チェーホフのレビュー一覧

  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~

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    ひたすら暗いイメージで、救いなく、どこかおかしい作品群だが、妙に味があり最後の1編まで楽しく読めた。ヴェローチカの残念なラスト、退屈な話や6号室のような虚しい人生の幕切れ。カシタンカのような動物物も展開に意外性があっておもしろい。6号室での、狂人の定義とは健常者の常識から病気に仕立てられたのでは、というのも時代背景を考えれば大いにありえると思う。
    訳者の手腕かもしれないが読みやすい文体でした。

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    2023年09月23日
  • かもめ

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    研ナオコさんの唄う「かもめはかもめ」(中島みゆきさん作詞作曲)は、このチェーホフの戯曲が何処かにあって生まれたのだろうか。
    唄を知っていたせいか、読んだ感想に歌のイメージが被る。ドールンが感じるトレープレフの作品の印象と、かもめと、ニーナの背景に、日本海のようなブルーグレーの印象が残る。ウルフの「波」に似た、ひんやりした、透明な、美しき侘しさ。

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    2023年09月09日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    このところ国木田独歩とチェーホフの短編を読み返している。
    すごいなあ、ぎゅっと圧縮された人生模様、到達感、達成感の文章。

    両作者とも早世、独歩37歳(1908年)チェーホフ44歳(1904年)で、その晩年に円熟したとある。
    だからなのか?

    読み比べているのだが「いづれがあやめか、かきつばた」
    晩年の作品集は、国木田よりチェーホフがすこしはやく亡くなっているので、発表も少し早かっただろうが、国木田に影響があったのかどうか?ロシア文学と日本の文学の夜明け、明治時代にそんなにも伝わるのが早かったとしたらすごいなあ。

    ともかくも、人生の機微をもりあげ、解剖していく文章は、胸を撃つこと、なおそこに

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    2023年09月01日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    読書会のテーマ本として精読。
    ワーニャ伯父さん、三人姉妹共に、不仕合わせで、思い通りにいかないロシアでの群像劇が描かれます。

    暗いストーリーテリングの中では歌や、楽団の演奏も焼け石に水。ニコニコして読める一冊ではありません。

    ただ、それが良いところなのかもしれません。
    西瓜に振りかける塩のよう。しょっぱさが甘さを引き立てるように、読後に見返す自分の生活は幾分甘く感じられます。

    自分の暗い部分を代弁してくれる。そして、本を閉じた後の生活が少し明るくなる。そんな作品でした。

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    2023年08月17日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    嫌な事は見ないふり、都合よく生きていきたいという人々を情緒溢れる美しい文章で書き上げている。

    かわいい女の主人公オーレンカのような女は、割とよくいる。
    旦那の意見=自分の意見、と心から思っている。
    うちの旦那が、うちの旦那が、とよく言うのでうちダンというニックネームをつけられる。

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    2023年08月21日
  • かもめ

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    戯曲である。津村の読み直し世界文学の1冊。こうした脚本を読むよりも演劇を見た方がいいが、古いので上演されなくなったのかもしれない。野田秀樹の早口ですすんでいく現代劇よりもこうした古典劇を何回も上演した方がいいのではないか。

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    2023年08月02日
  • 狩場の悲劇

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    帯に「前人未踏の大トリック」とあるので読んでみたのだけど、、正直に言うと「このあとどんな仕掛けがあるんだろう…残りページ少ないけど、、」のまま終わってしまいました。。まぁでも、歴史的なものですよね、”あの作品”より早く世に出ているらしいので。あと、主要登場人物の誰にも共感できなくて読み進めるのがしんどかった。事件も中盤以降にならないと起きないので、そこもすいすい読めなかった理由かな。推理小説というよりは心理小説と思って読んだ方がいいと思います。

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    2022年10月24日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    コミュニケーションが取れないメンバーが集まり語るのは、本当のコミュニケーションを欲しているに他ならない。
    今にも通じるテーマを色褪せない。

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    2022年08月11日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    映画「ドライブマイカー」きっかけで読みました。
    若い頃はあまり分からなかったけど、歳を重ねてテェーホフの良さが少し分かるようになってきた気がする。
    ワーニャ伯父さんに出てくる登場人物たちは、基本的にみんな人生に絶望を抱いている。
    ロシアの厳寒な気候や土地、時代、ジェンダーなど、その原因には様々なものが絡んでいると思うけど、誰もが自分の人生に非本来性を感じていて、それをどうすることもできずに、ただただ生きている。
    最後のソーニャの言葉は、それでも生きていかなくてはいけないと、力強く、そして優しく、全ての者の背を押すように届けられている。

    三人姉妹。登場人物たちがそれぞれてんでバラバラな印象。共

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    2022年05月01日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    ドライブ・マイ・カーの予習として「ワーニャ伯父さん」だけ読んだ。
    一回目は登場人物の関係性やそれぞれのキャラクター造形などがなかなかつかめず、自分で関係図を書いたりしながら読んでいたので、ほとんど内容が頭に入らなかった。何も起こらない話だなという印象しかなかった。二回読んで何とか分かってきた。
    何というか、侘しい話だなと思った。登場人物それぞれに侘しさを抱えている。個人的にはワーニャ伯父さんよりもソーニャの侘しさが身にしみた。まだ若いのに、あの狭い環境でずっと生きていかなければならないというのはどんなに侘しいことだろう。

    また、アーストロフの造形も印象に残った。話の本筋とはあまり関係ないが、

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    2022年04月16日
  • かもめ

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    ネタバレ

    私はかもめ
    トレープレフが撃ち落としたかもめ、トレープレフ自身は、「やがてぼくもこんなふうに自分を撃ち殺すんだ」と言い、ニーナは「このかもめだってそう、何か意味がありそうだけれど、ごめんなさい、私には分からない……。私、単純すぎて、あなたのことが理解できない」と言う。トリゴーリンが着想を得た、「ある湖の岸に、あなたのような若い娘が子供のころから暮らしている。かもめのように湖が好きで、仕合わせで、かもめのように自由だった。ところが、そこにたまたま男がやってきて、彼女を見そめ、退屈まぎれにその娘を破滅させる。このかもめのように」という話はそのままニーナの現実となり、トリゴーリンはこのかもめを剥製に

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    2022年03月28日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    「ワーニャ叔父さん」
    まだ途中だけど、男の人たちが、やたらグチっぽいのね(笑)
    読んでいて、ギクリと自分のなかにも思いあたるような愚痴。

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    2022年02月21日
  • かもめ

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    劇としての評価の変遷があったよう。
    舞台上での出来事ではなく物語を紡ぐという行為への賛否と理解。
    単純に読んで楽しい、面白いという価値ではない作品だった。

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    2021年09月11日
  • かもめ

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    チェーホフ四大戯曲。
    女優の母を持つ戯曲家を目指す息子と、かもめのように自由になりたい女優志望の彼女。伯父、作家、管理人の一家、医師、教師などと過ごすひと夏の別荘地生活は
    劇的なことも起こらなく誰が主人公など分かりづらい日常劇。1896年(明治29年)初演では喜劇と勘違いされ大コケに失意のチェーホフは講演後ペテルブルクの深夜を彷徨い肺炎に。2年後モスクワ芸術座創設演目で新しい演出により大成功となり名声を獲得。この作品から内面を重視する演技と演出家を必要とする新しい演劇の時代になったらしい。

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    2021年03月24日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    人間は如何にして自らを欺くか。時代は旧いのに描かれている人間模様は現代と変わらない。人々の気持ちは一方通行で、登場人物たちはやがててんでに散らばっていく。両作品とも「エンド」が存在しない、悲惨ながらも「to be continued 」なのである。

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    2020年08月22日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ネタバレ

    「中二階のある家」のリーダと画家の会話が面白い。貧しい労働者の支援に働いているリーダに対して、そんなことではなんの解決もできないと画家。人間の価値は精神活動をすることなのだから、労働に縛られる時間を大きく減らさなければだめで、要求事項や経費を増やすのは逆効果だと。
    今の時代でも同じことと感じた。生活を質素にすればたくさん働かなくて済むと思うので。

    「かわいい女」…タイトルに惹かれて読んでみた。なるほど、かわいい女というのは人に合わせる人で、合わせることが自分の自然なんだな。逆を考えるとかわいくない女は、自意識がしっかりしていて人の幸せと自分の幸せは別物と思うタイプだろうな。私は確実に後者(笑

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    2018年06月17日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」の題名は知っていたが、チェーホフだから、てっきり戯曲かと思ってた。

    短編なので、基本主人公中心の物語なのが演劇と違う処。
    「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」は現代の日本でも成り立つような話。
    その他の短編から立ち上がってくるのは、不労所得を得ている地主や工場主、虐げられている自覚もない貧困層、理想を口にするが、地に足のついてない高等遊民。

    やや長めの作品「谷間」。谷間の小さな村を牛耳る業突く張りな商人とその家に嫁いだ三人の女性の物語。如何にも有りそうで、救いようのない話なんだが、昔のロシアの大地にじんわりと包まれていくような感触。
    チェーホフが何のため

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    2018年04月07日
  • かもめ

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    四幕の戯曲で、さほど厚くない本だが、少しずつ読み進める。一人一人の台詞は短いし、次々登場するので、最初は「えっと、コイツ誰だっけ?」登場人物のページを何度も見直す。

    様々の恋が織りなす人生模様とカバーの裏にあるが、誰もが自分勝手だと思う。
    一番違和感を感じたのは、アルカージナかな。息子を愛しているというけれど、無理解だし、女優なので衣装にお金がかかると、息子にはろくに服を買い与えない。
    登場人物の誰にも感情移入が出来ないけれど、不思議な感触がある。
    そして終幕。正直、息を飲んだ。

    生の舞台を観たくなった。

    「私はカモメ」って女性宇宙飛行士、テレシコワの科白と思っていたけど、元ネタがあった

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    2017年10月07日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    中年の文学、そして、中心のない展開、登場人物のコミュニケーション、独り言。チェーホフの戯曲にいつも漂う空気感。

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    2015年01月26日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    ここから出て、ここではないどこかへ…。思い切って飛び込んでしまえば、案外やっていけるのかもしれない。でも、そうじゃなかったら…。

    『プロポーズ』と『熊』は、楽しいコメディだった。

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    2014年08月28日