浦雅春のレビュー一覧

  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~
    ロシア文学の巨匠チェーホフの短編集。表題作「ヴェーロチカ」は世話になった場所を去る時に少女から「好きなんです、あなたが!」と告白される話。ところがこの主人公の青年は煩悶し告白を袖にします。この展開が読めば読むほど奇妙で、しかし分かるようで、読み返すたびに色々な読み方ができそうです。
  • 鼻/外套/査察官
    楽語調で訳されたゴーゴリの代表作3作品。
    意見・好みは分かれるだろうけれど、ゴーゴリの入り口としてはとても面白い選択肢になると思う。
    とはいえ、この本の中で最も興味深いのは巻末の解説かもしれない。
    ゴーゴリに対する容赦のなさがあまりにも痛快。
    どの物語も「滅茶苦茶」な展開が面白い一方、どこか平面的な...続きを読む
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    4幕の劇である。ワーニャが仕えてきた教授をピストルで撃つ場面がクライマックスである。しかしけがはしない、ということであとはそのまま進行する。
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    ワーニャ伯父さ/20221021

    老いの苦しみ
    時代の変遷、諸行無常による空虚感
    それでも、なお。
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    私もワーニャとほぼ同じ四十六歳になった。この戯曲は、死ぬことが出来ず、それでも生きていかなくてはならない、中年の嘆きを取り上げた戯曲であり、中心人物のいない複数視点の同時立脚的なポリフォニー的な物語である。
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    チェーホフは36歳で「ワーニャ伯父さん」を書き、40歳で「三人姉妹」を書き、そして44歳で亡くなった。何という老成だろう。「ワーニャ伯父さん」では自分の人生が絶望だったと知る。「三人姉妹」では夢が次々と押しつぶされていく。人生とはそもそも絶望なのだ、その冷徹な現実を淡々と描きだす。それでも人生を生き...続きを読む
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    解説と訳者あとがきが素晴らしい。チェーホフ初心者に、その味わい方を丁寧に教えてくれる。再読したときの味わいが全く変わった。
    チェーホフ、良い。
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    チェーホフの登場人物は、私が口にするのを躊躇い胸に閉じ込めている本音を、どうしてこうすんなりと口にしてしまうのか。現実に翻弄されて、自分がしがみついてきた美しい幻想を壊されても、生きていかねばならない人々の姿。終わりが来ることを救いにすれば、目の前の幸せを味わえるようになるのだろうか。
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    ペシミスティックな美学?

    何かありそうで、結局何もなく、
    誰も幸せにならない。
    庶民の暮らしと悩み。
    中年ワーニャの文学には、死も許されず、
    未来は暗くそのまま続く。

    チェーホフなりのユーモアは、
    その『間』において、俳優により表現されそう。

    エレーナにはなかなか惹かれない。
  • 桜の園/プロポーズ/熊
    はじめてのアントン.チェーホフ
    キンドル アンリミテッドで
    戯曲はじめて読みましたが140年以上も前の
    ボードビル一幕物「プロポーズ/熊」には抱腹絶倒。
    チェーホフ最期の作品4幕物「桜の園」は喜劇の中に哀愁漂う深いお話でした。桜はサクランボのことのようです。いろんな戯曲読んでみたいかも

  • 鼻/外套/査察官
    昔、岩波文庫で読んだのですが、あの時は「ダメだ、こりゃ」と思ったのです。だが、今回、新訳で読むと「まったく違う」。不思議だなぁと思った。生き生きしている。テンポがいい。査察官は、とくに笑えた。古典文学で、ここまで笑えたのは初めてだと思う。というのも落語風に翻訳していて、リズムがよく少し軽い感じで話し...続きを読む
  • かもめ
    久しぶりの再読。チェーホフの四大戯曲の中では最も完成度が低く、あちこちデコボコしたような印象を覚える作品だが、四作品の中で唯一「青春もの」と呼べる内容であり、チェーホフらしからぬ若々しさに溢れている。後の作品、とりわけ『三人姉妹』の萌芽が随所に見える点も興味深い。この作品でうまく表現しきれなかったモ...続きを読む
  • 鼻/外套/査察官
    新訳版ではべらんめえ口調となっているようです。
    これ岩波版と対比で読んでみたいなぁ。
    どう違う印象を受けるのでしょうね。

    3つの作品どれもが好きです。
    2つはまあありえないよ的な
    非日常物語。
    何せ最初の作品は鼻ディサピアードですので。
    しかも移動しよるから恐ろしい。

    でも、一番の傑作は
    滑稽さ...続きを読む
  • 鼻/外套/査察官
    2月にバーゲンで、定価の1/3で外套を購入。
    ロシアで着ても大丈夫な位暖かいですが、でーじ重い。
    1.5kgもあります。

    この外套に身に包んだ瞬間、何故か、ゴーゴリの『外套』を読みたくなりました。

    この作品は、悲喜劇なんですが、プロレタリア兼人望の無い、しがない安サラリーマンには、身につまされて...続きを読む
  • 鼻/外套/査察官
    ロシアが産んだ新感覚な笑いのエンターテイナー作家、ニコライ・ワシーリエヴィッチ・ゴーゴリの代表作3本を落語調で翻訳。

    やっぱり「鼻」は何度読んでも訳が分からない。でも、クセになるおもしろさ。巻末解説の「4次元的創造力」という言葉に納得。「鼻」のあまりのシュールさに慣れてしまうと、続く「外套」、「査...続きを読む
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    初チェーホフ!
    慣れると思ったよりすらすら読めて驚きでした。
    ワーニャ伯父さんの方だと、最後のところが言いたかったんだなと気づき、何だか納得です。

    三人姉妹:
    登場人物が多くて混乱しましたが、少しだけチェーホフがわかってきたような感じがします。
    辛いながらも生きていこうと思うようになっていく登場人...続きを読む
  • ワーニャ伯父さん/三人姉妹
    20歳の頃、「桜の園」を読んだときには知的にとりすましたような印象しか受けなかったチェーホフだけど、年を取ったせいか、この本読んだら泣けてしょうがない。一字一句、ずきんとくる。
    生きることの悲しさ、分かり合うことはない、夢は崩れさるとう痛々しい現実。その中でも、何かに希望を見つけて生きていこうとする...続きを読む
  • 鼻/外套/査察官
    あわれなアカーキイ・アカーキエヴィチわたしたちは、外套で判断し、外套に理想を求め、外套を失い落胆する。くるむはずの自身はいずこに。
  • 鼻/外套/査察官
    言わずとしれたゴーゴリの代表作たちだが、翻訳が独特でありある意味では成功とも言える。落語云々はともかく、何度も訳されたものをあえてこうして提出する気概を買う。
  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~
    ひたすら暗いイメージで、救いなく、どこかおかしい作品群だが、妙に味があり最後の1編まで楽しく読めた。ヴェローチカの残念なラスト、退屈な話や6号室のような虚しい人生の幕切れ。カシタンカのような動物物も展開に意外性があっておもしろい。6号室での、狂人の定義とは健常者の常識から病気に仕立てられたのでは、と...続きを読む