大瀧啓裕のレビュー一覧
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ラヴクラフトの代表である「クトゥルフ神話体系」が恐らく全集の3巻に集約されていると思われます。
ただ、ラヴクラフトにはパターンがあります。不気味さを出すための工夫ではあるんですが、このパターンがとてもわかりにくくしているので、要注意です。以下の3つにパターン分けします。
1.副詞の多用と唐突な自動詞。
→「名状し難い」などから始まる、修飾語やら副詞、形容詞の乱発が始まったら、固有名だけ見つけて読み飛ばしても大丈夫です。ただし、唐突に自動詞で終わったら、いったん読み返すのもありです。完了系は重要な要素である場合がほとんどです。
2.クトゥルフ神話に代表される名称は眷族が言う
→明確にアザトースだとかニャルラトホテプみたいなのを登場人物が言うことはほとんどありません。なぜなら知らないからです。そのため、鳴き声みたいな意味のない音の中に『クトゥルフ』みたいに言うだけです。ネクロノミコンなどの魔導書も読める字じゃないと登場人物が言いつつ、何かしらの眷族に感化されて突然読めるようになったりします。クトゥグアとかヨグソトースなどは雑談みたいな話から出てきます。
3.書き出しで誰目線かが決まらない
→主人公目線かと思わせといて、同人が残したメモや手記を見た人の視点だったりと、「誰のセリフ?」ってことが良くあります。なので、章ごとに読んでいかないと意味が分からなくなります。できるだけ一気読みしてください。
以上のパターンを読み取れば、ラヴクラフトは分かりにくいけどSFとしてオモロイって感覚になれるはずです。ぜひ、読んでみてください。 -
Posted by ブクログ
久しぶりにラブクラフト全集の続き。これは当たりの巻。
訳者による解説にも書かれているが、「ピックマンのモデル」以外は、科学的な話というか、分析がキーとなる話になっており、出てくる物質の名前が古いのを除いて、全く現代でも通用するような話ばかりだ。
名作「インスマウスの影」を彷彿とさせつつ、得体のしれない謎の物質(生物?)の恐怖「宇宙からの色」、何故か体を冷やし続けないといけない「冷気」と、南極に氷漬けになっていた宇宙からの生物をめぐる「狂気の山脈にて」そして超名作で怪談風の「ピックマンのモデル」など、硬い文章ながら、読書なれしていない人でもゆっくり読めば映画のように脳内で映像化されてくるはず。
3巻が地味な印象だっただけに、この4巻はさらに素晴らしく感じる。ホラーというよりも、SFとして読んでも面白い。
なお、ラブクラフトの作品は、書き出しは訳がわからないことが多いので、最初の3~4ページは2回位読むのがコツ。本書に収められた作品も例にもれない。 -
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著者はキリスト教やユダヤ教に詳しい翻訳家。その訳書も魔法や天使・悪魔や錬金術などが多い。そんなアニメには全く興味が無かった著者は、友人から勧められた、新世紀エヴァンゲリオンに第壱話から虜にされてしまう。そして2年かけて430頁二段組でテレビ版から劇場版まで全話の詳細な解説本を書いてしまった。エヴァの解説本は数多出ているが、これが最上級ではないだろうか。この本は10年前に一度読んではいるが、すっかり忘れてしまったので、2ヵ月後に迫る新劇場版3.0公開前に再読したのである。しかし、その宗教的な事項の解説はとても難解であり、すんなりと理解できるものではない。セフィーロート体系図ひとつとっても詳しく解説頂いてはいるが、良く判らない。しかしネルフ本部の各部名称やアポトーシスなどの台詞中の用語も宗教や心理学また遺伝子学等と深く関わっていることがわかる。このようなアニメを生み出した庵野監督は全く只者ではないと深く再認識させられる。
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あとがきに書いてあるとおり本作は後にダーレスがクトゥルー神話作る際に大いに参考にしたと思われる作品を集めたものとなっている。面白いのは、冒頭そのように書き始めたのにもかかわらず本書のあとがきの主題は「ラヴクラフトの作品とクトゥルー神話との相違点」であるという点だ。
ラヴクラフトの作品のみを愛し、クトゥルー神話は否定的な人が少なからずいる。本書のあとがきを読めば理由がわかるはずだ。
本作品集には、下手に首を突っ込んでえらい目に合うという話が非常に多い、相変わらず緻密な情景描写でありながらも肝心な異世界のもの達に関しては曖昧としてうまく表現できないという手法で書かれている。
とはいえ、「インスマウスの影」などに見られるように、見えそうで結局断片しか見えなかったという想像するしか無い恐怖と比べると、はっきりと詳細を書いてしまっている。その分読みやすくなっているとも言える。
ラヴクラフトの作品は「読んでみたけども意味がわからなかった」というのが私の感想であり、作品の最大の面白さであると思う。今のところラヴクラフト全集1~5巻まで読んだが、その点に関してはぶれていない。 -
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ラヴクラフト全集1巻を読み終わった時、ラヴクラフト氏の作品は、情景を推理小説が如く性格に描いているにもかかわらず、肝心な恐怖をもたらすそのものについては曖昧にしか書かれていないという話の構成であると感じた。つまり、都市伝説のように嘘にきまっているが、もしかして・・・と思わせる一人称的恐怖感があった。
現在のところ3巻とこの4巻を読み終わったが、その認識を変える必要がある。3巻もそうだが特にこの4巻では、もう個人の幻覚や幻聴として片付けられないほどに、異型の者達を描写しているのである。科学的に判別不能な物質が出てきたり、公式な記録として異世界人らしきものが見つかったと記録されていたりである。
私の中で、ラヴクラフト氏の作品が、自分の身に振りかかるかもしれない怖い話から、SFホラー小説にシフトしてしまった。拍子抜けした部分もあったが、そもそも1巻から架空の都市が出てきたり、後にクトゥルー神話としてまとめられるということを考えると私の第一印象が間違っていただけのことではある。
さて、いざ異型の者達を描写するとなるとそのディテールの細かさは驚かされるばかりで、想像力をフル動員して読み進める必要がある。「見たことのないような」とか、「この世のものをは思えない」という表現に逃げること無く書ききっているラヴクラフト氏の表現力は尊敬するしかない。しかも随所に上記の「この世のものと思えないような」と言った様な表現をここぞというところで使うことにより、物語の語り手が人間の手にあまる自体に遭遇しているという事がひしひしと伝わってくる。
100%フィクションであるとわかりながらも、実際に起こったことのように読みながら感じる。レビューに拍子抜けしたと書いたが、今現在はよりラヴクラフト氏の作品に引き込まれるようになったと思う。 -
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ネタバレ1989年6月23日発行の11版。
訳者の大瀧啓裕氏はダーレスのことが嫌いなのか……。
「不肖の弟子」扱いなど個人的感情がくどいほどにじみ出ている。
あなたのエッセイじゃないのだから解説に個人的感情を入れるべきではないだろうに。
「ダゴン」
窓に! 窓に!
「家のなかの絵」
人肉食で無限のパワーを。
「無名都市」
狂える詩人アブドゥル・アルハザード。
「潜み棲む恐怖」
この巻で一番好きなお話。
怪奇!土竜男!
「アウトサイダー」
寓話的。
新たな物語の話型となっている点ですばらしい。
「戸口にあらわれたもの」
ほんとインスマウスの住人はろくなことをしない……。
結末を冒頭に持ってきた構成が秀逸。
「闇をさまようもの」
ラブクラフトの遺作。
無闇に廃墟に入るものではない。好奇心は猫をも殺す。
アザトホース、ナイアルラトホテップ、ヨグ・ソトホースと有名どころの名前が出るのも遺作らしい感がある。
「時間からの影」
〈大いなる種族〉の容姿がさっぱり想像できない。
言葉で形容できないところに真価があるのか。
次男がいい息子すぎる。ほんと父親思いやで……。
「資料:履歴書」
おまけ。
ラヴクラフトの「環境」がわかる。
黒人やタスマニア人を「生物学的に劣っている」と考えている点や彼のヒトラー評とムッソリーニ評は興味深いものがある。
特にムッソリーニに「敬服」していた点は現代から見れば眉をひそめてしまうが、ラヴクラフトの意外な一面として面白い。
総評。
雨、廃墟、屋敷がキーとなる話が多くおどろおどろしい感じが良い。
短編の集まりで長さ的にも読みやすい。
が、各話の途中で眠たくなってしまう。
ただ、繰り返しになるが解説での訳者のダーレス批判が目に付く。
嫌いというほど積極的な感情ではないかもしれないが、嫉妬に近い感情を持っているのかもしれない。
また訳者はラヴクラフトの作品群をクトゥルフ神話としてひとまとめにされることを快く思っていないらしい。
ラヴクラフト作品のことは自分が一番知っているんだと言いたげな文章が呆れを通り越して実に微笑ましい。 -
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[宇宙からの色]
今考えると、これってラヴォスかな。「インスマウスの影」なんかと比べるとあまり恐いという気はしない(実体が出てこないからか? 挿し絵は恐いものなあ)。ラヴクラフトの宇宙的恐怖というやつは、恐さという面では実は大したことないのかもしれない。
[眠りの壁の彼方]
これはホラーなのかなあ。どちらかというとファンタジーじゃないかという気がする。恐くはないけど、眠っていたときに見たことを、現実では新聞で超新星の爆発として確認するというラストは結構いい。
[故アーサ・ジャーミンとその家系に関する事実]
これもあまり恐くはない。まあ最後にちゃんと落としてくれるから、そこのところは安心して読めるけど。それにしてもラヴクラフトの差別意識って強烈だよなあ。
[冷気]
ラヴクラフトにしては普通ぽい。でもほかの作家の恐怖小説なんてせいぜいここまでが限度だもんなあ。
[彼方より]
映画の方を先に見ていたから、あまり驚きはしなかった。
[ピックマンのモデル]
名前は前から知っていた作品。やっと読めたという感じ。ラヴクラフトにしては珍しく一人称。残念ながら期待を越えるものではなかった。
[狂気の山脈にて]
これは大作。ラスト近くのショゴスに追いかけられるイメージというのは結構強烈。現在のホラーでこのショゴスからイメージをパクったものって結構多いと思う。レン高原とかもっとほかの作品を読んでいれば、他にも興味深い部分があるんだろうなという気がする。
執拗に描写される古代都市のイメージを、鬱陶しいと思っちゃうとダメなんですね。
ふと思ったけど、「トゥームレイダース」のシステムで、この都市を探検するゲームを作ったらすごいことになりそう。 -
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ネタバレ『イラノンの探求』
好き!夢を追い続けている間は肉体も意識も若々しいままなの、若さの持つエネルギーとか愚かさを象徴しているようだし、全てが水の泡になった後の急なわびしさ、むなしさも味わいがあって好ましい。
イラノンのことを知っている人がいなくなる前に夢から覚めることができてよかったのかもしれない。
『眠りの神』
分かりやすいオチがある分かりやすい話だった。薬物乱用者に寛容な時代だったんだなあとかあんまり関係ないことを考えたり。
しかし友人の声を音楽と評するのはすごい。喋る全てが旋律であり詩であるように感じられるなんてこれ以上の褒め言葉ある?熱烈だなあ。
『忌み嫌われる家』
家の来歴をとんでもない執着心をもって調べるパートが好き。あと甥と叔父の関係性も良い。好奇心抑えきれない様子が微笑ましいし、これはある種の英雄譚なのだと思うと叔父さんの最期も悪くないのかも。
『恐ろしい老人』
ドント・ブリーズだこれ。ジジイが強い話はどんなものでも好き。
約二年かけてやっと全集を読み終わったので達成感がすごい。総じてしつこい描写がかなり好みで楽しかった。うまいこと文章に乗れた時の気持ちよさが癖になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまでの巻でも時折登場したが、今作では"ネクロノミコン"が頻繁に登場し、巻末に"ネクロノミコンの歴史"があるが、読みずらい笑
"死体蘇生者ハーバード・ウェスト"は珍しく連載だったようで、話が切り替わるごとに前回のあらすじが展開される。
やはり後半の、"魔女の家の夢"と"ダニッチの怪"は臨場感があって面白かった。
"魔女の家の夢"では、主人公がおかしなことに直面しても、きっとこれはこうゆうことだろうと自分自身に適当な理由を言い聞かせることが多々あり、無理があるだろう笑と思いつつ、眠る度に異常さが増していくのが面白い。が、落ちはもう一声と言いたい。
"ダニッチの怪"では、怪物が猛威を振るいだして住民が怯え出すところからは怪物退治ものとして面白かった。落ちも良かった。