石黒浩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
その風貌から一種のマッドサイエンティストを想像していたのだが、著者は「ど」がつくほどに真面目で誠実。
だからこそ、世界観を根底から覆すような大きな真理を発見するわけではない。
ものすごい労力をつぎ込んで、想像しうる範囲の知見を得、考えを得る。
しかしそれはさらに大きな疑問や研究テーマに結び付く。
そもそも人間という存在が謎で、鏡が迷宮であるならば、落着など永遠に得られないのだ。
もっともっと根源的な謎が引きずり出される。これが本書の熱いところ。
視覚、表面、皮膚から、社会や心へのシフト。
技術論ではない。誠実に積み重ねられた研究からはじき出される謎の深化。哲学論だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマツコロイドでも有名な石黒さんが、開発したロボットの亜話を交えながら、人間について考察した本。あえて、感情移入できるよう作られたテレノイド。アンドロイドに演劇させたり、米朝のアンドロイドを作ったり。コミューとソータは2体のロボットと会話することで自然な会話になるそうだ。「心とは観察する側の問題である」「今のロボットは1、2歳のアカチャンくらいだと思ってほしい」ジェームス・ランゲ説「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」「75%の仕事がロボットに変わる」「中国の空港には上海ガにの自販機がある(人間より機械が信用される)「義手の人の義手を刺すと痛みを感じる」「将棋がAIに負けたとしても競技
-
Posted by ブクログ
人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究の第一人者が、自らの研究開発の過程と、そこから生まれた「人間とロボット」についての考察をまとめたもの。2009年発刊。
著者が2006年に作成した、自身をモデルにした遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイドHI-1」は世界中の注目を集め、2007年に著者は英コンサル会社による「生きている世界の天才100人」の26位(同順位には、ダライ・ラマ14世とスティーブン・スピルバーグ)に選出された。
著者はもともとコンピュータビジョン(カメラから得られた画像をコンピュータで解析し、その画像に何が写っているかをコンピュータに認識させる研究)を研究していたが、コンピュータが -
Posted by ブクログ
<目次>
プロローグ
第1章 日常活動型からアンドロイドへ
第2章 遠隔操作型アンドロイドを創る
第3章 サロゲートの世界
第4章 アンドロイドになる
第5章 ジェミノイドに適応する
第6章 ジェミノイドに恋をする
第7章 実体化するもう一人の自分
第8章 人を超えるアンドロイド
第9章 人間がアンドロイドに近づく
第10章 持ち運べるジェミノイド
第11章 人間のミニマルデザイン「テレノイド」
第12章 存在感を持つミニマルなメディア「ハグビー」
<内容>
ロボット工学の第一人者。しかし、「アシモ」などの二足歩行型よりも見た目に人間に似せた「 -
Posted by ブクログ
精神と肉体は切り離されているのか?という二元論的な問いを考えていた時に、先輩が貸してくれた本。
非常に面白かったです。
アンドロイドと言うと、ついつい内容的な部分(こんな新しいことができる!とか)に目がいってしまいますが、外見がこんなに重要だと思わなかったです。
面白かったのは、自分とそっくりなアンドロイドが、整備のために頭を開かれている時に衝撃を感じるとか、うっかり急停止ボタンを押してしまい、萎んで崩れて行く姿は「人の死」を感じさせるという話。
物質的には機械だし、自分ではないはずなのに。
あと、ロボットを遠隔操作している時に、ロボットが人に触れられると、自分が触れられたような妙な感覚 -
Posted by ブクログ
ネタバレロボット研究の第一人者による新書。2009年刊。
より“人間らしい”ロボットを模索するうちに、「人間とは何か」という根源的な問いを意識するにいたった著者の、研究と思索が 明快に詰め込まれた書。
なぜ人間は、人型のロボットに対して飽くなき探求を続けるのか。そこには、技術開発を通じた“人間理解”への欲求があるのだと氏は論ずる。
ロボット研究における人間らしさ(特に見た目や動作を中心として、知覚・感情・発達といった部分まで)を追求する取り組みが興味深い。→ジェミノイド(人間もどき)、ロボット演劇、ロボット化社会予想
・体を持たないコンピュータに真の認識が可能か
・なぜ人間型ロボットなのか
・人 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
英国コンサルティング会社SYNECTICSの「生きている天才100人」調査で日本人最高位の26位に選出(2007年)。
石黒研究室が参加する「Team OSAKA」は、「ロボカップ世界大会」サッカー競技ヒューマノイドクラスで4連覇を達成(2004~2007年)。
自身のアンドロイド「ジェミノイド」とともに、欧州最大のメディアアートの祭典「アルスエレクトニカ2009」でフィーチャードアーティストとして展示を行う(2009年)。
[ 目次 ]
プロローグ ロボットは人の心の鏡
第1章 なぜ人間型ロボットを作るのか
第2章 人間とロボットの基本問題
第3章 子供と女性のアンドロイド