上山春平のレビュー一覧

  • 世界の歴史〈7〉大唐帝国
    2016/12/1
    中国の中世は興亡の歴史である。内乱に明け暮れ、異民族が支配者となり、猜疑心から身内の粛清が頻発し、なかなか安定しない。安定したかと思うと、朝廷が腐り始め、農民や軍閥のクーデターが勃発し、再び内乱となる。学ばないのだ。当時の政治力や軍事力では中国の国土は広すぎたのかもしれないな。
  • 仏教の思想 4 認識と超越<唯識>
    読み終えると、何となく唯識がわかった気になるのが、この本のすごいところです(笑)

    実際に良書で、佛大のテキストに指定されています。

    唯識3年、倶舍8年と言われるように、アビダルマに比べて、とっつき易いのは確かだと思いますが、理屈では理解できないのが、唯識をむずかしくする理由だと思います。

    しか...続きを読む
  • 仏教の思想 12 永遠のいのち<日蓮>
    長かった仏教の思想シリーズも最終巻「日蓮」である。

    仏教宗派の中でただ一つ創始者の名前が宗派の名前になり、のちの
    多くの新興宗教の母体となる日蓮の思想が、今となっては明らかな
    間違いである(決して無価値ではないが)天台宗の祖「智ぎ」の教判に
    基づいているというのが興味深かった。

    迫害を受けること...続きを読む
  • 仏教の思想 11 古仏のまねび<道元>
    只管打坐。とにかく座禅をしろと言う道元の思想は、私の中で今ひとつ
    確固たる像を結ばなかった。

    出自から来る潔癖なまでの反権力と世俗との決別。
    十五歳にして大乗仏教の根本に疑問の視線を向けうる驚くほど聡明な
    知性。
    そしておそらくは如浄のもとで経験したのであろう座禅による宗教的
    体験。
    道元の中の様...続きを読む
  • 仏教の思想 10 絶望と歓喜<親鸞>
    日本で最も知られ愛される仏教者と言っても過言でない親鸞。
    その教えは単純で信念と念仏ということになるだろうか。
    この本では単に親鸞の思想を抽出するのではなく、その思想と生涯とが
    不可分だと考え、思想家や学者ではなく、修行者や仏教を生きる者と
    しての親鸞を追っている。

    頭でっかちの私にとっては最も遠...続きを読む
  • 仏教の思想 9 生命の海<空海>
    空海とその真言密教に対して私の持っていたイメージは「熱帯雨林」。
    様々な要素を切り落とし、念仏や禅に特化していった鎌倉仏教とは
    違い、空海の思想には宇宙論や思想、哲学と言ったものも含まれる。
    そして様々なものを否定し拒絶する「禁」の印象の強い浄土教や禅と
    違い、真言宗はすべてを肯定するダイナミズムに...続きを読む
  • 仏教の思想 8 不安と欣求<中国浄土>
    今まで全くと言っていいほど知らなかった中国における浄土教の誕生
    とその発展の経緯が語られ、実に興味深く読むことが出来たが、
    読後の感想としてはこのまま日本の浄土教に繋がっていくのだろうな
    という感じで、今ひとつ「中国の浄土教」に踏み込めていないような
    気がした。紙幅の都合上仕方がないことなのかも知れ...続きを読む
  • 仏教の思想 7 無の探求<中国禅>
    達磨くらいしか思いつかなかった中国禅だが、その達磨は架空の人物
    と言うことでほぼ触れられず。それほどまでに知っていることの少ない
    中国禅の世界だが、ここでも中国人の現世主義というかリアリズムと
    いうか圧倒的な人間主義のようなものが顔を出してくるのが実に中国
    らしくて面白かった。日本で「禅」と言われて...続きを読む
  • 仏教の思想 6 無限の世界観<華厳>
    この巻は限られた紙幅の中で実によくまとめられていると感じたな。

    天台とは表と裏のような関係にあること。そして、今では東大寺
    くらいしか思い浮かばない華厳の教理が禅の中に息づいているのでは
    ないかという考え方が興味深かった。

    しかし一口に仏教と言ってもこれだけ多様な相を持っているのには
    改めて驚か...続きを読む
  • 仏教の思想 4 認識と超越<唯識>
    4巻目は唯識。実はこれもよくわからない(笑)。

    すべては空であるとして輪廻も否定した中観と比べると、私のような
    頭でっかちの理屈人間には後退のようにも思える唯識だが、それは
    瑜伽行の実践のバックボーンとしての性格が強く表れているという
    ことなのだろう。実際に人間の体や心と対峙して作り上げた唯識を
    ...続きを読む
  • 仏教の思想 3 空の論理<中観>
    第3巻はナーガールジュナを中心とした中観派を扱う。

    途中でどちかというと苦手な論理学が顔を見せたりして、少々
    手強い内容だった。

    ・言葉を尽くしたその先に言葉を否定する形で空が現れる。
    ・無我とは今で言う無心という意味ではなく、あらゆるものが
     それ自体として自立的な普遍の実体(=自性)を持って...続きを読む
  • 仏教の思想 2 存在の分析<アビダルマ>
    1巻目がとても面白くあっという間に読み終えてしまったのに対し、
    このアビダルマ編は非常に手強かった。
    読んでわからない内容では無いのだが、どうも今ひとつ腑に落ちて
    こない感じ。煩雑で極端に細かい理論に走り、その批判から大乗仏教が
    生まれたと言われるのも何となくわかる感じだ。

    ただ、この理論の部分が...続きを読む
  • 仏教の思想 9 生命の海<空海>
     平安時代に日本の仏教の礎を築いた真言宗の祖、空海。その一生と教えを文庫にまとめた本。

     一言で言えば…難しい。

     言わんとしていることを一言で言えば

     仏とは己の中にある。己の中の仏は人だけに存在する物ではなく、この世界に存在する物すべてに存在するものである。
     そして、悟りとは己の中にある...続きを読む
  • 世界の歴史〈11〉アジアの征服王朝
    杉山正明氏の説とは異なるモンゴル像を読んで、大モンゴルウルスに対する認識をより深めることができた。
    宋史や遼史の復習、知識の補充にもなった。
  • 世界の歴史〈2〉古代オリエント
    文明の源、オリエント。しかし、人間は昔からどうしようもない生き物なんだね。他民族、他人種となるとまったく人間扱いじゃない。
  • 仏教の思想 6 無限の世界観<華厳>
    間違っているかもしれないが、非常に荒っぽく、現段階で華厳のキーコンセプトをいったんまとめる。

    ◆華厳の世界観「法界」ってなに?
    ○事法界
    感じる→感じる→(以上繰り返す)

    ○理法界
    わかる→わかる→(以上繰り返す)

    ○理事無礙法界
    感じる→わかる→願う→行う→(以上を繰り返す)→できる=叶う
    ...続きを読む
  • 神々の体系 ──深層文化の試掘
    冒頭に梅原猛氏の名前があるように、氏と同じく記紀(古事記と日本書紀)制作の裏に藤原不比等がいる…という歴史観に基づいて、古事記・日本書紀を読み解くという内容。梅原猛さんの関連本を読み尽くしちゃったので、今更感の方が大きかった。それに、新書にまとめた内容が今ひとつ中途半端。
    同じ論文の後半をまとめた『...続きを読む
  • 世界の歴史〈9〉ヨーロッパ中世
    これを読み出して、世界史にはまった。鯖田さんの史観は今では古いんだけど、日本から見たヨーロッパという視点がくっきりと出ていて面白かった。
  • 世界の歴史〈14〉明と清
    だいぶ前に読んだ本だが、明朝の変人皇帝たちについて、面白く書いてあり、明朝史をさらうにはちょうどよいと思う。また、在野の学問や芸術のことも概要をつかめる。
  • 世界の歴史〈6〉古代インド
    世界史の通史を勉強しようと読ませていただきました。古代インド、わかってないことばかりなんだなあー。あとがきにあるように、イスラム文化の史料からヒンドウー文化をのぞいてみる、良い方法だと思います。今後の研究の進化を祈りつつ、よくわからんので星みっつ。