チェーホフのレビュー一覧
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『かわいい女』
出会う男性すべてを愛し、依存する女性。その時に付き合った人の思想や生活に疑うことなく染まっていく。自分の意思を持たないことを冷笑しつつも、都度、本気で人を愛する姿はなぜか放っておけないイジらしさがある。
『犬を連れた奥さん』
運命の人に出会うタイミングは残酷である。一緒にいても幸福になることは難しいとお互い理解しながらも、それを口に出さずに、いつか来る終わりまで共に過ごしていくのだろう。
短編だが、とてもよく纏っている恋愛小説。
この物語を読むと、他の恋愛小説が非常に冗長に感じるほど、満足度が高い。細やかな心理描写も美しく、適度な余白も心地よい。チェーホフが短編小説の巨匠とまで言われるのも頷ける。 -
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先日読んだ太宰治の『斜陽』は、チェーホフの『桜の園』を下敷きに書かれたものであることを知りました。しかし、戯曲に慣れず、数ページ読んで“難し〜い”となってしまい......ということで、あらすじを知るだけでもと思い、小説化してある本書を読むことに。登場人物同士のやりとり面白く、すがすがしい読後感でした。
舞台は農奴解放後の帝政ロシア。主人公は地主のラネーフスカヤ夫人。この夫人が5年ぶりに“桜の園”(自分の土地)に帰ってきたところから、物語が始まります。登場人物が多くごちゃごちゃするのですが、初めに人物の詳しい説明があり、分かりやすかったです。
ラネーフスカヤ夫人(没落貴族)は頭の中が、お花畑状態!金銭感覚は全く無し、若い男性にうつつを抜かす女性です。変わり種の兄も登場します。子供の方がまだ常識ありました。“桜の園”が競売にかけられるといことで、百姓出の実業家ロパーヒンが助言をします。しかし、聞く耳を全くもたず.......。“桜の園”が競売にかけられる場面、ドキドキでした。貴族と労働者の意識の差、お金に対する価値観の違いが分かります。あらすじが分かったので、戯曲『桜の園』を読んでみます。 -
Posted by ブクログ
久しぶりの再読。チェーホフの四大戯曲の中では最も完成度が低く、あちこちデコボコしたような印象を覚える作品だが、四作品の中で唯一「青春もの」と呼べる内容であり、チェーホフらしからぬ若々しさに溢れている。後の作品、とりわけ『三人姉妹』の萌芽が随所に見える点も興味深い。この作品でうまく表現しきれなかったモチーフを熟成させて、『三人姉妹』で用いたのだろうか。
繰り返し読むことで、物語の構造やモチーフの反復など、作劇の技術がよく分かってくる。だが、そこには多くの謎も秘められている。たとえば全ての幕で冒頭にマーシャが出てくるのは面白い趣向だが、何故マーシャでなくてはならないのか?と考えても、答えはよく分からない。それらの謎の中には、作品を解釈するための重要な鍵もあるはずだが、全てが計算され尽くしているわけではなく、単に勢いで書いてしまったのではないかと思える部分も含まれている。やはり『かもめ』は、良くも悪くも、若々しく荒っぽい作品なのだ。昔はその荒っぽさが欠点にしか見えなかったのだが、最近は次第に魅力として感じられるようになってきた。
浦雅春の訳は、現代的な口語をうまく駆使し、こなれていて読みやすい。全体的なバランスでは、数ある翻訳の中でもベストだろう。ただし文学的な香気に若干欠ける嫌いもあり、その点に関しては堀江新二の訳の方がいい。 -
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ネタバレ幸せとは何なんだろう。皆から祝福され、羨ましがられる道を歩むことが、必ずしも幸せとは限らない。
ガエーフは変化した現実を受け入れて前へ進む道を選び、ラネーフスカヤは、たとえその先に苦しみが待っていたとしても、自分の心が求める道を選んだ。
どちらが幸せなのかは、きっと誰にも分からない。どちらを選んでも、いつか後悔することはあるのかもしれない。
それでも、何か大きな選択をするとき、一度自分を俯瞰して、起こりうるさまざまな可能性を考える。
そのうえで、それでも自分の心に正直に生きると決めたのなら、とことん突き進む。それもまた、自分の選択に責任を持つということなのではないかと思った。