円地文子のレビュー一覧

  • なまみこ物語 源氏物語私見
    「なまみこ物語」と「源氏物語私見」、昔は別々の本だったが、今は一冊になっているのね・・・。
    「なまみこ物語」の方は、おどろおどろしいタイトルだけど、偽巫女のような意味らしい。
    握った権力を盤石たらんとする藤原道長の容赦ない陰謀に、若き一条帝と中宮定子の愛はどうなってしまうのか、中関白家の命運は?と、...続きを読む
  • 妖 花食い姥
    老いるということ。老いてもなお消えない性というもの。それが渾然一体となって創り出す一種のファンタジー。そんな作品ばかりの重たい短篇集。この本に収録されている一種の作者の回想録的な「川波抄」には、主人公が若い頃に、実家の女中だった事もあるある娘から突然求愛まがいの告白をされてその性的な接触に嫌悪感を持...続きを読む
  • 食卓のない家
    柄谷行人「倫理21」の中で言及されていたので読んだ。
    70年代の連合赤軍が起こした一連の事件をモチーフにしている。八ヶ岳山荘事件(あさま山荘事件がモチーフ)に関連したリンチによる殺人罪(幇助)に問われた息子を持つ父親を主軸に展開される。

    どうもこの手の小説を読むと気が立って仕方ない。そもそもの小説...続きを読む
  • なまみこ物語
    王朝時代の日本の恋はとても雅だったのだなあと
    時おり入り混じる古文が懐かしくいっそう読書を楽しくさせてくれました
  • 雪燃え
    これが連載されていたのは昭和38〜39年。
    そして物語の時代背景は昭和29年頃の話。
    そんな時代の話であるのに、全く古さを感じない。
    日本の独特な家元制度のある世界(ここでは茶道)の、
    限られた特殊な内々の話に終始するこの小説は、
    外界の時代背景がそれほど細かく書かれていないがため、
    昔っぽさを感じ...続きを読む
  • なまみこ物語
     古典強化お薦め品その5。
     まろやかで古雅な文体と、本来の文庫本サイズの小さいフォントのせいで、敬遠されてしまうかもしれませんが……。
     
     著者が自分の幼い頃に、家で見た古書「なまみこ物語」(なまみこ=ニセモノ、半人前の神子の意)の内容をふと思い出し、記憶を頼りに綴ってゆくという形式の表題短編小...続きを読む
  • 江戸文学問わず語り
    実はこの作家さんの本はこれが初めてです。
    軽妙な文体で、読んでいて面白いです。
    それとともに、江戸文学の知識がついていくので、意外とオススメの本です!
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)
    第三巻は、宇治十帖。宇治といえば、百人一首にも選定されている和歌、我が庵は都の辰巳鹿ぞすむ世を宇治山と人は言うなり、が思い出されます。そして、宇治十帖はそのイメージに近いものがあります。
    女三の宮と光源氏の息子、薫(柏木との罪の子)。
    朱雀院の息子の今上帝と明石の中宮の息子、匂宮。
    匂ふ兵部卿と薫の...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻二(わたしの古典シリーズ)
    「絵合」から「幻」
    光源氏の栄華から終焉まで。
    「玉鬘」から「真木柱」が玉鬘十帖と呼ばれています。十帖の、「初音・胡蝶」は春を、「蛍・常夏」で夏を、「篝火・野分」では、秋を、「行幸」は冬と、四季が織り込まれて描かれます。六条の源氏邸自体も四季を意識されています。この日本的な感性が、絵画や着物に長くモ...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)
    11月14日 円地忌あるいは文子忌
    円地文子さんの源氏物語を読ませていただく。
    昭和42年から5年以上かけて、源氏物語口語訳に取り組み10巻の単行本としてまとめる。それを、若い人向けに3巻に凝縮。しかも前書きで知るところによると、先の口語訳で眼を患い、この完結版は口述でされたという。
    若い方が入りや...続きを読む
  • なまみこ物語 源氏物語私見
    雑感。


    ■なまみこ物語
    ・抑制の筆致
    易しくない文章に耐えながらじりじり読んでいると急に面白くなる。え?いまなにかたいへん重要なことが起こらなかった?と思って数行戻って読み直してみると、深遠なる策謀が成し遂げられたところだったり、思いもよらぬ裏切りによるどんでん返しのシーンだったり。恋人の背信だ...続きを読む
  • 源氏物語私見
    円地文子 「 源氏物語 私見 」 源氏物語論。

    俗な源氏物語論とは違い、源氏物語の古典性(なぜ読み継がれるか)、文学性(男女の性を超えた 人間的テーマは何か)が よくわかる。

    *源氏物語は女性文学か *六条御息所 論 *源氏物語の体系分類の整理 *西鶴文学との違い は秀逸

    源氏物語 正篇を 3...続きを読む
  • なまみこ物語 源氏物語私見
     ドナルド・キーン氏の自伝に出てきたものである。タイトルの「なまみこ」という音にとても新鮮な、そして不思議な響きを感じた。「なまみこ」とはいったい何であろうか。40年以上も前、著者の父の蔵書の中に日本文学者チャンバレン博士から引き継いだであろうと思われる数多の本の中の一冊であるらしい。表紙には「奈万...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)
    宇治十帖が書かれています。一番の無情感が出ている話なのでしょうが、薫にも匂兵部卿宮にもあまり魅力を感じないし、浮舟などイラッとさせられてしまうのです。
    ただ、漫画で読んでいたよりも、浮舟の後悔や苦悩が文章で伝わってきました。
  • 円地文子の源氏物語 巻二(わたしの古典シリーズ)
    秋好中宮の入内から源氏が亡くなるまでの話。
    どうしても「あさきゆめみし」と比べてしまうが、玉鬘が髭黒大将に強引に結婚させられた後、漫画では玉鬘も納得したような描写が印象的だったのだが、こちらの本ではなんの描写もなく、おそらく原作もなかったんだろうなと感じた。もっとも当時の結婚なんて意に沿わぬものであ...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)
    源氏物語は高校時代の古典と「あさきゆめみし」で読んだ程度の私。百人一首好きということもあり、和歌を読みたい気持ちから、ふと手にとってみました。
    原典をそのまま訳すのではなく、章(必ずしも原典の巻分けと一致してるわけではない)ごとに最初にあらすじをまとめてあり、本文では原典を訳しながらも物語として現代...続きを読む
  • なまみこ物語 源氏物語私見
    円地文子の「なまみこ物語」と「源氏物語私見」が
    講談社文芸文庫で一冊になっていたんですね。
    どちらも名作中の名作。さっそく買って「源氏物語私見」から読みました。

    作者が「源氏物語」を現代語訳したあとの随想で1974年の作。
    今では源氏物語関連のエッセイは数限りなくありますが(特に去年は多かった)、...続きを読む
  • なまみこ物語 源氏物語私見
    中宮定子という人は、なんと「かなしき」人なんだろうか。平安時代、一夫多妻、通い婚の時代に、女は待つしかない。まして、帝に嫁したならなおさらである。常に、自分は誰かと比べられる、誰かの為に自分を否定される。自分を守るために、自分が自分らしくあるために、女性に必要なものは、「愛」のなにものでもない。でも...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)
    第3巻は、「宇治十帖」。浮舟をめぐる薫と匂宮のドラマをえがいた「宇治十帖」です。

    ストーリーを把握するためには十分な内容ですが、紫上や明石の君など源氏を取り巻く女性たちにくらべると、大君、中君の姉妹にしても浮舟にしても人物像が明瞭になっておらず、いったい薫と匂宮の二人は彼女たちのどこに魅かれたのか...続きを読む
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)
    『源氏物語』の現代語訳をおこなった著者が、若い人に向けてあらためて『源氏』のストーリーを語りなおした本です。

    原作から当時の儀式・行事・宴などの情景描写を省いて読みやすくし、なおかつ全体のストーリーを味わえるように工夫がほどこされています。

    第1巻では、源氏の誕生する「桐壺」から、不遇な須磨・明...続きを読む