岡田明子の作品一覧
「岡田明子」の「シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン」「妊娠できる体は食から 30代からの妊活食」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「岡田明子」の「シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン」「妊娠できる体は食から 30代からの妊活食」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
シュメル人とは、古代メソポタミア文明の最古の時代(前3500頃~2000頃)に存在した民族系統不詳の人々である。その言語、シュメル語は孤立した言語と見られ、前二千年紀には話者のいない死語になっている。
彼らの使っていた言語は、歴史の教科書に出てくるような、粘土板に刻まれた楔形文字で書き表された。シュメル語は完全に解読されており、古代の人々が紡いできた物語もそこから読み取ることができる。
その中の「シュメル神話」は、オリエントの神話や旧約聖書にも影響を与えている。「ギルガメシュ(ビルガメシュ)叙事詩」や大洪水伝説などがその代表である。
本書では、そうしたシュメル神話の歴史的背景と合わせて、神話自体の内容も紹介する。
神話は「詩」の体裁であり、数行が少しずつ内容の異なる繰り返しの語句からなる「重複文形式」となっている。これは口承文学であり、「朗誦」を前提としているためである。聞き手の耳に心地よく響き、物語の世界にいざなう効果があるのだろう。例えばこういった調子である。
古(いにしえ)の日々に、古の日々に、天と地がつくられたときに、
古の夜々に、古の夜々に、天と地がつくられたときに、
古の年々に、古の年々に、運命が定められたときに、
シュメルの神々が生まれ、女神たちが娶られ、女神たちは天と地に分けられた。
全体として非常に興味深く読んだ。
「ノアの洪水」につながるような大洪水伝説は、なるほどメソポタミアの湿地帯で生まれたものとすれば理解しやすい。
シュメル神話では、人間は神の代わりに働く存在として、粘土から作られている。シュメル人は粘土からレンガを作って建物を建て、粘土板に文字を刻んだ。シュメル地方には石材も木材も鉱物資源もなかった。どこにでもある粘土を使うという発想はごく自然なものだったのだろう。
おもしろい概念に「メ」というものがある。神々が定めた掟であり、守るべき規範なのだが、一方で、宝冠や衣装のように身に着けたり、玉座のように座ったり、また持ち運んだりもできるものだったという。
通常は、神の中でも位の高い全知全能の神エンキが所有している数々の「メ」。ある時、エンキの元を、娘の神イナンナが訪れ、酒宴となる。ご機嫌になったエンキは次から次へとイナンナに「メ」を与えてしまう。英雄的精神、強気心、邪気、正直、都市略奪、哀歌詠唱、歓喜の心、反逆地、和平状態、家具づくりなどの手仕事、理解力、荘重なる沈黙、などなど(何だか脈絡がないのだが、そこは口承文学というところである)。たくさんの「メ」を持ってイナンナは意気揚々と帰っていく。酔いが醒めたエンキは顔面蒼白である。取り戻さねばと慌ててイナンナを追いかけさせるのだが、さて、ことの顛末やいかに。
このイナンナ女神でもう1つおもしろいのは、「イナンナ女神の冥界下り」と呼ばれる物語である。
イナンナはある時、冥界に興味を持ち、行ってみようと思い立つ。神殿を捨て、女神にふさわしい7つの「メ」を身にまとって出かける。冥界の女神、エレシュキガルによって殺されるかもしれないことを恐れ、従神のニンシュブル女神に「帰ってこなかったらほかの神に助けを求めるように」と言い置いていく。
冥界の7つの大門を通るたび、イナンナの「メ」は剥ぎ取られる。最後の門をくぐったときには全裸となってしまった。女神エレシュキガルは玉座からイナンナに「死の眼差し」を向け、イナンナは死骸となって鉤に吊るされてしまう。
イナンナが戻らないため、従神は神々に助けを求める。どうにか帰れたイナンナだが、これは条件付き。誰か身代わりが必要なのだ。自分に身近なものを身代わりに冥界に送ろうとするイナンナだが、誰もかれもイナンナの死を悼んでいて、身代わりにするには忍びない。ところが、イナンナの夫が死を悲しむことなくきらびやかに着飾っているのを見つけてしまい、イナンナは激怒する。こいつを身代わりにしよう!と思うのだが、果たして。
冥界行きの神話はさまざまあるが、これは古い形の1つなのだろう。いずれにしても一度行くとおいそれとは帰ってはこられないのが冥界である。なかなかおもしろい。
シュメルの都市はその後、崩壊する。これを描くような神話もある。
神々の取り決めで、都市の滅亡が決まる。都市の王たちは敗北し、人々は町から追われる。都市も城壁も瓦礫となる。神々はそれまで守護していた都市の滅亡を目の当たりにし、大声で嘆き悲しむ。しかし、一方で、新たに来た人々が都市を再建するのを見守ってゆくことになる。
王朝は代替わりするが、都市は死なないのだ。
1つの民族が滅びれば、神話も変わりそうなところだが、シュメル神話はシュメル人以後の人々にも語り伝えられており、学校で教えられた記録もある。敗者の神話は、ある種、哀愁をたたえながら鑑賞されていたものだろうか。
物語としても強い力を持つ神話群。さまざまに形を変えながら、長い年月を生き延びていくことになる。
*イナンナ、アッカド語ではイシュタルで、アガサ・クリスティの『ミス・マープルと13の謎』の「アシュタルテの祠」に出てくるアシュタルテの別名ですね。シュメル神話やそれに関連する物語は、欧州圏では比較的なじみ深いものなのでしょうか。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
いまから五千年前にティグリス、ユーフラテス河畔に栄えた人類最古の都市文明シュメル。
粘土板には多くの神話が残され、ギルガメシュ叙事詩や大洪水伝説など、後世に伝えられたものも多い。
これらの神話の世界では、酔っ払う大神、死後の国を覗こうとする女神、蛮族を征服する王、怪獣など、様々なキャラクターがいきいきと活躍している。
代表的な神話のストーリーを紹介し、神神の役割や性格、舞台背景などを詳説する。
[ 目次 ]
序章 粘土板に書かれた物語―シュメル神話の基礎知識
第1章 「創世神話」―人間はなぜ創造されたか
第2章 神々が送る大洪水の物語―伝説はシュメルにはじまる
第3章 「楽園神話」と農耕牧畜比較論
第4章 シュメル世界の規範「メ」と神々の聖船
第5章 エンリル神とニンリル女神の性的ゲーム―成人向け神話
第6章 大地母神と死んで復活する神―イナンナ女神冥界降下顛末記
第7章 大王エンメルカルと「小さな王」ルガルバンダ
第8章 『ギルガメシュ叙事詩』成立縁起―ビルガメシュ神の英雄譚
第9章 王による王のための神話―英雄神の怪物退治
終章 大河のほとりで―シュメル人国家の終焉とその後の伝承
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