小林登志子のレビュー一覧
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旧約聖書の源流にもなっているシュメル神話についての本。
例えば「ノアの方舟」では大洪水が起こるが、エルサレム周辺で大洪水があったとは考えにくい。
これは、チグリス川・ユーフラテス川周辺のメソポタミア文明の地域で頻繁に起こった洪水がシュメル神話に含まれ、それが西のエルサレム方面に伝わり旧約聖書に影響を与えたという。
「ある人間が神からメッセージを受け取って船を作り、それにより洪水から生き残った」という部分まで一致しているらしい。
シュメル神話はこの大洪水の物語を境に、それ以前が伝説的、以降が史実的なものと捉えられるそうだ。
また、人類初の文字である楔型文字は粘土板に書かれ、土は非常に重要なも -
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ネタバレシュメル人の存在を初めて知った。古代を研究する人たちの、人類の歴史を知りたい、という気持ちが伝わってくる熱い本だった。
今から約5千年前、初めての文字や文明だと考えられているシュメル人の歴史が書かれている。ロマンを感じるところとしては、それが人類で初めてだ、ということと、そして発掘されたものの資料から当時の人たちの気持ちを自由に想像することができる点だろう。
古代の絵は、世界史で見たかな、くらいだったけれど、こういうことをしている人です、と解説を受けると、なんだか可愛らしく思えてくる。
コロコロ転がす判子も面白かった。当時の職人たちは、きっとふつうに彫っているだけだと楽しくなくなってきて -
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チグリス川とユーフラテス川に挟まれたメソポタミアの南部。
世界最古の文明の地は歴史の教科書でもおなじみだ。
その文明に一大変革を与えたのがシュメルである。本書は発掘
された遺跡や遺物からシュメルの文化・社会制度・宗教などを
読み解き、解説している。
時代を遡ること5000年から3000年前に文字を持ち、通商を行い、
法典を作り、戦争をして、奴隷を持ち、神々を崇めて、学校では
読み書きのできる書記を育てていたんだよな。
しかも、日本の判子に通じる円筒印章まで作成している。
この時代に既にビールが飲まれていたことも興味深かったが、
何故、これほど時代が経っても情報が残っ -
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書籍だと、大抵バビロニアに抱き合わせで書かれるシュメールを主眼に据えた本。
(バビロニア関係の記述が皆無ではなく、全体の3,4割くらいにバビロニア関係の記述が見えるけれど、まあ止む無いところはある)
シュメールというのは、文字や農耕技術、車輪などを持ってメソポタミア南部に忽然と現れた文明で、現代に残る技術などの源泉を辿ると、その起源がシュメールへと行きつくことが多い。
シュメール人は民族的な出自が不明で、彼らが果たしてどこからやってきたのか、そしてなぜこれほどまでに多数の高度な技術を他に先駆けて有して歴史上に現れてこれたのか、謎が多い。
通史ではなく、各章においてテーマを定め、それについて -
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[ 内容 ]
五千年前のイラクの地で、当時すでに文字やハンコ、学校、法律などを創り出していた民族がいる。
それが、今までほとんどその実像が明らかにされてこなかったシュメル民族である。
本書は、シュメル文明の遺物を一つ一つ紹介しながら、その歴史や文化を丹念に解説するものである。
人類最古の文明にして現代社会の礎を築いた彼らの知られざる素顔とは―。
多様かつ膨大な記録から、シュメルの人々の息づかいを今に伝える。
[ 目次 ]
序章 むかしイラクは…―メソポタミアの風土
第1章 文字はシュメルに始まる―楔形文字の誕生
第2章 「ウルク出土の大杯」が表す豊饒の風景―努力の賜物
第3章 元祖「はんこ社 -
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良書。
これまでシュメール(シュメルの方が原音に近い。なぜ長音を含むようになったかについては、本書「はじめに」で解説されています。)文明と言えば、『ドルアーガの塔』のモチーフになっている『ギルガメシュ叙事詩』の印象しかありませんでしたが、本書では、ギルガメシュ叙事詩は洪水伝説の起源の一つとして紹介されている程度で、ごく僅かなページしか割かれていません。
目次にあるように、各章はそれぞれ、風土、楔形文字、農業、はんこ社会、戦争、徳政と法典、国際社会、読み書きと学校、宗教観、統一国家形成と滅亡という内容になっており、おおよそシュメル文明の全般を網羅した解説になっています。中でも第三章は、はんこ -
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メソポタミア周辺の歴史をざっくりと知れておもしろかったです。
地図や簡易年表もあり、ちょっと間があいてしまってから続きを読んでも問題なく読めました。
私は、メソポタミア史は高校時代に世界史でちょこっとやっただけで止まっていました。
なんとなく、メソポタミアあたりの歴史って複雑な印象だったので、あえて深掘りしてみようという気はなかったのですが、少し前にユダヤ教に興味を持ったことがきっかけで読んでみました。
あーこんな王朝名あったなーと思いつつ高校生時代を思い出しながら読み進めました。
ただ、やっぱりこのへんの歴史は複雑ですね。
かなりわかりやすくまとめられていると思います。
しかし、ど