊富な史料と多くの画像、図絵、地図等を添えて、
文化や軍事、交易、それに帝国へ至り滅亡するまでを、
多角的に解説し、解き明かしてゆく。
・カラー口絵4ページ ・はじめに
・アッシリア王名一覧表 ・本書関連略年表
序章 アッシリア学事始め
第一章 「アッシリア」の三角と「ハブル三角」
第二章 アナトリアへおもむいたアッシュル商人
第三章 シャムシ・アダド一世無双
第四章 属国にされたアッシリア王国
第五章 領域国家アッシリア王国への転換
第六章 アッシュル・ナツィルバル二世カルフ市に都す
第七章 強制移住政策を推進したティグラト・ピレセル三世
第八章 センナ -
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本文もわかりやすくて明快な文章が素晴らしいが、あとがきを読んで更に著者が好きになってしまった。
よくあとがきの締めくくりは「〜年 春」などと書かれるが、本書の場合は「無敗のコントレイルがダービー馬になった年(二◯二◯年)」である。これ上手すぎて笑っちゃった。古代メソポタミアの風習と、あとがきの慣習をどっちもメタったジョーク。アツい。とはいえ、2020年の1番良かったできごとがコントレイルっていうのは、やっぱりちょっと悲しいね。東京オリンピックがあった年、にはならなかったわけで。
高校世界史でもよく取り上げられる王朝や王の流れをわかりやすく書いているから、スマホのメモ帳に適宜メモを取りながら -
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紀元前3500年から500年までのメソポタミア、アッシリア・アッカド・バビロニア地域の歴史。中国の歴史を上回る民族と地域の動乱。ユーフラテス河領域には紀元前4000年頃からシュメル人が都市を作り、紀元前1800年ごろバビロンができた。ウルクが中心都市となる、ウルク古拙文字が楔形文字の前身として生まれる。またギルガメシュ叙事詩が書かれた。
都市国家群を統一したのがサルゴン率いるアッカド王朝で、その後しゅメル人のウル王朝が引き継ぐ。
その後は、北部のアッシリアと南部のバビロニアのメソポタミア地域の覇権争いが起こる。ハムラビ王もここで出てくるが、アッシリアのシャムシ・アダド一世はそれを超えるゆう雨力 -
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ギリシア、北欧などの神々やキリスト教やイスラム教、ヒンズー教の神などについては時々目にするが、古代オリエントの神々についてはよく知らなかったので、とても面白かった。
絵本で読んだギルガメッシュ王も実は、冥界の神だと知って驚いた。神仏習合は日本で顕著なのかと思っていたが、世界各地で行われていたことも知り、興味深かった。
昔の人々は大地や海を女神と考えることが多いと感じた。何かを生み出すという概念と、子どもを産む女性との連想が各地で共通であることも面白い。
古代オリエントについては、今では紛争地帯となってしまい、貴重な資料が次々となくなってしまっていることに暗澹たる思いがする。この状況を変えて少し -
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単なる神々の紹介にとどまらず、オリエントの人々が神々とどのように関わっていたのか、後の宗教にどのような影響を与えたのなど多岐にわたる内容で非常に面白く、あっという間に読み終わってしまった。ところどころ横道にそれるが、全く無関係な話ではなく、むしろオリエント文化の奥行きを感じさせるものであった。特に「ブランコに乗る女性小像」から始まるブランコの話は面白かった。ブランコはもともと豊穣儀礼であり、インドからオリエント、日本を含めた多くの地域へ豊穣儀礼として伝播したとのこと。基本的に横道に逸れるのは好きではないが、このように主題の奥行きを感じさせたり、深い関連を示すものであれば歓迎である。
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メソポタミア5冊目
ポテロの本は、書かれた記録をもとに言えることを限定する歴史学者としてとても偉い姿勢で書いてあるけど、こっちは、考古学的なところへの視線が豊か
あとは、シュメルにしぼってあるのも良い
ポテロは抽象化、一般化しようとしており、そういう部分にすばらしい洞察が働いているし、いろんなヒントを提示はするけど、そこから先の、歴史化としての余計な言葉には敏感 ヨーロッパ人っぽい
こっちは日本人なだけあってちょっとそのへん緩さがあるんだけど、基本的には事実の列挙や特徴的な事象の紹介になってて、一般化をされておらず、正直、ちょっと散漫 でも、具体的、という良さはある
というわけで、そういう -
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ネタバレ[ 内容 ]
いまから五千年前にティグリス、ユーフラテス河畔に栄えた人類最古の都市文明シュメル。
粘土板には多くの神話が残され、ギルガメシュ叙事詩や大洪水伝説など、後世に伝えられたものも多い。
これらの神話の世界では、酔っ払う大神、死後の国を覗こうとする女神、蛮族を征服する王、怪獣など、様々なキャラクターがいきいきと活躍している。
代表的な神話のストーリーを紹介し、神神の役割や性格、舞台背景などを詳説する。
[ 目次 ]
序章 粘土板に書かれた物語―シュメル神話の基礎知識
第1章 「創世神話」―人間はなぜ創造されたか
第2章 神々が送る大洪水の物語―伝説はシュメルにはじまる
第3章 「楽園神