石黒浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
様々なSF映画を題材にして、ロボットと人間や社会との関わりを考察している科学新書。大して分量もないので読みやすい。
著者は、いきなりプロローグで「人間とロボットのあいだに明確な境界はない」と言い切ってしまう。生き物を勉強してきた自分にとっても、「人間が核酸とタンパク質のロボットである」と言うことに抵抗はない。それならば「ロボットが金属の人間だ」と言ってしまうことも、十分うなずける考えである。
もちろん人間とロボットは違うモノだと考える人もいると思う。そこで特に言われるのは、感情の欠落だろう。しかしむしろ著者は「アンドロイドだから、いくらでも表情を豊かにすることができる」と述べている。あらか -
Posted by ブクログ
石黒先生のロボットに関する2009年の新書。といっても石黒先生の開発するロボットの話なのでだいぶ偏っています。人口知能カテゴリにいれちゃいましたが、人口知能というよりはどっちかっていうと、石黒先生にとってのロボット研究は「人間とは何か」なのである意味哲学より。
科学なので実験してますが。
一見気持ち悪いロボットの数々をつくることがなぜ必要か。
そこには「気持ち悪い」と思うことに鍵がある。
人間とロボットの違いは?その間の「不気味の谷」にウキウキできる人には、語り口も一文が短くわかりやすく(わからないということがわかりやすいともいう)、かつ石黒先生の情熱(見方をかえれば失礼ながら変態かもしれな -
Posted by ブクログ
ネタバレ人類の科学史・哲学史を変えるくらいのインパクトを持った一冊。「人間とは何か」という昔から哲学者達を悩ませてきた問題に対し、「ロボットとは何か」という双対問題から解釈を与えようとしている点が非常に面白い。
特に印象に残ったのはロボット演劇のエピソードで、演劇にロボットを出演させ、ロボットが、完全に決められたタイミングで、決められた動作やセリフを言うという実験だが、この演劇を見た人の大半はロボットに心があると感じたという。この結果から、筆者は、心というのは、「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけ」で、「ロボットでも十分に心を再現することができる」としている。哲学的な言い方ではある -
Posted by ブクログ
読みやすい、わかりやすい、ワクワクするの三拍子でした。特に、これまでのインターネットを人間の情報伝達のツールとして捉え、ロボットも同じように進化し発展していくだろうという見解に共感できました。しかし、技術的にはそうであっても、経済の観点からはなかなか難しいのではという疑問をいだいてしまいました。ビジネス書ではないわけですし、アンドロイドをつくる目的を知り、人間とはなんであるかという哲学をする本としては最適ではないかと思います。
この本を通して個人的に得ることの出来た一番のことは、ロボットに性を与えることが実は重要なことなのではないかということです。他にも、心に限らずのことですが、周りの人間 -
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Posted by ブクログ
ロボット開発者は、結局人間そのものと向き合っている。彼らが創作しているのはロボットなのか人間なのか。
これはロボット開発者でなければ分からない苦労なのだと思う。
ロボットを開発する上で、開発者は結局「人間」そのものと向き合わざるを得ない。
その開発されるロボットの目的や、ゴールをどこに設定するかによって、意味合いは相当に異なってくる。
大量生産する工場の中で働く工作用ロボットは、これはこれですでに完成されている。
人間のような意識を持つ必要はないし、工作用ロボットを人間側に似せる必要すらない。
しかし、我々が一般的にイメージする今後のロボットは、いわゆる汎用型だ。
人間をサポートしたり、人間と -
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Posted by ブクログ
精巧なアンドロイドのトップクラスの研究者 石黒浩によるヒトとアンドロイドの違いについて
むしろ、違いはないのではないか?という哲学的な問いかけになっている
目次だけ読んでもある程度の内容は推測できる
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プロローグ
「人の気持ちを考える」
第1章 不気味なのに愛されるロボット──テレノイド
誰もが気味悪がるロボット
高齢者の話し相手として大人気
人間らしさと「不気味の谷」
落ち着きのない子が一瞬で静かに!
第2章 アンドロイド演劇
人間よりも人間らしい
アンドロイド演劇が映し出す「心」の正体
第3章 対話できるロボット──コミューとソータ
ロボット