あらすじ
たぐいなきみやびの陰に、摂関政治の忌わしい相剋を露呈した平安朝。一条帝のもとに中宮として入内し、帝の狂おしいばかりの愛を得ながら、なお悲運の生涯を辿らねばならなかった定子。その、はかない宿命を物語りつつ、関白・道長の野望実現のため、策動させられる生神子姉妹の、あやなす悲劇を鮮明に描き上げた「なまみこ物語」。ほかに「歌のふるさと」「ますらお」を併録する。
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Posted by ブクログ
古典強化お薦め品その5。
まろやかで古雅な文体と、本来の文庫本サイズの小さいフォントのせいで、敬遠されてしまうかもしれませんが……。
著者が自分の幼い頃に、家で見た古書「なまみこ物語」(なまみこ=ニセモノ、半人前の神子の意)の内容をふと思い出し、記憶を頼りに綴ってゆくという形式の表題短編小説の主人公は、清少納言が仕えた悲劇の中宮・定子。
歴史の上では、彼女の一門は藤原道長の前にはかなくつぶされてしまったがために、悲劇の中宮とされているが、果たしてほんとうに、定子は不幸だったのか……? という、歴史の裏側からの面が書かれています。
「枕草子」と平行して読むのがお薦めです。
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一条天皇と中宮定子。歴史上政治的には脇役にすぎない2人を主役として描いた愛の物語。過去に本当に存在したと思わせる、それが「生神子物語」。あやしく美しい、そして哀しい物語。
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どんな悲恋なのかと思いきや、どことなく爽やかな純愛ものでした。
一途に想って想って想い続けた帝と中宮定子の、時に相手を疑っても最終的に信じあう姿は好きです。
特にたった一度だけ生霊になる定子の姿は。
それにしても道長はとんだ茶番を演じていたんだなと笑いそうになりました。
淡々とした割とさらっと読める一冊。
Posted by ブクログ
一条帝と中宮定子。関白・道長の野望実現のため、策動させられる生神子姉妹の悲劇を描き上げた「なまみこ物語」。ほかに「歌のふるさと」「ますらお」を併録。