チェーホフのレビュー一覧

  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    戯曲のたのしみかたが相変わらずわからない。
    農奴解放の光と影、みたいな話なのかな。貴族の斜陽、そして彼女のもとで農奴として働いていた男の息子ロパーヒンが彼女の屋敷を買い取ってしまう。上の世代であるラネフスカヤとガーネフの兄妹は桜の木が伐り倒されることに心を痛め、なぜそうなってしまうのかも理解できない。でも彼らの息子や娘の世代には新しい世と明るい展望しか見えない。その断絶と対照。

    しかししかし。
    個人的には「桜の園」よりボードビルの「プロポーズ」「熊」が傑作と映った。やっぱりドタバタ劇のチェーホフのほうが好きだ。

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    2013年12月27日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編7編を収録。
    どの作品もロシア革命少し前に執筆されたものだけあって、貧しく虐げられた農民・使用人の描写と働かなくてよい階級への批判、将来は誰もが少しだけ働き、皆で豊かな生活を送れる社会がやってくるという理想願望の主張といった思想がところどころ散りばめられ、当時の風潮がみて取れる。
    自分としては、『中二階のある家』のリーダや『谷間』のアクシーニヤなど、主張の激しい美人が活躍する短編が面白かった。(笑)また、『イオーヌイチ』や『いいなづけ』のように結婚へのあこがれが一転、独り立ちへと心情の変化を描く短編も皮肉に富んでいて物語としては楽しめた。特に『イオーヌ

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    2013年12月27日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    読んだつもりになっていたけど、読んでいなかった、というタイプの本です。

    この手のブンガクについて、ある年齢以降、

    「どれだけ、翻訳が難解にしていて、モトモトの魅力を削いでいるか」

    ということに気づいてしまって。
    気づいたら恐らく意識過敏になってしまって。

    で、その反動で、光文社の古典新訳はイイナア、とかなり盲信してしまっています。ほとんど感覚なんで。別に比較した訳でもないんですけどね。

    という訳で光文社の新訳で衝動買い。

    チェーホフについては、井上ひさしさんが描いたチェーホフの評伝芝居を観たことがあるのと、あとは・・・映画「黒い瞳」が素敵だったなあ、というくらいです。

    「桜の園」

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    2018年01月03日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    チェーホフを読むのは久々なような、初めてなような。

    「家」を中心にした戯曲、そこに描かれた人々のドタバタ劇…何だかロシア文学なのに日本文学と似ている印象を受けるのは気のせいか。喜劇なのに、どうにもこうにも喜劇に思えないのはロシア文学だからか、そういうわけではないのか。不思議な気持ちになる名作。でも、私は「プロポーズ」がお気にいり。

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    2013年02月05日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    閉塞感がすごい。当時の体制とか天候とかに由来するのかなぁ。希望がゆっくりと絶望にかわる。それでも人は生きていくんだ。と。その理由が次の世代のため、死後のためってのが文化のちがいなのかなんなのか。
    ロシアに関する知識が浅いのが悔やまれる。

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    2012年10月22日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    ネタバレ

    「ワーニャ伯父さん」といい「三人姉妹」といい、登場人物すべての背中が重い・・・
    「ワーニャ伯父さん」ではソーニャ、ワーニャにスポットがあたり最後のコメントが強烈に記憶に残るが、ワーニャが憎んだセレブリャコフもソーニャが失恋したアーストロフも否、全ての登場人物が幸福になっていない。
    「三人姉妹」も同じ。希望が絶望に変わってゆく。
    しかも、最後の台詞に強引なる希望のようなコメントではなく、「それでも生きていかなくてはならない。」「私たちの人生、まだ終わりじゃないの、生きていきましょう」と残りの人生片方の翼がもぎとられもう決して飛べないのに「そのまま」生きていこうとするのだ。ロシアだから「バーン!!

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    2012年07月13日
  • かもめ

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    ネタバレ

    『かもめ』/チェーホフ/複雑な恋愛関係の中で、夢と現実が交錯する展開。決して人間関係がドロドロなわけではないんですが、夢も恋愛も何一つ叶えた登場人物がいない(!)よね(?)。後半の「わたしはかもめ」という台詞がうまく解せない。

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    2011年12月15日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    演出家の妻になると夫と共に芝居について語り、材木商と結婚すれば会う人ごとに材木の話ばかり。獣医を恋人に持てば、恋人との別れと共に自分の意見まで失くしてしまう。一人ぼっちになった彼女が見つけた最後の生きがいとは──。

    チェーホフ晩年の短中編集を収めたもので、人間が懸命に生きようとするがゆえに生じる悲劇や日常の中で起こる何気ない感動を描いている。
    本編の中で自分の心に最も残っているのは『谷間』で、一人の女性の運命の変転に初めは同情したが、最後には彼女は心優しき女性として描かれており、強く生き抜こうとする彼女の逞しさを垣間見た気がした。

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    2010年02月21日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    控えめに上品に適度な笑いをうまく絡ませ節度を忘れない人だったチェーホフ。そんな態度と「恋」というのは本来永遠に相容れない、はず。だから登場人物は途方に暮れる。その途方に暮れる感じがチェーホフ的。

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    2009年10月04日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    恋人、旦那によって自分がコロコロとかわる“かわいい女”。自分の周りにもいます。そしてもてます。やっぱりこういう女の人の方が“かわいい”のでしょうか?

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    2009年10月04日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    読書会の課題本として光文社古典新訳文庫版を読みました。

    チェーホフの戯曲は、「行動の不在」の中にこそ人間の本質的な停滞を描き出すという点で、非常に厳密な構造を持っています。特に、この二作のラストシーンにある長台詞は、絶望的な現実に対する、切実な希望の構造を象徴しており、深く考えさせられます。

    本書の内容とは別に、読書会という場においては、私自身が「戯曲の読解」に対する認識を改めて問われる時間となりました。

    参加者間の解釈の方向性に大きな隔たりがあり、特に重要なラストの台詞については、作品の論理構造を無視した感傷的な読みに傾倒している方が目立ちました。

    ラストの「対話」を「独白」と誤認し

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    2025年10月21日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    アガサ・クリスティの小説の中に出てきたので参考のために「三人姉妹」を読んだのだが、後に読んだ「ワーニャ伯父さん」の方がわかりやすくてインパクトのある話だった。
    100年以上前に書かれた小説だが古さを感じない。
    小説のなかで100年後の人々のために頑張る、というようなことが書かれているが、今ロシアは戦争しているし。。
    チェーホフはなんどか読もうとして挫折しているけど、
    年をとって未来が少なくなっていく悲しみのなかで読むと身に染みるのかも。
    身近な恋愛にはまると人間関係がたいそう面倒なことになるけど、押し活などで上手に楽しんでいるのが生活の知恵だなあ。
    戯曲はほとんど読んだことがないのだが、会話の

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    2025年08月07日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ロシアとなるとなんだか重苦しいイメージがあったけどそれとはちょっと違う雰囲気を感じるものが多かった。タイトルにもなっている作品以外にも「中二階のある家」や「イヌオーイチ」は読みやすかった。ただやはり登場人物の名前が覚えにくいのはある。

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    2025年07月15日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    表題作「桜の園」はチェーホフ最後の作品だそう。
    本人はコメディとして書き、一部の人からは悲劇と評された、と巻末の読書ガイドには解説がある。自分にとってはどちらでもなく、歴史ドラマのようだった。

    農奴解放以降も土地に縛られ続ける農民と、徐々に力を付ける商人と、じわじわ没落する貴族地主。貴族が競売で土地を失い、それを商人が買う、桜の木は切り倒されて、別荘地として開発される。貴族が土地を去る最終日までが描かれる。

    悲劇といえば悲劇だが、それまでご先祖様を含めて充分に恩恵に与っただろうから、悲劇性はない。貴族の養女と商人の縁談がうまく行きそうで行かない辺りはコメディっぽくはあった。

    他の二篇はド

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    2025年07月05日
  • 狩場の悲劇

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    ネタバレ

    ロシアの作家チェーホフ(1860-1904)が二十代半ばの駆け出しのころに書いたミステリ小説にして唯一の長編小説。1884年。

    巻末の江戸川乱歩によると、本書は所謂「叙述トリック」のなかの「記述者=犯人」の類型に含まれるという。しかし、他の「叙述トリック」の有名作と比べて、この作品のインパクトはかなり弱くなってしまっているように感じる。それは、解説において佐々木敦が指摘しているとおり、この作品の構成の複雑さに起因するだろう。

    ある編集者のもとに元予審判事が原稿を持ち込み新聞への掲載を依頼するところから物語が始まる。この原稿『狩場の悲劇(予審判事の手記より)』の内容が本書における小説内小

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    2025年06月05日
  • 世界ショートセレクション5 チェーホフ ショートセレクション 大きなかぶ

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    チェーホフの短編集。読みやすいですが、そこはかとなく苦しくて、しんどい…
    「犬を連れた奥さん」が、あんなメロドラマチックだとは知りませんでした。

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    2025年05月06日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    映画「ドライブマイカー」の劇中劇として出てきたワーニャ伯父さんを読みたくて、手に取る。
    2作品ともに閉塞感を感じさせる。ワーニャ伯父さんの方が中年の危機という現実感があったほか、あらすじに抑揚があって面白かったかな。

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    2024年06月20日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    チェーホフは、短い文と長い文の組み合わせが丁度よく、テンポよく読み進められる。偉大な作家は物事ではなく人間を書いているのだな、と改めて感じた。

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    2024年06月11日
  • 狩場の悲劇

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     チェーホフと言えば短篇と戯曲というイメージだが、そんなチェーホフが書いた唯一の長編小説。しかもそれは、殺人事件が発生し、調査があって、遂には犯人が示されるという推理小説的なもの。
     
     自分が書いた経験談を出版して欲しいと新聞社に持ち込んだ男と、新聞社の編集者とのやり取りがあって、編集者は一応その小説を読むこととした。そして、その小説が「狩場の悲劇(予審判事の手記より)」というもの。語り手である予審判事の男が住んでいるところに、領地を持つ伯爵が久し振りに帰ってくる。そんな彼らの前に、狂人の父と暮らす美しい娘が現れるが、彼女は伯爵の執事を務めるかなり年上の男のプロポーズを受け入れた。こうした登

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    2024年05月20日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    ネタバレ

    ものすごい閉塞感が溢れる戯曲。かみ合わない会話、実らない恋、中年の危機。生きていく意味を見いだせない空虚さを抱えた登場人物がたくさん出てくるが、同時に「人生に意味なんてない」という答えと「でも生きていかなくてはいけない」というあきらめが語られている。救いも希望もないけど、あきらめはあるのだ。
    今ちょうど仕事を辞めたばかりで日々もやもやそわそわしてるので、三人姉妹のイリーナの「人間は誰でも、骨身を惜しまず、額に汗して働かなくてはならないって。人が生きている意味も目的も、その人の仕合わせも歓びも、そこにあるの。」という台詞には肩身の狭い思いがした。でも、働いてみたって後のイリーナのようにただただく

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    2024年02月24日