旧約聖書の源流にもなっているシュメル神話についての本。
例えば「ノアの方舟」では大洪水が起こるが、エルサレム周辺で大洪水があったとは考えにくい。
これは、チグリス川・ユーフラテス川周辺のメソポタミア文明の地域で頻繁に起こった洪水がシュメル神話に含まれ、それが西のエルサレム方面に伝わり旧約聖書に影響を
...続きを読む与えたという。
「ある人間が神からメッセージを受け取って船を作り、それにより洪水から生き残った」という部分まで一致しているらしい。
シュメル神話はこの大洪水の物語を境に、それ以前が伝説的、以降が史実的なものと捉えられるそうだ。
また、人類初の文字である楔型文字は粘土板に書かれ、土は非常に重要なものであった。
それもあってかシュメル神話では人間は土から作られるが、旧約聖書のアダムとイブも土から作られている。
では、なぜシュメルの神々は人間を作ったかというと「神の代わりに働かせるため」だという。
一神教のキユダヤ教やキリスト教と異なり、多神教のシュメルの神々は、ギリシアの神々と同様の怠惰さを持っている。
なお、旧約聖書ではエデンが楽園とされるが、メソポタミア文明地域にエディンという地名が実在するらしい。
ただしエディンの意味は「原っぱ、平原」といったところだという。
旧約聖書との関係だけでもこれだけの内容があるが、これはごく一部で、大量の出土品や解読された物語が翻訳され、解説されている。