稲田将人のレビュー一覧
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いつも余計な一言を言ってしまう、高山。上司の目の前で“地雷”を踏んでしまい、新設の経営企画室へ異動させられるが、彼はそこで会社を改革していくこととなる…。マッキンゼー出身、日本を代表する企業のコンサルティングを行ってきた著者がリアルに描く、組織のあり方。
ビジネス書としても、小説としてもとても面白かった。組織はなぜ行き詰まるのか、改革が進まないのはなぜか、そうしたことの本質がわかりやすくまとめられていたと思う。小説とはいえ、とてもリアル。こういう企業、たくさんあるのだろうな。たくさんの企業が同じようなところで行き詰まる。社長が代替わりした時や、リーダーに迷いがある時。ありふれた状況なのに、抜け出せない。だから、やはり「本質」を学ぶことは大切なのだと感じた。本質は誰もが通る道だから。 -
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フィクション仕立てで書かれた経営の指南書という立て付けが面白い。著者の実践的なコンサルタント経験も生きている。
人、性善なれど、性怠惰なり
自分たちを律して行く真摯な姿勢が必須になります。
経営プロフェッショナルの教科書と副題があるように、経営企画室が担当する業務の教科書とも言える内容であることが興味深い。
起業から小さな事業が大きくなってくると、組織も大きくなり、経営企画という社長業務のサポート体制が必要となる。組織が大きくるなると腐敗する輩も出てくるので、社長は最後までリーダーシップを発揮するとともに、社員が働きやすい適切な場を作ることが必要。 -
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ネタバレ■PDCA,これほどビジネスシーンで単なる掛け声程度にしか使われていない言葉はない
→トヨタ・マッキンゼーは、高度なPDCAを回して、自らの問題解決能力の追求・方法論を進化させている。
■トヨタ
・現状の課題、問題点について、適切な「見える化」「目で見る管理」をするための工夫に知恵を使う。
・その差異、異常値の理由を「5回のなぜ」で追求し、対策を行う
■マッキンゼー
・フレームワークを使った分析を駆使し、「事実」ベースでことの因果を明確にして、問題解決を行い、経営トップ向けの「提案」を提示する
■仕事のできる人=企画力・実践力のある人
・よく考えて企画を組み立て(Plan)、しっかりと実行し(Do)、結果を検証して(Check)、自分のやり方や考え方を修正し、進化させる(Action)
・DPCAの基本動作を全うに繰り返し、正しく経験を積み、力をつけてきた人
・自身の経験則から学んだことを、自ら法則化し、より高次元レベルとして積み上げていく。
→精度と汎用性の高い経験則になる。
■恋愛とビジネス
・環境や容姿に関わらず、打席数✕打率で決まる。
・女性に対して、一生懸命頭をひねって知恵を使いアイディアを出し(P)、時間を惜しんで行動し(D)、結果から女性心理の考察(C)や、自身の方法論の修正を重ね(A)た人。→魅力がある。
■Checkが機能しない企業=戦略がない会社・思いつき組織→疲弊する
・Cのためには、「見える化」を徹底的に進化させる。
・現状のやり方の課題や問題点を、常に表面化させ、検証(C)できるようにする。
→そして見つかった問題点の改善(A)をする
■Pの基本作法
①現状把握
・事実ベースで「見える化」
(過去そして現状、事業や営業、費用対効果の実態。
過去に行ったPの結果はどうだったのか)
②意味合いの抽出と「解の方向性」の明確化
・どこにどれだけのギャップが存在するか
・どんどん細分化してみて、原因を明らかにする。
③施策の決定
④実行計画の策定
■D実施
■C 謙虚に、客観的に結果の検証を行う
・ある部署や事業部が、どう考えて、何を実施し、その結果はどうなったか、
そしてうまく行った場合、いかなかった場合、その因果関係はどうなったか、
■A 方法論を磨き、ビジネスプロセスを進化させる -
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マッキンゼー出身の経営コンサルタントによる、企業の参謀役がやるべきことを纏めた1冊。辟易するくらいPDCAが出てきます(笑
「まぁ知ってるなぁ」と思うコトもありますが、それこそMECEに内容が纏まっている印象を受けました。社内政治っぽい話まで触れているのは勤め人を読み手と想定しているんでしょうか。
少し小粒ですが、まず面白いと感じた3点をメモします。
①本質的な解決が求められる時の鉄則は、「聞きやすい人ではなく、(たとえ怖くても)聞くべき人に聞け」
⇒そう、そうなんですよね…(^^;
②「PDCAの精度が下がると市場から乖離する」
⇒ある意味PDCAを無敵の存在と捉えていて、いや、問題を解決するツールとして何もできないことは(あってはなら)ない、というスタンスに立っているんだなと。
こう私が思ってしまうのは、それだけ、本著で言う「名ばかりPDCA」や「どんぶりPDCA」が多いということかもしれません。
③「時代分析」という自社の過去を振り返る手法
⇒自社の癖や施策の因果関係を見るのに有用な取り組みだなと思いました。
その上で、本著で特に心に残ったのは、最終章の「人間の『業』に対処する」です。
抵抗勢力や卑怯者にどう対応するかを書いていて、なかなか人間の闇って深いなぁとも思いますが、著者曰く「抵抗勢力は、本質的にはリスペクト、すなわち礼の足りなさに怒っているのであって、本当の大義名分の部分に反対しているわけではありません」とのこと。
多くの企業の経営改革に携わり、役員も務められた著者なので、色々ダークな思い出はあるんでしょうが、生々しさを感じた章でした。
この章を読んで感じたのは、やるべきコトをキッチリやって(PDCAを回して)、企業の経営を改革することは、結局コーポレートガバナンスに通じること。監督サイド(取締役会等)の話だけではなく、執行サイドにおいてのコポガバとしてこういった営みはあり得るな、と感じた次第です。
しかし、そう思った時に、本著で触れられていたアメリカの「人治」前提のマネジメント、これは日本でも広がるようなものなんでしょうか?ゲリマンダー的な、これこそロジックに基づかないもののような気もします。
今まで読んだノウハウ教科書的な類著の中では、一歩抜きんでていると感じました。 -
Posted by ブクログ
発行から7年遅れで読んだが全く色褪せることなく読めた。
印象深いフレーズ
P254
「企業は、働く者がそこで力を高め、自身の力を発揮して事業に貢献し、そして企業が市場に貢献する。結果としてその存在自体が意義のある会社として発展していく。こう考えるのが一番収まりがいいと思う。市場も企業も、そしてそこで働く者も皆が幸せなれるからだ。」
P255
「世の中に足跡を残してきたのは、保身に走った人たちではなく、道を開こうとあがいた人たちだ。どういう人性にするかは、自分で選ぶことだ」
経歴が華々しいので、すかした感じかと思いきや、日本向けの共感しやすい内容で、小説としても結構楽しめた。(社長秘書が誰の味方か、については読み誤った。) -
Posted by ブクログ
凡を極めて非凡に至る。
シンプルながら経営トップがなすべき仕事について学ぶことができます。
・目指すは、組織が自律的に事業の発展に取り組む企業文化づくり
・ビジネスの低迷は「組織のPDCA」の機能不全からはじまる
・経営トップに必要な「気づき」を得るための工夫と「躾」の必要性を解説
トヨタ、マッキンゼーを経て、アオキインターナショナル、ロック・フィールド、日本コカ・コーラ、三城などで、経営改革や事業再生を手掛けたコンサルタントが、経営トップに向けて書いた骨太の経営論。
骨太ですが、非常に見やすい構成であり、必要な部分だけ読むような飛ばし読みもしやすい。経営者、優れたリーダー以外は肚落ちしにくい内容かもしれません。
①社内に見える化を追求する文化をつくる
・PDCA、とりわけ結果の分析Cから次の打ち手Pまでの流れを見える化した資料をつくる
・変化の見える化、意思決定の見える化を徹底する
・業務フローも全て見える化する(業務フローを徹底してるトヨタが今もなお業務フローの改善を行えるのは見える化してることが大きい)
組織をいかに運営するかは、トップ自らがイメージしないと始まらない。
トップがまず事業ごとのPDCAを描き、現場のトップとすり合わせることから全てが始動する。
~組織のPDCAを正しく理解する~
(P)事実から意味合いを的確に捉えてプランニングを行う
・最初のPはCから始まる。現状把握→解の方向性の明確化→施策の評価と決定→実行計画の策定
・2サイクル目以降からは、結果の検証Cにより「意味合い」を抽出して新しいPを建てる
(D)しっかりと実行する
・丸投げ禁止。Pの意図に沿って確実に実行することが大切。さもなければCができなくなる
・Pの立案側と現場の連携は関係の質で決まる
(C)結果を検証する。
・結果から意味合いを抽出
・失敗は一切叱責の対象にならない。しかし、解の方向性とのギャップがある場合は許してはいけない
(A)やり方、方法論を見直しカイゼン
・発表用の資料、報告の仕方を見直す
・PDCAはここが肝
②PDCAを通じて躾する
・PDCAを報告する躾、PDCAを見える化する躾、PDCA(特にC→A)が正しいかチェックする躾 を重視する
・他人事のような報告を許すな。責任を追求しろ
・全マネージャーが躾を正しく行う文化をつくるのは、トップの役割だと肝に銘じる
1970~80年代に日本の製造業をグローバルレベルトップに押し上げたのは、真摯な「組織のPDCA」の徹底。
日本企業が勝つのは組織のPDCAを回すしかない。低迷企業の共通点は、トップを含めたマネージャー層に躾の文化があるか否か。
トップを含む全マネージャーは、マネージャーの回しているPDCAが適切に問題解決に取り組んでいるかを確認し、マネージャーの努力の総和を全体最適にもっていくのがトップ。
~躾の文化を通して「判断できる人間を作る」~
・ルール化されていないことを判断し指示するのがマネージャーの本来の役割
・いきなり経営判断なんてできない。事業判断→経営判断の分業→経営判断の順序で教え込んでいく
・3つの判断項目に対してできる人できない人を区分け。区分けした人材ごとに課題を投げて議論することで判断力を高めることができる
③直轄の幹部やスタッフと毎週1hはコミュニケーションの時間をとる
・大組織は人の「思惑」がはびこる
・「今の課題はなんだ」「何が困っている」「気になっていることは」これをずっと繰り返す
・とにかく聴く。「だからおまえはだめなんだ」というような苦痛な時間にさせない。関係の質を深める
「裏の意図がある」「余計なことは言うべきではない」と思われることを恐れない。何度も繰り返すうちに100%本音が聞けるようになる。
この時間を部下に区分けして投げる経営者はいるが甘い。現状把握できない経営者は必ず行うべき。
~メンバーの視座を引き上げる~
・難易度の高い課題に対して、議論することから始める。
・議論することで視座がコピーできるようになる。社長や上長をイメージして考え行動ができるようになる
・「経営判断」をいきなり求めるな、「経営判断の分業」を求めているとアプローチしろ。PDCAにツッコミをいれることが最初の判断構築の一歩
☆小うるさい「躾」を行う文化が日本企業マネジメントの強み
・本来、日本企業の強さはリーダーのスタンドプレーよりも組織力の発揮にある
・組織力を高めるリーダーの存在が重要
・性善説で動かすのは間違いではなく、ただしそれは躾を行う文化が根底にある
・欧米式のマネジメントや手法が導入され、小うるさい躾が弱くなっていった
☆重要な事実はなにか
・重要な事実は何なのかを経営者は抑えろ
・重要な経営事実は見える化しろ
・社内の実態を把握しろ。経営の強い意思で、正しい実態を把握しろ
・実態を完全に把握していないまま、非効率な忖度文化やトップ周辺の責任回避行動をとらせるな
・過ぎ去った過去の時代から進化しないマネジメント体制をとるな -
Posted by ブクログ
戦略は社長自ら実践しない限りは、ほとんどの場合うまくいかない。コンサルに大金をはたいてその分給料をくれたらいいのに、がお決まりの文句。日本企業は、現場や現実を知り得る人が、その感覚を持ってして策定する方がうまくいくらしい。
なぜそういう戦略をとるのか、このWhyが大事。例示されているポルポト派による虐殺も、Do thisしかないオンカー制度によって、自らの身を守るには、疑わしきを殺すしかなくなってしまったことにある。本部はえらいのではなく、経営の意図をなぜそうするのかという部分から、腹落ちする状態に持っていけるかがキーとなる。
会社トップに正確な情報をあげることも、経営判断をあやまたない要諦の一つ。またPDCAサイクルを回すにも、ドンブリ的な海外ビジネスは難しいなどという形でCを出してしまうパターンや、部下に丸投げしてしまうパターンなど、失敗には枚挙にいとまがない。まず、マネージャー層への理解の浸透が大事で、失敗の隠蔽などに走りがちなのが問題。施策の失敗を個人に帰するものとしてはいけない。 -
Posted by ブクログ
書店にて、大前研一『企業参謀』を彷彿させる刺激的な表題につられ、思わず手に取り著者の略歴を眺め驚愕した。〜早稲田大学大学院理工学研究科修了〜中略〜マッキンゼーアンドカンパニーに入社〜おいおい、これは本当に大前氏の正式な後継者が現れたのではないか?しかも本書が処女作品だって??←ここから購入決断の思考に至るまでおそらく一秒も掛かっていないだろう。これが本書との出会い。これで期待を裏切られたら、そのショックは計り知れなかった事だろう。だが心配無用、おかげさまでショック死せずに済んだ。あまりにも満足してFBで著者に直接感想メールを送った程だ。
本書には複数の登場人物が出てくる。通常、読者が自らの意識を投影させることが出来る人物は主人公一人。しかし本書では、五人ほど意識投影が可能な人物がいた。それぞれの立場から見る個々の物語は、彼ら自身の経済合理性の下にしっかりとしたロジックを構築しており、書籍としての空気を乱す輩は一人も出てこない。その彼らが織り成す経済活動を通じての日常は、きわめて目まぐるしく、また生々しく、いち企業の歴史を紡いでゆく。思惑の異なる登場人物が織り成す企業ストーリーをそれぞれの視点から楽しむ事が出来る書籍はそうあったものではない。
物語りも然ることながら、さらには各章の最後にある『解説』、これが何にもまして面白い。以前、『ストーリーとしての競争戦略』の著者である楠木健氏が、著書『戦略読書日記』の中で頻繁に使うフレーズがあった。『“スキル”ではない“センス”という何か』それは、「世の中の成功している社長は、スキルではなくセンスで事業を行っている。」という趣旨の話しだ。そして楠木氏は、「この“センス”という概念を言葉で説明することは困難である。」としていた。ところが、本書はこの辺りをさらりと説明してのける。二代目の持つなんとも言えない“代表取締役担当者としてのセンスのなさ”そして、成功した創業者が行っていた“センスとしか言いようのない卓越した経営手腕。”この難解な二者間の関係性を、高速で回すPDCAで説明するあたり、著者には学問では無いなにか傭兵的な臨場感を感じずにはいられない。
著者の作家としてのキャリアはこれから益々磨かれていく事だろう。しかし、物語としての完成度を求めてしまえば、それは池井戸潤氏を追いかけなければならなくなる。正直、著者にはそんなドラマチックジャンルを求めてはいない。いや、内容についても十分に面白いのだ。だが、それ以上にこの『解説』の価値観の殴り書きが矢鱈と僕の共感スイッチを点けて回る。ではなぜ★4つなのか。それは、「続編のほうが面白いですよ!」という著者からのFBメールが所以である。自ら上げたハードルを見事に飛び越える事ができるか否か、続編が待ち遠しい。