あらすじ
スピノザの思想史的評価については多くのことが言われてきた。デカルト主義との関係、ユダヤ的伝統との関係。国家論におけるホッブズとの関係。初期啓蒙主義におけるスピノザの位置。ドイツ観念論とスピノザ。現代では、アルチュセール、ドゥルーズ、ネグリ、レヴィナスといった名前がスピノザの名とともに語られる。スピノザはいたるところにいる。が、すべては微妙だ。――<本書より>
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スピノザの哲学は、かつてエチカをチラッと開いて絶望して依頼、中公クラシックの迫力とあわせて敬遠していたが、この本でかなりイメージが変わった
こんなに透き通った人はいないのではないか
憧れる
デカルトが、合理的、機械的といいつつも、とても人間的、実際的であったのに対して、スピノザは超越しちゃってる
全てが原子だとして、大事なのは心の平穏、アタラクシアとしたエピクロスと、どこかで通じるものを感じてしまっている
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めちゃくちゃ感動した。
最後は第三種の認識まで到達して一気に理解。
理解できるのはもともと知っているからで、スピノザの言うように最初から真なる観念が与えられているからなんだろう。
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デカルトの思想をそのまま理系的につきつめると汎神論になる、というのがスピノザか。そんな感じがした。著者はスピノザの『エチカ』を丁寧にたどりながら、読者をスピノザの頭の中に連れて行ってくれる。通常「汎神論」といわれても、今ひとつわかったようなわからないようなところがあるが、この本を読むとそれを豊かにイメージできる。そしてスピノザの説く倫理が、実はニーチェに近いと言うことも、ニーチェ自身や著者の指摘を待つまでもなく、実感できる。
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特異なる神学者・哲学者であるスピノザ。その代表的著作である『エチカ』を中心とした解説書・入門書です。
とにかく記述が明快です。淀みがないので大変にわかりやすく、それでいてレベルを落としたところがない。元々の思想をよほどよく読理解していないとこの本は書けません。後半はさすがに手強いですが、順序だてて考え、読んでいけば理解出来るようになっています。
全六章からなる本書ですが、「6 永遠」のスリリングさは圧巻。あくまでも神と人間の関わりに基づいていた議論が、魂と永遠の次元にまで一気に高まる様は興奮すらおぼえます。
お勧めです。
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「衝動」が人間を動かしている。自由意志の否定。「神、あるいは自然」というフレーズ。全てが必然であり、「神」の一部である。
諦めではない、全てを受け入れる勇気を与えてくれる。
スピノザの思想に魅力を感じるきっかけとなった一冊。
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凄いとしか言いようがない。まさにそんな著書だと思う。この著書を読む前まではスピノザという人の名前すら知らなかった(デカルトに比べ)が、今はスピノザの考えなしには生きられないというくらいだ。
スピノザの哲学論理は数学の定理のような厳密さで進む。三角形の内角の和が180度と普遍な定理なように、私たちの周りに起こる様々なことも普遍的な定理に基づいた「必然性」に過ぎない。そもそも私たち自身が神の「一様態」に過ぎず、他人との様々な出来事も神の起こす衝動の衝突に過ぎないのだ。こう言い切ってしまうほどの彼の哲学論理の積み重ねには脱帽する。無論、著書はあくまで超入門編に過ぎないし、それでもいささか難解ではあるが、読むだけの価値はあると思う。久々に感動する新書だった。
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[ 内容 ]
スピノザの思想史的評価については多くのことが言われてきた。
デカルト主義との関係、ユダヤ的伝統との関係。
国家論におけるホッブズとの関係。
初期啓蒙主義におけるスピノザの位置。
ドイツ観念論とスピノザ。
現代では、アルチュセール、ドゥルーズ、ネグリ、レヴィナスといった名前がスピノザの名とともに語られる。
スピノザはいたるところにいる。
が、すべては微妙だ。
たしかにスピノザについてはたくさん言うべきことがある。
そのためにはスピノザの知的背景と時代背景、後代への影響、現代のスピノザ受容の状況を勉強する必要がある。
けれども、まずはスピノザ自身の言っていることを知らなければどうしようもない。
そのためには、スピノザがどこまで行ったのか、彼の世界を果てまで歩いてみるほかない。
彼が望んだようにミニマリズムに与し、彼の理解したように事物の愛を学ぶほかないのである。
[ 目次 ]
1 企て
2 真理
3 神あるいは自然
4 人間
5 倫理
6 永遠
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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われわれはあるものを善と判断するがゆえにそのものへと努力し・意志し・衝動を抱き・欲望するのではなくて、反対に、あるものへ努力し・意志し・衝動を抱き・欲望するがゆえにそのものを善と判断するのである。(『エチカ』第3部定理9の備考)
・・・・・・『スピノザの世界』30頁
驚いた。ここまで、自分の考えに合った哲学者は初めてだ。
幾何学的記述による哲学というアプローチ。
生への強い肯定。
徹底した利己主義によって導かれる功利主義的な最高善の解釈。
自由意志の否定。(だが、その否定も虚無的なものではない。)
汎神論。(宗教的であり、無神論的でもある。)
実に面白い。
どんな哲学も、証明不可能な仮説に過ぎない。
だが、スピノザの哲学はかなり実用的な部類に入るのではないだろうか。
また、引き込まれるように読むことができたのは、著者上野修の文体や、ところどころに入るスピノザへのつっこみが親しみやすいものであった為だということを強調しておきたい。
Posted by ブクログ
上野先生のスピノザ解説はやっぱり面白い。
常識的な推論を逆に考えてしまうことでこれほどすっきりと物事が理解できるようになり、それ以降はそうとしか考えられなくなるような凄い思想だと思う。
Posted by ブクログ
「神あるいは自然」は外部を持たず、自己原因のみに従うという意味においては“自由”であるが、メンタルな「自由意志」を持つわけではない。無論、この唯一の実体の変状、すなわち神の「様態」にすぎぬ我々も然り。しかしスピノザは悲観する必要はないと言う。必然性の認識は肯定への道である。ただし、その哲学はライプニッツ的な予定調和論とは本質を異にするドライな決定論だ。存在や生起に大層な意味は無い。だが、それを知り、全てを永遠の相のもとに見るとき、我々は真に神と一体であり、本当の自由と愛、そして至福を得る。
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思想がでかすぎる。一般的に神として想起される人格神ではないいわゆる全てが神といわれると、そもそも西洋人が神という言葉でくくっている何かってなにをいわんとした概念なんだろうなんて考えた。
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汎神論を徹底すると唯物論になってしまうというところがとても気になるスピノザであるが、「エチカ」はあまりにも難解というか、すごく読みにくいので、なかなか近づけなかった。
ということで、とりあえず、新書で手っ取り早くと思って、本書を読んだが、「エチカ」を中心に丁寧に説明しつつ、読者が抱くであろう疑問を先回りしつつ親切に解説してくれる、なかなかに分かりやすいスピノザ入門本であった。
基本的には、他の思想家との関係やさまざまな解釈はおいといて、スピノザのテクストに沿って議論は進むのであるが、それでもニーチェとの関連については触れてある。スピノザは、それほどまでにニーチェの「善悪の彼岸」や「道徳の系譜」を思い起こさずにはいられない哲学者なのであった。
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スピノザの独特の世界を、できるだけわかりやすく紹介しているのですが、そうはいっても、もともと難解な思想であるため、これを理解するのは容易ではないな。ただ、「スピノザの神」が、「神」という存在に対して漠然と抱いているものと全く異なることがわかります。
Posted by ブクログ
約7年ぶり(!)に読んだ。
スピノザの主著『エチカ』の読解。
最初に本書を手にしたのは、スピノザの思想と、ミニマリストプログラム以降の生成文法の言語観・自然観との間に相通ずるものがありそうだと感じたのがきっかけだった。
抽象的な話が多く、骨の折れる読書となった。
著者の意図をきちんと読解できているかもあやしいが、本書で述べられているスピノザの思想を自分の言葉で粗削りに要約すると、次のようになる。
「神とは、数式や自然法則のようなものであり、世界は自動機械がものを作るように、必然的に生み出されていった(神が何かを意図して創造したのではない)。
世界に存在するすべての事物は、良いものも悪いものも、神(=自然法則)の必然の結果生じたもので、また、これらはすべて神の一部である。
それゆえ何かよくないことがあっても、“すべて必然”と考えれば、すべてのことを許すことができる。
そのように世界を認識できる人間は、自由で強い。
“すべて”の中には、当然、自分自身も含まれる。
自分自身が必然の存在であると認識することは、自分自身が神のあらわれ(=自然法則の一部)であり普遍的な存在であると理解することである。
自分自身が神の一部であるならば、つまり、人が神を愛すること=神が人を愛すること=神が神自身を愛すること、となる。
この栄光こそ、人が衝動的に欲している自由、幸福、至福である」
一般的なキリスト教からイメージされる神に比べると、スピノザの神は無機質だ。
当時の教団から「異端」として追放されたのも仕方なかったかもしれない。
でも数式のように無機質だからこそ、永遠不変なのだともいえる。
ニーチェや仏教の思想にも似たものを感じる。
実際ニーチェはスピノザを、自分の「先駆者」としてたたえていたそうだ(pp165-166)。
『エチカ』自体、幾何学の証明のように定義と公理からスタートして定理を導いていく、というふうに淡々と書かれているらしい。
が、果たしてその定義や公理や推論過程が妥当なものか、確信はもてない。
(いや、正直に言うと、直感として納得できていない。)
仮に推論過程が正しかったとしても、スピノザの導いた結論(定理)の数々は、一個の閉じた公理系の中でのみ正しい、としか言えないじゃないか!
……とも思ったが、宗教は科学じゃないし、幾何学の証明のような書き方に惑わされて科学哲学の枠で考えること自体が間違っているのかな。
うん、自分にそう言い聞かせて納得することにする。
Posted by ブクログ
17世紀の哲人スピノザの入門書。
アインシュタインにも大きな影響を与えた人です。
とっても読みやすく書かれています。
いつも哲学書は新たな視点をくれて好きです。
でも、いつも理解できていない気がする。
そのうち再読するかな。
Posted by ブクログ
難解なスピノザの思想を紹介してくれる、
とても優れており便利な一冊。
ニーチェにも通ずる、汎神論=神あるいは自然という観念は
一種の唯物論的解釈だと感じた
Posted by ブクログ
一言でいうと難しい。
読み終えはしたもののきっと理解などできていないと思う。
ただ読んでいて面白かった。読み進まないということはなかった。
また時間をあけて何度も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
本書自体が入門書の位置づけのようだが、同じ講談社現代新書の2冊の入門書をすでに読んでいたので何とかついていけた感じ‥
読む順としては國分→吉田→上野が正解だと思います。
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「エチカ」の復習に。これ単独で読むとむずかしいだろうが、ひととおり読んでからだととてもわかりやすい。「エチカ」原著(翻訳だけど)で今ひとつ理解できないところが、かなり明確になる。
古典なんて時代背景も文脈も今とは違うのだから、それを補完し案内してくれるこういう入門書があると大変助かる。
Posted by ブクログ
スピノザ哲学の入門書。きわめてとっつきにくいスピノザの哲学に読者が親しめるような工夫が文章に感じられる。
著者は『エチカ』の解説を始めるにあたって、「実在」や「神」ではなく「真理」に注目している。古来哲学は真理を獲得するための方法を熱心に論じてきた。だがこうした方法論の企ては無限遡行に陥るほかない。ここで問いの方向を転換してみてはどうだろうか。つまり、私たちにすでに「与えられている真なる観念」が、真と言えるための規準をもたらしてくれるからこそ、私たちは真理を獲得するための方法を手にしているのではないのかと。
著者はこうした議論を、スピノザの「外的標識」と「内的標識」によって裏づけている。観念と対象との一致という「外的標識」だけでは、観念が真であることを正当化するのに十分ではない。むしろ、当の観念を正当化するための規準が明らかであるからこそ、私たちは事実の何を調べればそれが正当化できるのかが理解できるのである。これがスピノザの言う「内的標識」だと著者は説明している。
スピノザによれば、あるものの観念は、それをもたらす近接原因によって定義される。「内的標識」とは、原因の観念と結果の観念との間に存する必然性にほかならない。そこで、こうした観念の必然的な連鎖の全体を覆っている巨大な思考を考えることができる。こうした巨大な思考がスピノザの「自然あるいは神」にほかならない。それは、自分で自分がこのようなものであるということの説明になっているようなものとして記述されなければならない。スピノザの『エチカ』はこうした説明の体系になっている。
ところで、『エチカ』は文字通り「倫理学」であるにも関わらず、「……すべし」という定言命法は見られない。「神あるいは自然」によって人間の感情と行動が理解されるならば、ことさら悔い改めや憐憫は必要はないのである。このことを実地に教えるのが『エチカ』なのだと著者は述べている。
Posted by ブクログ
難しいいいいい('A`)
結構間を空けながら読んでしまったのがそもそも悪かったのですが、ただぼーっと読んでいると全然内容が頭に入ってこなかった……やはりこの手の本はなかなか読み慣れないとあらためて自覚させられた次第。いつかリベンジしたい。
こんな自分が言うのも説得力がないですが、一つの章のページ数はそれほど多くなく、章毎に読んでいくとすればそれほど苦にはならないと思います。ただ内容はやはり難しく、意識的に「読書」をしなければ内容を読み飛ばしてしまいます。そう、自分のようn(ry
後半に書かれた自由意志の否定、物事(人)の許し方、永遠の相のもとの観念について、自分は特に興味深かったです。
いつか自分も、正しく自己肯定してやれる時が来たら良いのですががが。