浦雅春のレビュー一覧

  • 桜の園/プロポーズ/熊

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    オブローモフ。32歳。仕事もやめて、怠惰な引きこもり生活を送る。理想主義者。夢想家。意志薄弱。オブローモフを心配した親友シュトルツがオブローモフを家から連れ出し、美しい娘オリガを紹介。オブローモフはオリガへの恋が芽生えるが、煩わしく感じるようになり、元の生活に戻る。その後、オブローモフは心臓病で息を引き取る。イワン・アレクサンドロヴィチ・ゴンチャロフ 『オブローモフの夢』1849

    下層民が住むスラム。マクシム・ゴーリキーGorky『どん底』1902
    ●コストゥイリョフ。安ホテルの主人。妻ワシリーサ
    ●クレーシチ。錠前屋。40歳。スラムから脱出したい。妻アンナ。
    ●クワニシャ。女。肉まんじゅう

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    2025年04月20日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    チェーホフの「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」。中年の悲哀が凄い。訳者曰く中年文学と。。学生の頃読んだ時は特段心が動くこともなかったんだけども、この年になると現実に押し潰されていく中年の葛藤がよく分かるようになったなと。

    訳者あとがきに「ぼくは少し前までは完全にワーニャに肩入れをしていた」から「ぼくは知らず知らずのうちにワーニャから嫌味な老人セレブリャコフに変わってしまったらしい」と変化した様子が書いてあって、今正にワーニャに肩入れしている自分もさらに歳を重ねるとそうなるんだろうなと何だか笑ってしまった。

    最後にやはり印象的なラストの科白

    ソーニャ「ワーニャ伯父さん、生きていきましょう。長

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    2024年10月18日
  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~

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    ひたすら暗いイメージで、救いなく、どこかおかしい作品群だが、妙に味があり最後の1編まで楽しく読めた。ヴェローチカの残念なラスト、退屈な話や6号室のような虚しい人生の幕切れ。カシタンカのような動物物も展開に意外性があっておもしろい。6号室での、狂人の定義とは健常者の常識から病気に仕立てられたのでは、というのも時代背景を考えれば大いにありえると思う。
    訳者の手腕かもしれないが読みやすい文体でした。

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    2023年09月23日
  • かもめ

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    研ナオコさんの唄う「かもめはかもめ」(中島みゆきさん作詞作曲)は、このチェーホフの戯曲が何処かにあって生まれたのだろうか。
    唄を知っていたせいか、読んだ感想に歌のイメージが被る。ドールンが感じるトレープレフの作品の印象と、かもめと、ニーナの背景に、日本海のようなブルーグレーの印象が残る。ウルフの「波」に似た、ひんやりした、透明な、美しき侘しさ。

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    2023年09月09日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    読書会のテーマ本として精読。
    ワーニャ伯父さん、三人姉妹共に、不仕合わせで、思い通りにいかないロシアでの群像劇が描かれます。

    暗いストーリーテリングの中では歌や、楽団の演奏も焼け石に水。ニコニコして読める一冊ではありません。

    ただ、それが良いところなのかもしれません。
    西瓜に振りかける塩のよう。しょっぱさが甘さを引き立てるように、読後に見返す自分の生活は幾分甘く感じられます。

    自分の暗い部分を代弁してくれる。そして、本を閉じた後の生活が少し明るくなる。そんな作品でした。

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    2023年08月17日
  • かもめ

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    戯曲である。津村の読み直し世界文学の1冊。こうした脚本を読むよりも演劇を見た方がいいが、古いので上演されなくなったのかもしれない。野田秀樹の早口ですすんでいく現代劇よりもこうした古典劇を何回も上演した方がいいのではないか。

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    2023年08月02日
  • 鼻/外套/査察官

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     光文社古典新訳文庫のこちらには、浦雅春さんによって落語調で翻訳されたゴーゴリの三作品が収録されている。ゴーゴリはおろかロシア文学のロの字も知らない私だが、落語調、というのが気になって手に取った。
     『鼻』がいきなりすごく面白い。ある朝床屋が焼きたてのパンを食べようと半分に切ったら、そこになんとお得意さんのお役人の鼻が入っている(のっけから、不気味とか不穏とかを通り越し、あらゆるルールを無視した世界であることが提示され、むしろ安心して読んでいける)。おかみさんに捨ててこいとどなられて捨てに行く。当のお役人の方も、起きたら鼻がないことに気づいてたまげている。町に出ると、馬車から自分より身分の高い

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    2023年02月04日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    コミュニケーションが取れないメンバーが集まり語るのは、本当のコミュニケーションを欲しているに他ならない。
    今にも通じるテーマを色褪せない。

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    2022年08月11日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    映画「ドライブマイカー」きっかけで読みました。
    若い頃はあまり分からなかったけど、歳を重ねてテェーホフの良さが少し分かるようになってきた気がする。
    ワーニャ伯父さんに出てくる登場人物たちは、基本的にみんな人生に絶望を抱いている。
    ロシアの厳寒な気候や土地、時代、ジェンダーなど、その原因には様々なものが絡んでいると思うけど、誰もが自分の人生に非本来性を感じていて、それをどうすることもできずに、ただただ生きている。
    最後のソーニャの言葉は、それでも生きていかなくてはいけないと、力強く、そして優しく、全ての者の背を押すように届けられている。

    三人姉妹。登場人物たちがそれぞれてんでバラバラな印象。共

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    2022年05月01日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    ドライブ・マイ・カーの予習として「ワーニャ伯父さん」だけ読んだ。
    一回目は登場人物の関係性やそれぞれのキャラクター造形などがなかなかつかめず、自分で関係図を書いたりしながら読んでいたので、ほとんど内容が頭に入らなかった。何も起こらない話だなという印象しかなかった。二回読んで何とか分かってきた。
    何というか、侘しい話だなと思った。登場人物それぞれに侘しさを抱えている。個人的にはワーニャ伯父さんよりもソーニャの侘しさが身にしみた。まだ若いのに、あの狭い環境でずっと生きていかなければならないというのはどんなに侘しいことだろう。

    また、アーストロフの造形も印象に残った。話の本筋とはあまり関係ないが、

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    2022年04月16日
  • かもめ

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    ネタバレ

    私はかもめ
    トレープレフが撃ち落としたかもめ、トレープレフ自身は、「やがてぼくもこんなふうに自分を撃ち殺すんだ」と言い、ニーナは「このかもめだってそう、何か意味がありそうだけれど、ごめんなさい、私には分からない……。私、単純すぎて、あなたのことが理解できない」と言う。トリゴーリンが着想を得た、「ある湖の岸に、あなたのような若い娘が子供のころから暮らしている。かもめのように湖が好きで、仕合わせで、かもめのように自由だった。ところが、そこにたまたま男がやってきて、彼女を見そめ、退屈まぎれにその娘を破滅させる。このかもめのように」という話はそのままニーナの現実となり、トリゴーリンはこのかもめを剥製に

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    2022年03月28日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    「ワーニャ叔父さん」
    まだ途中だけど、男の人たちが、やたらグチっぽいのね(笑)
    読んでいて、ギクリと自分のなかにも思いあたるような愚痴。

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    2022年02月21日
  • かもめ

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    劇としての評価の変遷があったよう。
    舞台上での出来事ではなく物語を紡ぐという行為への賛否と理解。
    単純に読んで楽しい、面白いという価値ではない作品だった。

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    2021年09月11日
  • かもめ

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    チェーホフ四大戯曲。
    女優の母を持つ戯曲家を目指す息子と、かもめのように自由になりたい女優志望の彼女。伯父、作家、管理人の一家、医師、教師などと過ごすひと夏の別荘地生活は
    劇的なことも起こらなく誰が主人公など分かりづらい日常劇。1896年(明治29年)初演では喜劇と勘違いされ大コケに失意のチェーホフは講演後ペテルブルクの深夜を彷徨い肺炎に。2年後モスクワ芸術座創設演目で新しい演出により大成功となり名声を獲得。この作品から内面を重視する演技と演出家を必要とする新しい演劇の時代になったらしい。

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    2021年03月24日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    人間は如何にして自らを欺くか。時代は旧いのに描かれている人間模様は現代と変わらない。人々の気持ちは一方通行で、登場人物たちはやがててんでに散らばっていく。両作品とも「エンド」が存在しない、悲惨ながらも「to be continued 」なのである。

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    2020年08月22日
  • 鼻/外套/査察官

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    一年位前に読んだ「死せる魂」は
    つかみどころなく不完全燃焼のままだった。
    その後、自分が興味を持った作家がファボっていたり、他者を説明する喩えに使用されていたり、何だかんだと名前は目にしていた。


    今回のタイトルも全部漢字だよ。孤高の、寄せ付けない、雪降ってる感じ、出てるう。


    これがアータ、とっても愉快で楽しかった。

    訳がいい。床屋さんがパン食べようとしたら鼻が出てきて驚くんですが「鼻ッ!やっぱり鼻ッ。どうしたって鼻ッ!」「査察官」の市長の奥さん「あたしはあとじゃいやなんですゥ」小文字に悶えた。

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    2018年07月13日
  • かもめ

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    四幕の戯曲で、さほど厚くない本だが、少しずつ読み進める。一人一人の台詞は短いし、次々登場するので、最初は「えっと、コイツ誰だっけ?」登場人物のページを何度も見直す。

    様々の恋が織りなす人生模様とカバーの裏にあるが、誰もが自分勝手だと思う。
    一番違和感を感じたのは、アルカージナかな。息子を愛しているというけれど、無理解だし、女優なので衣装にお金がかかると、息子にはろくに服を買い与えない。
    登場人物の誰にも感情移入が出来ないけれど、不思議な感触がある。
    そして終幕。正直、息を飲んだ。

    生の舞台を観たくなった。

    「私はカモメ」って女性宇宙飛行士、テレシコワの科白と思っていたけど、元ネタがあった

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    2017年10月07日
  • 鼻/外套/査察官

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    「なんだよう、これ・・・・面白いじゃんかよう・・・。」と呟きながら読んだ『鼻』。なんかこういう夢見たことある気がしてくる支離滅裂っぷり。『外套』は、あぁきっとこの後酷い目に遭うんだろうなぁって思ってたらほんとにその通りになってしまい「あぁぁぁ( ;∀;)」と声が出た(笑)そこから先のもうひと押しが良いね。『査察官』は、前2作の方が好きだな、と思ってたけど、終盤にかけてシニカルな笑いが止まらなかった。解説でゴーゴリめっちゃ悪口書かれてて笑ってしまったが、おバカな天才だったんだろうか。他の作品も読みたい。

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    2016年08月21日
  • 鼻/外套/査察官

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    「鼻」「外套」と戯曲「査察官」の三編入り。
    ゴーゴリ初めて読んだんだけど、声に出して笑ってしまう。ザ・ロシアのユーモアという感じ。
    「鼻」は飛びきり明るいダリといった感じの映像が思い浮かぶ。ロシアの文学って極端だよなぁ。

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    2015年03月15日
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹

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    中年の文学、そして、中心のない展開、登場人物のコミュニケーション、独り言。チェーホフの戯曲にいつも漂う空気感。

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    2015年01月26日