浦雅春のレビュー一覧
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ロシア文学の巨匠チェーホフの短編集。表題作「ヴェーロチカ」は世話になった場所を去る時に少女から「好きなんです、あなたが!」と告白される話。ところがこの主人公の青年は煩悶し告白を袖にします。この展開が読めば読むほど奇妙で、しかし分かるようで、読み返すたびに色々な読み方ができそうです。Posted by ブクログ
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4幕の劇である。ワーニャが仕えてきた教授をピストルで撃つ場面がクライマックスである。しかしけがはしない、ということであとはそのまま進行する。Posted by ブクログ
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私もワーニャとほぼ同じ四十六歳になった。この戯曲は、死ぬことが出来ず、それでも生きていかなくてはならない、中年の嘆きを取り上げた戯曲であり、中心人物のいない複数視点の同時立脚的なポリフォニー的な物語である。Posted by ブクログ
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チェーホフは36歳で「ワーニャ伯父さん」を書き、40歳で「三人姉妹」を書き、そして44歳で亡くなった。何という老成だろう。「ワーニャ伯父さん」では自分の人生が絶望だったと知る。「三人姉妹」では夢が次々と押しつぶされていく。人生とはそもそも絶望なのだ、その冷徹な現実を淡々と描きだす。それでも人生を生き...続きを読むPosted by ブクログ
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解説と訳者あとがきが素晴らしい。チェーホフ初心者に、その味わい方を丁寧に教えてくれる。再読したときの味わいが全く変わった。
チェーホフ、良い。Posted by ブクログ -
チェーホフの登場人物は、私が口にするのを躊躇い胸に閉じ込めている本音を、どうしてこうすんなりと口にしてしまうのか。現実に翻弄されて、自分がしがみついてきた美しい幻想を壊されても、生きていかねばならない人々の姿。終わりが来ることを救いにすれば、目の前の幸せを味わえるようになるのだろうか。Posted by ブクログ
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ペシミスティックな美学?
何かありそうで、結局何もなく、
誰も幸せにならない。
庶民の暮らしと悩み。
中年ワーニャの文学には、死も許されず、
未来は暗くそのまま続く。
チェーホフなりのユーモアは、
その『間』において、俳優により表現されそう。
エレーナにはなかなか惹かれない。Posted by ブクログ -
はじめてのアントン.チェーホフ
キンドル アンリミテッドで
戯曲はじめて読みましたが140年以上も前の
ボードビル一幕物「プロポーズ/熊」には抱腹絶倒。
チェーホフ最期の作品4幕物「桜の園」は喜劇の中に哀愁漂う深いお話でした。桜はサクランボのことのようです。いろんな戯曲読んでみたいかも
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初チェーホフ!
慣れると思ったよりすらすら読めて驚きでした。
ワーニャ伯父さんの方だと、最後のところが言いたかったんだなと気づき、何だか納得です。
三人姉妹:
登場人物が多くて混乱しましたが、少しだけチェーホフがわかってきたような感じがします。
辛いながらも生きていこうと思うようになっていく登場人...続きを読むPosted by ブクログ -
20歳の頃、「桜の園」を読んだときには知的にとりすましたような印象しか受けなかったチェーホフだけど、年を取ったせいか、この本読んだら泣けてしょうがない。一字一句、ずきんとくる。
生きることの悲しさ、分かり合うことはない、夢は崩れさるとう痛々しい現実。その中でも、何かに希望を見つけて生きていこうとする...続きを読むPosted by ブクログ -
ひたすら暗いイメージで、救いなく、どこかおかしい作品群だが、妙に味があり最後の1編まで楽しく読めた。ヴェローチカの残念なラスト、退屈な話や6号室のような虚しい人生の幕切れ。カシタンカのような動物物も展開に意外性があっておもしろい。6号室での、狂人の定義とは健常者の常識から病気に仕立てられたのでは、と...続きを読むPosted by ブクログ