野島秀勝のレビュー一覧
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まさかシェイクスピアの沼を認識する日があるのか?と思っていたけど本当にそのまさか、1600年代に作られた作品が、この2020年代に読んでもまったく面白いのはすごいのひと言では?
当時の価値観が身についていなくても、国語の教科書よろしく下の方に脚注がついているからしっかりと内容についていけるのが良かった。それどころか、当時の演劇におけるウィットやイングランドの情勢に至るまで読者を置いていかない工夫が凝らされている。他のシェイクスピア作品を読む場合も岩波版が正解なんじゃないか?
舞台映えするであろう動きが見えるようだったし、観劇する機会さえあれば飛びつきたいなと思った。 -
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シェイクスピアの四大悲劇の一つ。読むと現代にも通じる愛憎劇あり。ブリテン王リアや道化、エドガー扮する乞食の狂気ぶりも描かれ、読むのに苦労した。
この狂気ぶりがシェイクスピアの「リア王」では非常に特徴的であるらしく、伝統的な秩序を重視するエドガーら善玉と新しいやり口で秩序を破壊していく悪玉のエドマンドらとの間で起こるギャップを道化の”狂気”を通して描いている。
実際読んでみて「リア王」は単純に善玉・悪玉では区別できないものがる。元々、ブリテン王リアやグロスター伯爵は近代的な感覚で見るとかなり問題がある訳であるし、リアの娘であるリーガン・ゴネリル、グロスターの庶子であるエドマンドが親世代の秩序 -
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スティーヴンソン ジキル博士とハイド氏の不思議な事件 9-60(52ページ)
プルーストのスワンの家のほうへ 61-138(78ページ)
カフカの変身 139-202(64ページ)
ジョイスのユリシーズ 203-375(173ページ)
文学芸術と常識 376-
だからなんだ、という声も聞こえてきますが小心者なので耳栓をして、進めます。
後半のナボコフ先生、ようこそ!
各作品にあてられた先生の熱意?講義内容?をいろんな角度から考えられないかとなんとはなしに思って、各講義をページ割りしてみました。ジキル博士とハイド氏や、変身のような比較的短編?中編?ともいえる話にでもこれだけ時間を割いている -
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書評どころかまさしく読書感想文になってしまうので先に謝りますゴメンナサイ。
だって、ナボコフ先生の授業、面白いんだもん。
えっとね、第一印象は「いや~~ん、この、IQの高い陰湿インテリめ!」でした。
あ、すいません、石投げないでくださいそこ。
だって本当にそう思ったんだもん。ナボコフ先生、スキだな。いいなぁこの、IQの高い人が子供みたいに熱心に無邪気にかつ執拗に、重箱の隅をつつきまくってるトコ!たまらんぜ。だった。陽気な陰湿さというのかな、ねぇ、もう、楽しくて大好きで仕方ない、その姿勢は伝わるんだけどそもそもIQ高い人だから、あ、そこ、そこまでえぐりきっちゃいますか?で、容赦がない。 -
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この戯曲はシェイクスピア中でももっとも心を刺す台詞の多い作品の一つである。
四大悲劇のハムレットの結末と同じく、救いはないのだが、そこはかとなくマクベスのような狂気もある。
また、この岩波のリア王は解説もまたたっぷりあって、脚注も本文の下に添えてあり、目に入らざるを得ないようになっているのだが、これはヘンリー四世の訳者が「まずは本文を読んで、解説はそのあとで」というようにいっていたのと対照的である。また、マクベスの訳者は当時のイギリスでの観劇者たちの理解は現代の文字をじっくり追う読者にまったく劣らないものだった、それは原文の言葉の絶妙な使われ方によると言っていた。が、このリア王の訳者はシェ -
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ネタバレ夜中にあらわれるハムレット王の亡霊。ハムレット王亡き後その弟クローディアスと結婚した王妃ガートルード。王の亡霊から死の真相を聞かされるハムレット王子。気がふれたふりをして王と王妃の様子をうかがうハムレット。ハムレットが呼び寄せた演劇団。再婚に関する台詞。母を責め母の部屋で様子をうかがっていた大臣ボローニアスを殺害するハムレット。事件をもみ消すためにハムレットをイギリスに送るクローディアス。イギリスに行く途中に海賊に襲われ帰国したハムレット。ボーローニアスの死で気がふれ自殺した娘オフィーリア。息子レアティースの復讐。墓場での会話。王宮での決闘。
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ハムレットで私が一番好きなシーンは、お約束ですが御前試合とオフィーリアの狂乱シーン。お花を渡すところ。
岩波はやっぱり固いんだけど、もうちょっと白痴的な口調で書いてあるのを以前読んだんですよ。
あれはどこの出版社だったんだろう・・・。生意気にも小学校の低学年で辞書引きながら読んだので印象に残ってるんです。
そっちの方が好きかな?
岩波では王妃にヘンルーダを渡して、
『あたしにも少し、とっておきましょう』
と言うシーン、その前に読んだ本では
『あたしにも、すこうし、ね』
と言って笑うんですよ。
この微妙な違いが!あれは一体どこの出版社だったのかなあ。読んだ時に、やったら古い本 -
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「リア王」も「ハムレット」も「オセロ」も「ロメオとジュリエット」も……、誰でも知っているシェイクスピアの戯曲は、それなりに読んだつもり、だけど、私は「戯曲」という文学形式を些か苦手としているかもしれません。ともあれ取り急ぎ、代表として、リア王を挙げます。(マクベスとかハムレットとか、幽霊が出て来たり魔術が出て来るほうが好きかも)。これもまた、純然たる「悲劇」だ。ただ、どうして末娘はいい娘なの?どうしてお姉さん(たち)には邪念がつきまとうの?シンデレラしかり(継母という事由を差し引いても)、「美女と野獣」しかり、オオクニヌシノミコトしかり(あそこはお兄さんたちだけど、あれは酷すぎる)、想い出せば
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シェイクスピアの四大悲劇の一つ「ハムレット」
セリフの掛け合いは、日本語では理解し難いものが多かったが、印象に残ったのは主人公の苦悩である。
「to be, or not to be, that is the question.」
生きるべきか、死ぬべきかという有名な独白は復讐という重い運命を背負った彼の内面的な葛藤を象徴していると感じる。
また、登場人物たちの狂気と正気の境界線もこの物語の重要なテーマであり、それぞれの思惑や行動が悲劇の連鎖を引き起こす要因となっている。
人間の本質的な弱さや狡猾さを描き出しており、心の葛藤、道徳的な問い、そして人間の本質を深く掘り下げた作品であると思 -
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ネタバレ『ボヴァリー夫人』読後すぐに、ギュスターヴ・フロベールの章を読んだ。
フロベールの手紙も引用して『ボヴァリー夫人』を詳細に紐解く。かなり細かい説明があり、共進会の読み難かった部分は交響楽を模して表現していた事に納得した。
フロベールは対位法的手法を取り入れて書いている。この手法は、複数の会話や思考の流れを、平行して挿入したり、絡ませたりする。
また、章の中で主題が波のような流動態で移行していく、構造的移行も用いている。
正にナボコフの講義を聞いているようであった。
ナボコフは言う。良き読者は小説と同化して読まない。共感ではなく、客観的に読むということかな。そして再読し、情景を脳内に再現できるぐ -
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リア王は立派な王だと思って読んでみたが、少しも立派ではなかった。いわゆる一人の父親であり、遺産を娘たちに分与する資産家に過ぎなかった。
リア王以外に立派な人がいたかは難しい。遺産を拒んだコーディーリアか、王に苦言申し上げたケント伯だろうか。でも、結局、いなかったのかもしれない。立派さに力点をおく作品ではないから。強いて言えば、あの嵐が立派だったのかもしれない。
序盤は話がぶつぶつして煮え切らないのが、グロスター伯の目が潰れた辺りから、急速にまとまっていく展開だった。最後は悲劇ということらしいのだが、そして、誰も居なくなったわけでもないので、喜劇になりそうな気もする。まぁ、リア王にとっては悲 -
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ネタバレデンマークの王座をめぐる復讐悲劇。
父王を殺された王子ハムレット。
王を殺害し、王妃と結婚して王座を手に入れた王弟クローディアス。
国務大臣ポローニアスの娘オフィーリアとハムレットは恋仲であったが、その恋は引き裂かれ、ハムレットはクローディアスへの復讐を決意する。
狂気を装うハムレットに失望したオフィーリアは入水自殺?し、それを知りハムレットに復讐しようとする兄レアティーズ。
レアティーズにハムレットを殺害させようとクローディアスはたくらみ、毒を塗った剣で対決させるが、そのもくろみは失敗し、ハムレット・レアティーズ・クローディアス、王妃ガートルード全員が死亡。