浦雅春のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
オブローモフ。32歳。仕事もやめて、怠惰な引きこもり生活を送る。理想主義者。夢想家。意志薄弱。オブローモフを心配した親友シュトルツがオブローモフを家から連れ出し、美しい娘オリガを紹介。オブローモフはオリガへの恋が芽生えるが、煩わしく感じるようになり、元の生活に戻る。その後、オブローモフは心臓病で息を引き取る。イワン・アレクサンドロヴィチ・ゴンチャロフ 『オブローモフの夢』1849
下層民が住むスラム。マクシム・ゴーリキーGorky『どん底』1902
●コストゥイリョフ。安ホテルの主人。妻ワシリーサ
●クレーシチ。錠前屋。40歳。スラムから脱出したい。妻アンナ。
●クワニシャ。女。肉まんじゅう -
Posted by ブクログ
チェーホフの「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」。中年の悲哀が凄い。訳者曰く中年文学と。。学生の頃読んだ時は特段心が動くこともなかったんだけども、この年になると現実に押し潰されていく中年の葛藤がよく分かるようになったなと。
訳者あとがきに「ぼくは少し前までは完全にワーニャに肩入れをしていた」から「ぼくは知らず知らずのうちにワーニャから嫌味な老人セレブリャコフに変わってしまったらしい」と変化した様子が書いてあって、今正にワーニャに肩入れしている自分もさらに歳を重ねるとそうなるんだろうなと何だか笑ってしまった。
最後にやはり印象的なラストの科白
ソーニャ「ワーニャ伯父さん、生きていきましょう。長 -
Posted by ブクログ
光文社古典新訳文庫のこちらには、浦雅春さんによって落語調で翻訳されたゴーゴリの三作品が収録されている。ゴーゴリはおろかロシア文学のロの字も知らない私だが、落語調、というのが気になって手に取った。
『鼻』がいきなりすごく面白い。ある朝床屋が焼きたてのパンを食べようと半分に切ったら、そこになんとお得意さんのお役人の鼻が入っている(のっけから、不気味とか不穏とかを通り越し、あらゆるルールを無視した世界であることが提示され、むしろ安心して読んでいける)。おかみさんに捨ててこいとどなられて捨てに行く。当のお役人の方も、起きたら鼻がないことに気づいてたまげている。町に出ると、馬車から自分より身分の高い -
Posted by ブクログ
映画「ドライブマイカー」きっかけで読みました。
若い頃はあまり分からなかったけど、歳を重ねてテェーホフの良さが少し分かるようになってきた気がする。
ワーニャ伯父さんに出てくる登場人物たちは、基本的にみんな人生に絶望を抱いている。
ロシアの厳寒な気候や土地、時代、ジェンダーなど、その原因には様々なものが絡んでいると思うけど、誰もが自分の人生に非本来性を感じていて、それをどうすることもできずに、ただただ生きている。
最後のソーニャの言葉は、それでも生きていかなくてはいけないと、力強く、そして優しく、全ての者の背を押すように届けられている。
三人姉妹。登場人物たちがそれぞれてんでバラバラな印象。共 -
Posted by ブクログ
ドライブ・マイ・カーの予習として「ワーニャ伯父さん」だけ読んだ。
一回目は登場人物の関係性やそれぞれのキャラクター造形などがなかなかつかめず、自分で関係図を書いたりしながら読んでいたので、ほとんど内容が頭に入らなかった。何も起こらない話だなという印象しかなかった。二回読んで何とか分かってきた。
何というか、侘しい話だなと思った。登場人物それぞれに侘しさを抱えている。個人的にはワーニャ伯父さんよりもソーニャの侘しさが身にしみた。まだ若いのに、あの狭い環境でずっと生きていかなければならないというのはどんなに侘しいことだろう。
また、アーストロフの造形も印象に残った。話の本筋とはあまり関係ないが、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私はかもめ
トレープレフが撃ち落としたかもめ、トレープレフ自身は、「やがてぼくもこんなふうに自分を撃ち殺すんだ」と言い、ニーナは「このかもめだってそう、何か意味がありそうだけれど、ごめんなさい、私には分からない……。私、単純すぎて、あなたのことが理解できない」と言う。トリゴーリンが着想を得た、「ある湖の岸に、あなたのような若い娘が子供のころから暮らしている。かもめのように湖が好きで、仕合わせで、かもめのように自由だった。ところが、そこにたまたま男がやってきて、彼女を見そめ、退屈まぎれにその娘を破滅させる。このかもめのように」という話はそのままニーナの現実となり、トリゴーリンはこのかもめを剥製に -
Posted by ブクログ
四幕の戯曲で、さほど厚くない本だが、少しずつ読み進める。一人一人の台詞は短いし、次々登場するので、最初は「えっと、コイツ誰だっけ?」登場人物のページを何度も見直す。
様々の恋が織りなす人生模様とカバーの裏にあるが、誰もが自分勝手だと思う。
一番違和感を感じたのは、アルカージナかな。息子を愛しているというけれど、無理解だし、女優なので衣装にお金がかかると、息子にはろくに服を買い与えない。
登場人物の誰にも感情移入が出来ないけれど、不思議な感触がある。
そして終幕。正直、息を飲んだ。
生の舞台を観たくなった。
「私はカモメ」って女性宇宙飛行士、テレシコワの科白と思っていたけど、元ネタがあった