あらすじ
西はナイル河、北は黒海、東はインダス河、南はアラビア海に囲まれた地域がオリエントである。この地には人類初の文明が誕生し、諸民族が行き来し、数多の王国が栄え滅びていった。シュメルやバビロンを擁したメソポタミア、象形文字や太陽神信仰など独自の文明が発達したエジプト、鉄器を生んだアナトリア、これらに興った国々が激突したシリア、そして東の大国ペルシア……。4000年に及ぶ時代を巨細に解説する。
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Posted by ブクログ
自分のようなほんの少ししかオリエント史の知識を知らなくても頭にスルスルと入った素晴らしい本。
多分著者の方が因果関係をしっかり書いてくれているので頭に入るんだと思う。
それにしてもオリエントは恵まれた地域である分他国が侵入する頻度も高いので、本当に忙しない。でもそれによって文明の発展度合いも日本じゃ考えられないほど凄まじいので、そういうところが面白いし今のあらゆる出来事に繋がって大事だなあと感じた。
Posted by ブクログ
久々に古代史、しかもオリエント!を手にとって読んでみました。
まず読みやすかったです。そして時間も地域も幅広く網羅しております。オリエントの入門書によろしいのでは。
メソポタミアからはじまり、シリア、アナトリア、エジプト、ペルシアと古代のロマンに浸れます。しかも、教科書できいたことのある名前や出来事もチラホラと……。学生時代の記憶力がためされます。
この本の数千年の流れを読み終えたあと、ふとここ最近(特に産業革命以降)の近現代の急激な変化に恐ろしくもなりました…。
Posted by ブクログ
現在、シュメール文化研究の第一人者(と言っていいと思う)、小林登志子氏による、古代オリエントの歴史解説。歴史を丹念に追っている一方、語り口が読みやすく、また最新の研究の観点から、様々な学説に対しての解説も十分揃っており、入門編としては十分だと思う。
氏も書かれているが、我々日本人がオリエントについて知っているのは、大半がエジプトとギリシャの歴史書に基づくものである。四大文明発祥の地なのに、斯くも知識が浅い。
ペルシア戦争など、ヘロドトスの歴史に基づくギリシャ史観によると悪の帝国の侵略となってしまうが、ペルシャ側からすれば辺境の反乱を誘発する外国への懲罰的示威行為となる。事実、ペルシャ帝国にとってはペルシア戦争は局地戦に過ぎず、その後のペロポネソス戦争でも大きな影響力を有している。
中々知ることの少ない古代オリエントについて学べると同時に、歴史の多面的な見方の重要性を再確認させてくれる名著。
Posted by ブクログ
「(アレクサンドロスの)征服を過大に評価、正当化することで現代に至るまでヨーロッパ勢力のアジア侵攻を正当化する歴史観に、本書は与しない」
淡々と記述される大枠の「古代オリエント史」でこうした意思を持った言葉に出くわすと、少し胸が熱くなる。
Posted by ブクログ
古代オリエントの全体像が把握できる。しかし、土地勘がないと出てくる土地名がピンとこないので、地図と首ったけにならざるを得ない。
それにしても、4000年史と言っても紀元前にくくられてしまう歴史の壮大さにはクラクラしてしまう。
Posted by ブクログ
広いし長い古代史。そらそうかとも思う。人類最初の文明とも言えるような時代からの東はインダス川、西はナイル川、南はアラビア海、北は黒海という地理的な広さ。様々な民族や言語や宗教が入り乱れる地域を四千年以上も振り返るのだから。大国の成立、内乱、衰退のようなもどかしさは中国の歴史にも感じるところだけど、千年も経てば今の時代もきっともどかしく思われてんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
4000年の興亡をたどる意欲的な著作である。
大局の流れをつかむつもりが、細部にわたり詳述される内容に圧倒される。島国の日本と違い、国境の定めなき世界で、移住する民族が互いに凌ぎを削り、現れては消える苛酷な歴史が淡々と語られている。迷路に入り込むかのような雑多の情報に溺れそうになる。この道の専門家でないと読みこなすのは難しい。大きな時代区分ごとに章にまとめられ、各章では整理された年表に沿って説明されるのが助けになる。読み終わって巻末を見て、初めて著者が女性であることを知り驚く。