チェーホフのレビュー一覧

  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~

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    「小説は問題を提起しても答えは与えない」というチェーホフのスタンスが相変わらず(他の作品と同じで)示されている。教訓となるわけでも無いし、決して登場人物に共感できるわけでもない。にも関わらず、チェーホフ作品に惹かれるのは、彼の生きた時代におけるチェーホフのスタンスが現代に通じる点にあると思う。革命前夜の時代、教養はあるが社会で実際に役割を持つことはできない貴族、貧しい暮らしに喘ぐ下層階級、誰もが今の社会に不満を持っているのに、どうにもならないという諦観を持ってしまっている(直接的な批判を加えることをことごとく避けているチェーホフ作品において「しまっている」という表現はそぐわないかもしれない)。

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    2024年02月22日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    2篇とも生きることの辛さ、閉塞感を感じながらもわずかな望みを繋いでいくような展開。時代背景も含めた土台となる状況がよくわからないので曖昧に読み進めてしまう。タイトルがワーニャ伯父さんとなっているがワーニャが主人公ではない。
    三人姉妹については更によく状況がつかめず。
    2作品とも演劇をみている気分にはなった。

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    2022年12月03日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    今まで読んだチェーホフの中では一番ハマらなかったかもしれない。

    「桜の園」は喜劇ということだけど、普通に読むとやっぱりどうも悲劇の色が濃いようにも思う。
    見方によってはたしかに滑稽かもしれない。

    「プロポーズ」は一番わかりやすくコメディで笑えた。
    プロポーズしにきたのにひょんなことから話が逸れていく。

    「熊」もプロポーズに似たようなところがある話。
    女は〜!とか男は〜!とかのあたりは読むに耐えない罵詈雑言だったのでまぁこれはでも笑いどころなんだろうなとは思いつつ、あまり楽しめなかったかなあ。

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    2022年08月16日
  • 狩場の悲劇

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    ネタバレ

    かなりの人が知ってるであろう某作家の超有名トリックが出版される何十年も前にこれを20代半ばで書いていたっていうのは本当にすごいなと思うんだけど、変に注釈などをいれたせいで最後の謎解きが全く驚きがなくなってしまっていて、ミステリ的にはとてももったいないなと…。
    もし注釈を入れずに、最後の謎解きで本当に一気に謎を解いていればもっと評価された作品なんじゃないかなと思った。

    事件が起きるまでも200ページ以上あるし、登場人物がどれもこれもいやな人ばかりなのでその点でも結構きつかったかもしれない。

    このトリックをおそらくはじめて使ったということに関しては本当にすごいけど、そこまで楽しめなかったかもし

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    2022年08月16日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    ネタバレ

    『桜の園』
    日常の中のありふれた悲劇、って感じの書き方がかなり好き。
    何かの本で読んだ、「『桜の園』で桜の木を切り倒す斧の音を忘れられる人は居ないだろう」って言葉を思い出しながら読んだ。戯曲としても見てみたい。
    解説を読んで「その通りだな」って思ったけど、チェーホフは日常を切り取ってる。どれだけ重たい話し中でも、誰か階段を踏み外したり、テーブルクロスのソースのしみを眺めたり。そこがチェーホフの魅力。

    『プロポーズ』は特に何も思わなかったです。魅力的な喜劇だと思う。
    寂寥感?とか、桜の園目当てに読んだので。

    『熊』
    こっちもかなり好き。これも相当な喜劇だけど。
    女性が魅力的だから刺さったんだ

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    2022年07月26日
  • 狩場の悲劇

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    ネタバレ

    如何にものロシア文学で、恐ろしくキャラの濃い登場人物たちが、日本だったとりあえず何かの施設に閉じ込められそうな大騒ぎを、当たり前の顔をして次々と引き起こす。肝心の殺人事件は物語の三分の二を過ぎるまで起こらない。この手のお話に慣れてない人には、少しキツいかも知れない。うんざりしながら、魅せられる感じで、迂生は結構好きです。
    ミステリとしては、題名を告げられて、アレね、と答えられなければ、モグリと誹られても致し方ないと言う、超有名トリックを遡ること40年前に採用していた、という点で評価されているようだ。とはいえ、ミステリとして書かれたわけではなく、おおよそその半世紀後、読者が椅子から転げ落ちた、驚

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    2022年06月27日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    戯曲。

    ワーニャ伯父さんがドライブマイカーにでてきたので読んでみました。
    ワーニャ伯父さんじたいはなにがおきるわけでもなく、伯父さんが主人公なのか?な。
    働かないといけない。
    200.300年後の人たちにむけて。
    強くあらねば。
    宣言するけど、それが果たされるとも思えない。

    首吊りの表現ってどういう意味だったのだろう。

    3人姉妹。
    恵まれた境遇。
    なぜモスクワへ、中心へ彼女たちは行きたかったのか。周辺にいる人たちの首都 中心への憧れ?

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    2022年04月30日
  • 世界ショートセレクション5 チェーホフ ショートセレクション 大きなかぶ

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    別のチェーホフ短編集で挫折したので児童書でリトライ。
    優しい語り口のおかげで最後まで読めた。
    訳者あとがきを読んでほう...となるところもあり、面白かった。全てのお話に、ロシアの凍てつく寒さが共通して流れていると思うと、なんだか不思議だ。

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    2022年04月19日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    ドライブマイカーを見て、初めて読もうと手にした。

    なんとも人間臭く、いかんともしがたい鬱々とした思いを募らせるワーニャとそれでも生きていかなければと話すソーニャの強さが印象的であった。

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    2022年02月08日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    ネタバレ

    ロシア文学というと長編というイメージしか無いですが、「プロポーズ」と「熊」は単純に短編喜劇として傑作!「桜の園」は正直物語としては退屈な感じですが、特別大きな特徴の無い登場人物をどう演じるかで演者や演出家のスキルが問われる感じで、舞台作品として観てみたいと思える作品でした☆

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    2021年03月20日
  • 小説で読む名作戯曲 桜の園

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    ずっと読みたかったのだが、どうしても戯曲が苦手でずっと途中で投げ出してしまっていた。この本は小説になっているので最後まで読めるかも…と思い、手に取った。戯曲の名作と言われるこの作品、今更ながらだが、あらすじがわかって良かった。これをどんな風に演じるのか、お芝居で見てみたい。

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    2020年12月16日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    2019年7月26日(金)にMARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店で購入。7月27日(土)に読み始め、8月2日(金)に読み終える。チェーホフを読むのは『桜の園』以来、20年ぶり。寂寥感ただようせつない話ばかり。解説も読み応えがあってよい。

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    2019年08月02日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ネタバレ

    「犬を連れた奥さん」
    最後までおじさまの魅力がピンと来ないままふわふわ読み進んで終了。

    しかしいる、いるよこういう男。「新しい、素晴らしい生活」どころか「いちばん複雑な困難な途」すら歩み切らずにサッと安全圏に帰ってまた退屈を持て余す。そういう人も始めはこういう勢いで盛り上がってるのね〜と垣間見た気分。どんどん腹が立ってきた。
    むしろ全くマイナスの感情抜きに中年の理想をきれいにまとめるチェーホフ。ご尊顔を拝するところシブいインテリで、自分の売りも分かって捨てることにも無自覚な主人公像に重なり納得してしまって悔しい。

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    2019年05月30日
  • 世界ショートセレクション5 チェーホフ ショートセレクション 大きなかぶ

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    はじめて読んだチェーホフ。こういう短編もあるのか、と今更ながらびっくり。心理描写が秀逸で勉強になる。
    「犬を連れた奥さん」は不倫の話・・・。ああ、不倫する人ってこうなのね。でも、チェーホフの視線はどこか醒めている。二人は結ばれたところで幸せになれるのかしら。
    いつか四大戯曲も読んでみようと思いました。

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    2019年04月04日
  • かもめ

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    喜劇だと思っていたが悲劇だった。
    なんか自分のことで精一杯な感じ
    かもめ?ニーナになにか起こるかと思っていた。

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    2018年07月31日
  • かもめ

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    誰もが現状に満足せず、不満を持って生きている群像劇。
    自由に空を飛べるかもめを夢見ながら、あるいはそうであるはずなのに、撃ち落されて地面に落ちてしまうかもめ。理想と現実のギャップを埋められない。
    2年後、そんなかもめたちは飛ぶことができるようになったのか? 飛ぶことができたのは誰なのか? それを決めるのは周囲の評価でもないし、客観的な現状でもない。ただ自分が自分を生き方を評価するのみなのだ。不幸せに見える人間が幸せであり、幸せに見える人間が不幸せであるのだ。

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    2017年11月17日
  • 世界ショートセレクション5 チェーホフ ショートセレクション 大きなかぶ

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    チェーホフ・ショ-トコレクション~親の遺産で食っていける可愛いお嬢さんが興行師に一目惚れして結婚し、それが死んだ後は木材商、風邪で商人が死んだら妻と不仲で男児が一人いる軍所属の獣医と恋仲になり、獣医が定役した後は屋敷を獣医に譲って、男児と離れに暮らす。乞食の子はひもじさにオイスターを食べさせろとねだり、面白がった金持ちはカエルが貝殻にサンドイッチされている姿をしていると思い込んだ男児は目を瞑って飲み込んだ。クリスマス休暇で友達を連れて帰って来たお兄ちゃんは、ピストルと4ルーブルを持ってアメリカ探検に出る積もりだった。砲兵隊の将校は駐屯した地の退役将軍から招待されて、女性に暗闇でキスされ、その町

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    2017年09月28日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    新国立劇場での舞台を観ての記録。
    演出はケラリーノ・サンドロヴィッチ

    ロシアの閉塞的な片田舎、これといった事件が起こるわけでもなく、終始どんよりとした気配が漂う。結局幸せになった人は誰もいないのか。
    段田安則の渋い演技、黒木華の輝きがよかった。宮沢りえは、チェーホフのようなオーソドックスな芝居より個性的な役のほうが合う。

    まったくの余談だが、先月舞台で観た池田成志を発見。新宿駅のホームで見かけ、もしやと思ったら、やはり同じ劇場へ。長期にわたる鳥ドクロが終わって一息、芝居巡りかな。
    がんてつさい最高でした、と伝えたかったけれど、心の中でつぶやいただけで我慢した~。

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    2017年09月19日
  • 世界ショートセレクション5 チェーホフ ショートセレクション 大きなかぶ

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    ネタバレ

    チェーホフ短編集。サモワール、ペチカ・・・、ロシアの匂い。少年たちがアメリカ行きを企てる「少年たち」、ヤルタを舞台に不倫劇を描いた「犬を連れた奥さん」など。ヨシタケシンスケさんのユーモラスな絵がいい。

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    2017年04月20日
  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    チェーホフは、かわいい女に続き2作目なのだけれど、戯曲だったのでおっと思った。

    桜の庭は名作とされてるらしいのだけれど、そうなの?という感じ。劇用だからか、所々、キャラクターのセリフが無視をされ、次の人が関係ない話をいきなりする個所が見られ、そこがよく分からなかった。

    プロポーズは面白かった。
    隣り合う2家が土地を巡っていがみ合うのだが、実は娘に求婚しにきたとしると、娘は彼を呼び戻す。呼び戻したところで、やっぱり言い争いになる。それでも、最後にはなぜか婚約することになる。なぜなぜでいっぱいだが、人間ってそんなもんかも?と思わせる奇妙な説得力あり(笑)

    熊もプロポーズと似たバタバタ劇。

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    2016年05月29日