上野修のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
凄いとしか言いようがない。まさにそんな著書だと思う。この著書を読む前まではスピノザという人の名前すら知らなかった(デカルトに比べ)が、今はスピノザの考えなしには生きられないというくらいだ。
スピノザの哲学論理は数学の定理のような厳密さで進む。三角形の内角の和が180度と普遍な定理なように、私たちの周りに起こる様々なことも普遍的な定理に基づいた「必然性」に過ぎない。そもそも私たち自身が神の「一様態」に過ぎず、他人との様々な出来事も神の起こす衝動の衝突に過ぎないのだ。こう言い切ってしまうほどの彼の哲学論理の積み重ねには脱帽する。無論、著書はあくまで超入門編に過ぎないし、それでもいささか難解ではあ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
スピノザの思想史的評価については多くのことが言われてきた。
デカルト主義との関係、ユダヤ的伝統との関係。
国家論におけるホッブズとの関係。
初期啓蒙主義におけるスピノザの位置。
ドイツ観念論とスピノザ。
現代では、アルチュセール、ドゥルーズ、ネグリ、レヴィナスといった名前がスピノザの名とともに語られる。
スピノザはいたるところにいる。
が、すべては微妙だ。
たしかにスピノザについてはたくさん言うべきことがある。
そのためにはスピノザの知的背景と時代背景、後代への影響、現代のスピノザ受容の状況を勉強する必要がある。
けれども、まずはスピノザ自身の言っていることを知らなければどうしよ -
Posted by ブクログ
われわれはあるものを善と判断するがゆえにそのものへと努力し・意志し・衝動を抱き・欲望するのではなくて、反対に、あるものへ努力し・意志し・衝動を抱き・欲望するがゆえにそのものを善と判断するのである。(『エチカ』第3部定理9の備考)
・・・・・・『スピノザの世界』30頁
驚いた。ここまで、自分の考えに合った哲学者は初めてだ。
幾何学的記述による哲学というアプローチ。
生への強い肯定。
徹底した利己主義によって導かれる功利主義的な最高善の解釈。
自由意志の否定。(だが、その否定も虚無的なものではない。)
汎神論。(宗教的であり、無神論的でもある。)
実に面白い。
どんな哲学も、証明不可能な仮説に -
Posted by ブクログ
自然法則の課する正しい規範が偶然にもあらわれ「神の統治」「神の法」ができた。みんながそろって賢者でなくても全うに存続する社会ができた。
聖書は、そんな素敵な社会が出現する過程をややオーバーにつづった有難い記録である。
現代は偶然に頼らず「人民の統治」「国家の法」が出来てる。
ここがすでに神の国☆
しかし「神の統治」「神の法」=「人民の統治」「国家の法」の失敗によって迷信がはびこる~。
ってゆうのがスピノザの考えらしい。(私の勝手な解釈では…)
オーバーで分かり難い聖書からではなく、政治の仕組みやら憲法でも読んでみようかwww
スゴク良かった。
借りたけど、購入したいく -
Posted by ブクログ
面白かった。
デカルト、スピノザは『哲学史入門II』のプラスアルファくらいだったが、より詳しく書かれていて理解が深まったと思う。
ホッブズは何とも不気味で怖い感じの哲学なんだということがわかってきた。
ただ、自由意志に関する議論は中々ラディカルで面白かった。
相互不信からの契約に至る話は、急に人を信頼するステップが挟まれているようで気になるところが多かった。
もちろん、その疑問についても本書で言及されていたがあまり腑に落ちない。
ライプニッツはよくわからないことを言っている人というイメージだったが、前の3人からの流れで見ると何がしたかったのか理解できるようになった。
ただ、それはそれとし -
Posted by ブクログ
汎神論を徹底すると唯物論になってしまうというところがとても気になるスピノザであるが、「エチカ」はあまりにも難解というか、すごく読みにくいので、なかなか近づけなかった。
ということで、とりあえず、新書で手っ取り早くと思って、本書を読んだが、「エチカ」を中心に丁寧に説明しつつ、読者が抱くであろう疑問を先回りしつつ親切に解説してくれる、なかなかに分かりやすいスピノザ入門本であった。
基本的には、他の思想家との関係やさまざまな解釈はおいといて、スピノザのテクストに沿って議論は進むのであるが、それでもニーチェとの関連については触れてある。スピノザは、それほどまでにニーチェの「善悪の彼岸」や「道徳